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あれ以上の空を私は知らない

満天の星空を見たい。

夏になると、思い出す人がいる。


その人は私のちょうど10歳年上で、出会った時私はまだ子どもで彼は大学生だった。だから、彼は私のことを妹的ポジションと考えていたと思う。

私は彼のことをお兄ちゃんとしてではなく恋愛として好きだったけど、彼にとって私はその好きにはなれないとも思っていた。


そんな彼と、星を見に行ったことがある。私のわがままを彼が叶えてくれた、みたいな感じだった。


ビニールシートをひいて、寝っ転がり、星を見た。

見た、と言うよりも、吸い込まれるような、自分がだんだん宇宙に落っこちるんじゃないかと思うくらいの星空だった。

その日はちょうどペルセウス座流星群がよく見えると予想されていて、私は「5個くらい見れたらラッキー」程度に思っていた。何よりも彼と星を見れるのが嬉しかったから、流星は二の次だった。

だけどその日は30分で20個くらい見た。
視界に常に流れ星。あっちで流れたらこっちで流れる。もうパーティーやん。

最初は、わ〜って声を出してたけど、だんだん声を出すのももったいなくなって無言になった。

二人で黙って宇宙に浮かんだ。

好きな人と一緒に寝転がって星を見た。

すごい幸せだなぁと思った。
やっぱりこの星を見せてくれる彼のことが好きだなぁと思った。もっと色んな話をしたり、色んな事をしたいと思った。

流れ星に何かを願ったような気もするし、何も願わなかったような気もする。それくらいあの瞬間をその時に大事にしたかった。


未だに夏に星を見ると彼のことを思い出す。会いたいな、なんて思ってしまう。未練がましいよな、と思う。彼は私のことをなんとも思ってないんじゃないかと思ってシュンとする。


でももう、私は大人になった。彼と同じ大人だ。

彼は今仕事で海外にいる。コロナのこともあって、いつ日本に戻れるかはわからないらしい。

そのことをLINEのタイムラインの投稿で知ったとき、喉がキュッと締め付けられて痛くて、心臓がバクバクなって動悸でドキドキした。

自分でもそんなことになったのは初めてで、「あ、ほんとに彼のことが私は好きなんだな」と思った。


いつか会って、星空の感謝だけでもしたいなー


今日、星が見える街から帰りながらそんなことを考えました。


感謝感激雨あられ!