無題

アダム・ドライヴァー祭り②パターソン

パターソンの日々は平穏だ。

朝、決まった時間に起き、愛しい妻にキスをし、朝食を食べ、職場へ向かう。

バスの出発まで運転席で詩を書き、同僚の「不幸話」を聞いて仕事を始める。

車内では、今日も乗客が言葉を紡いでいる。

バスの大きなフロントガラスからは、日の光に照らされた町が見える。

パターソンはその風景に自分の好きなものを思い、重ねていく。

なぜか毎日傾く家の郵便受けを直し、夕食後は犬を散歩に連れていく。

バーでマスターや常連の話を聞きながら、ビールを飲み、一日を終えていく。

自由奔放な妻をひたすらに受け入れるパターソンは、詩のみで自己表出する。

人が話す言葉はこんなにもリズミカルだったのかと、日々の風景はこんなに輝いているものだったのか、私たちは詩的なものに囲まれているのだと発見することができる。

言葉を紡いでいるここが、俺のスタジオさ。

私たちは、いつでも、どこにいても表現者になれる。

★★★


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