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エネルギーまちづくり塾を受講してみた!11

今回はゼロエネルギー住宅地のつくり方について。いわゆる戸建ての住宅団地において、地域としてどのようにゼロエネルギーを目指していくかみたいなお話です。

1 配置計画と外構計画(ランドスケープ)の重要性

山形エコタウンの事例が詳しく解説されましたが、ポイントは配置計画とランドスケープかなと思いました。


一般的な?住宅街区のイメージだと南側に道路があり駐車場スペースと庭を南に取り、北側に寄せて建物を建ててというパターンで街区を形成し、北側の街区は南側の建物の影になってしまうみたいなのがよくあると思います。こうするとエネルギー的には日射取得が難しい街区が出てくるわけです。しかし、山形エコタウンは各住戸を雁行させることで、全ての住宅に南側からの日射が入るようにしています。
また、南側と北側の住宅の間に街路空間を設け、豊かな空間と住民同士のコミュニティ形成を図っていたり、植栽やデッキ、石畳や芝生など、かなりランドスケープを丁寧に計画されてました。ランドスケープがそのエリアの価値をつくると言っても過言ではありません。ディスカッションの中で、カーポートとか、物置とか、フェンスとか、住人の好き勝手にされちゃうとなかなか景観としての価値は上がらないよねという話が確かになぁと納得しました。
さらに、せっかく住宅が集まっているのだから、地域としてゼロエネルギーを目指すなら、個別熱源ではなく、地域熱供給など熱源を共有するなどの仕組みが今後は増えていってもいいのかなとぼんやり思いました。(課題もたくさんあるのでしょうが。)

2 発注者・開発事業者のパブリックマインド

上記のエコタウンは、建売形式で、開発事業者と芸工大、スノーピーク、エネまち社がタッグを組んで、街区計画=まちのコンセプトを決めて丁寧に作られた一例です。ただ住宅地の造成だけして、好きに建ててどうぞの宅地販売形式では、おそらくこうはならないですよね。発注者や開発事業者がそのエリアのコンセプトを掲げ、エリアの価値を上げるデザインの部分まで気を配らないとなかなか成り立たないような気がしました。宅地や家を売って終わりではなく、暮らしが始まってからのエリアのことを考えられるパブリックマインドが必要なのではないかと。そうするとそれに賛同した人が住むので、地域のコミュニティも出来やすいようです。これから団地をつくる場合は、発注者や開発事業者がちゃんとしたビジョンを持っているかが大切ですね!

3 既存の住宅団地でのエネルギー転換の難しさ

じゃあ既にある戸建て住宅団地はどうしたらいいのか。住宅地管理組合という仕組みを作って、通過交通を排除して子供たちの遊び場を確保したり、庭か道路か公園か判別できない曖昧な空間をつくりコミュニティの形成を図ったり、シンボルツリーや植栽などで景観形成に配慮したりという事例もあるようです。アメリカだとHOA(Home Owners Association)という仕組みがあるようです。これらはつまり、組織をつくり財源を確保してそのエリアの価値を維持していくということになりますが、この考え方は今後まさに必要となってくるであろう地域で熱源を共有するエネルギーシェアや交通サービスを共有するモビリティシェアなどとも相性がいいとのこと。まだまだ既存の住宅団地における事例は少ないようで、特に温熱環境やエネルギーに関しての取り組みはまだまだのようです。戸建ての住宅団地の場合、それぞれの家庭で考え方があるので、なかなかその辺の理解と賛同を得るのが難しいですが、既存の住宅団地こそこういう仕組みを活用して地域の個性とすることでエリアの価値をあげることにつながると思います。既存の住宅団地の場合は、住民が意識と行動を変えられるかが大切になってきそうっすね!

4 面白かったこと

住宅というと私有財産となり、その省エネ化に補助金を入れるのはいかがなものか!と良くなりがちということなのですが、住宅一つ一つがまちの景観をつくるし、その住宅地やエリアの価値をつくります。私有財産でありながら、公共財でもあるという捉え方もあり、全くその通りだなと思いました。自分の敷地だから好き勝手やってもいいというのは法律上はそうなのかも知れませんが、長期的にみてその敷地の価値を向上させる意味においても、ランドスケープや景観などに意識を配るのは必要だなと思いました。エリア全体を考えることが結局自分の資産の価値が上がることにつながるってことです。

地域のゼロエネ化はなかなか難しいけど、これから絶対必要になってくるなぁという印象でした。

ついに次回が最後になりました。次回は公共施設を核にしたゼロエネルギー地域のつくり方についてです。最後の回も楽しみです。

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