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『万引き家族』お金とか家族とか名前とかなんだろうか。

このnoteは感想の中でたくさんストーリーについて触れるので、ネタバレを避けたい人など見たくない人は見ないことをおすすめします。

 この作品がパルムドールを獲ったとニュースで流れ、考察がTwitterで毎日のようにTLを流れていたのが2018年。そのころ私は授業と部活とで大学に週7日通う学生で、映画館に行って見る余裕がなかった。コロナになって課題の海におぼれながらもアマプラに加入してできるだけ人間らしく生きようとしていた時、東京の大学に一浪して入学した高校の同級生とzoom飲みをしていた際、映画の話になって彼から「『万引き家族』見た?」と言われ、いつもウォッチリストに入っているのを横目に見ながら「今これの気分じゃないんだよな、、、」と見ていなかった。

 世間で「良い映画だ!」と騒がれ、されにそれが何かの賞を受賞した時、私は心して見ねばならぬ…と思ってなかなかその映画を見ることができない。今回見るきっかけになったのは、以下の通り。
・家にWi-Fiがなくて光回線に直接パソコンを繋げないとアマプラが見れない
・それだと布団で寝転がりながらスマホで映画見るのができない
・今日はあまり元気がなくて座ってパソコンで映画を見る気になれなかった
・昔公共のフリーWi-Fi下でスマホにダウンロードした『万引き家族』があった
 まとめて読み返してみると、別に心してみてないやん、と思うけど、まあ、スマホに入っていて見やすかったという理由が私の背中を押すこともあるということだ。


 物語の流れの順番とか全部無視して自分が気になったところから書く。

1.おじさんの本名が祥太だったところ
 祥太が警察にお世話になった時に祥太の名前の漢字をきかれた時、おじさんがスラスラと答えたのが意外だった。おじさんは国語が英語よりも苦手だと言っていたから。で、尋問されてるシーンの時におじさんの本名が祥太と分かって本当にびっくりした。少し巻き戻してしまったくらい。
 おじさんは足を怪我する前、工事現場の住居になるであろう部屋の中で「しょうた~!」みたいな、家族ごっこのようなことをしていた。あれは、今こどもの祥太との生活を思い描いてやっているのかと思っていたけど、おじさんの本名が祥太だったら、おじさんの子ども時代と重ね合わせている可能性がある。というか、自分の本名を拾ってきた子どもの偽名に使うってすごくねじれていて辛いものがあるな…。おじさんは少なからず自分の子ども時代にコンプレックスを持っているんだろうなと思って、でもさ、それであの人たちは絶対に子どもに手を出さなかったところが、愛なのかな、何なのかな、どうしよう、と思った。
 おじさんは祥太に「お父さんと呼んでほしい」みたいなことは度々言ってきていたから、それは本当のお父さんになりたかったからだと思う。むー。自分はあまり「お父さん」って言えなかったのかな。複雑だーーー。

 名前に関しては、あきは風俗で働いている時の名前を「さやか」としていた。なんで「さやか」なのかあきの口からは明かされないけれど、後にそれがあきの妹の名前だとわかる。あきは自分で自分のことを殴ったことがあるって言っていたけど、少なからずあの家のことと関係しているんだろうな…と思い、妹を源氏名として使うっていうのはだいぶ復讐みたいな意味があるのかもしれない。復讐の相手は親。

2.おばあちゃんは、あきをお金のために引き取ったのか
 あきはどこの子?と思っていたけれど、おばあちゃんの旦那さんが不倫?かなんかして新しく築いた家庭の子どもだった。だから、一応孫だけど血は繋がってない孫、みたいな感じ。あきは自分が不倫相手の家の人間だってわかってたからおばあちゃんが旦那の恩恵でもらっている年金を慰謝料って言っていたのも苦笑いしながら納得していた。
 おばあちゃんがあきの実家に時々訪問しては3万円をもらっていたことから、あきは自分がお金のために拾われたのかもしれないと失望の目の色をするけど、私は、おばあちゃんは、そうじゃないと思う。なぜなら、ゲットした3万円を使わずにずっと持っていたから。しかも家族のだれにも知られずに。
 おばあちゃんは年金が入ったらぜんざいを食べたり、パチンコに行ったりする人で、別にめちゃくちゃ浪費家と言うわけではないけれど、お金にケチと言わけでもない。そのおばあちゃんが3万円を自分で使わずに持っていたのは、もしかしたらいつかあきにあげるためとか、家族がピンチになった時に臨時で出すとか、といういう意図があったのかなあと思った。希望的観測であることは認める。100%あきのためではないかもしれないけど、過半数を超える割合であきのため、そしてその残りがお金のため、だったのかもしれないと思う。
 あきは結局綺麗な服を着てみんなで家族として暮らしていてあの場所を見に行っているけど、実家に帰って元気かなあ。あきの両親は娘がオーストラリアに留学に行っていると何度も重ねて嘘をついているような人たちだけれど大丈夫かなあ、と心配。張り付いた笑顔で生きてるのかな。


りんのその後とか、家族って名前ってお金って何とかいろいろ思うけど今はパンクしそうで、とりあえず今書いて整理したいと思ったのはこの点なので、今回はここで終わることにします。


感謝感激雨あられ!