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エネルギーまちづくり塾を受講してみた!⑧

さて、今週は共同住宅の改修編です。
賃貸と分譲それぞれで課題や壁が違うので、それぞれまとめてみました。

1 既存ストックの割合

新築編でも書きましたが、居住世帯のある住宅5366万戸のうち、一戸建てが2876万戸(53.6%)、共同住宅が2334万戸(43.5%)となってます。共同住宅は約4割ちょいストックとしてあります。

共同住宅に住んだことがないという人の方が稀でしょう。特に、初めての住まいの選択が賃貸アパートという方が大半ではないでしょうか。この初めての住まいこそ断熱性能が一定程度高くあるべきと講義の中でも何度か出ていて、一度あったかい住宅に住む(体感する)と、次に住まいを選択するときにそれ以下の性能の住宅は選択肢に入らなくなります。そうすると自然に断熱性能の低い劣悪な賃貸住宅は淘汰されていくわけです。この既存ストックをどう改善していくかが、日本の住宅の断熱性能の底上げに大きな影響を与えるということです。

2 賃貸の改修のポイント

賃貸の場合、オーナー、入居者、不動産会社などが主な関係者でしょう。その中でもオーナーの理解がキーかと思います。投資をして断熱性能をあげるべきというところを理解できるオーナーかどうか。賃貸の場合つらいのは家賃の決定要素に、「相場」、「築年数」が大きく関わるところです。断熱性能の恩恵は住まないと分からない部分があるので、オーナーが投資をして性能を上げても、単純に家賃を上げられるかというとなかなか厳しい部分もあるようです。ですが、しっかりとした伝え方をオーナーと不動産会社で出来れば、刺さる人には刺さるようで家賃が多少高くても住んでくれるとのこと。以下のロードマップだと既存の分譲や賃貸の省エネ性能表示制度も2024年度から試行ではありますが施行されるようなので、性能の低い共同住宅は借り手がつかないというシーンが出来上がっていくので、少しずつ改善されていくのかなと思います。

国土交通省、経済産業省及び環境省 「脱炭素社会に向けた住宅・建築物における省エネ対策等のあり方・進め方」 資料より

それよりも、断熱性能を上げることで空き室となる期間が減るという点がオーナーにとっては最大のメリットかなと思います。あとは、入居者側で出来ることはないのかというところですが、建物をいじらない方法で断熱性能を上げるには断熱ブラインドがおすすめです。

また、長く借りるから本格的に手を入れたいとなればオーナーに交渉して折半で窓を改修するなどというパターンもありますよね。オーナーからすると投資が半分で済むし、入居者としても快適性、経済性、健康面など投資するには十分のメリットを享受できるというwin-winの手段な気がします。

3 分譲の改修のポイント

分譲の場合、オーナーはもちろん、管理組合の存在は避けて通れません。区分所有部(住居部分)と共用部(廊下とか)でも扱いが異なりますが、共用部分側の窓を入れ替えたいとか玄関ドアを改修したいとなっても、管理組合での承認?合意?が必要となります。きちんと定期的に開催されていない場合もあるので、管理組合で合意を取るのはなかなか難しい場合もあるようです。合わせて、修繕積立金というのを毎月払っているはずで、その範囲内で改修可能ならいいものの、一時金と言って追加で一世帯いくら徴収しますとかなったもんならなかなか合意なんて取れないようです。分譲の場合は、組織と財源が大きなポイントですね。区分所有という形態はなかなか身動きが取れずほんと複雑だなと感じました。なので、オーナーの判断のみで可能な住居部分内で完結する改修で、内窓や断熱障子をつけるとか、壁をふかして断熱材を入れるとかはすぐに出来る方法なので、管理組合での合意が難しい場合はこういったところから手をつけて、体感を近隣に言いふらして仲間を増やしていくというのも面白いかも知れませんね。

4 面白かったこと

高齢者が多いマンションの場合、改修などを進めようと思っても「我々は先が長くないから今のままでいい、何もしたくない」的なことで、合意が得られず、断念したという事例がディスカッションの中でありました。まさに老害w。でもたぶんイニシャルコストだけを見て判断してるだけだと思うんすよね。耐震にしろ、断熱にしろ基本的な性能なので、安心安全、健康、お財布面など住んでる高齢者にこそいいことがいっぱいあるんです。そんな人たちには、子供世帯が親孝行的に援助してあげるか、孫たちが「じじばばの家寒い(暑い)から行きたくな〜い」って言えば、すぐやると思う、と聞いて面白かったですw

来週は、公共建築の改修編です!
公共建築は今後、新築より改修の方が圧倒的に多いので、楽しみです。また次回!

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