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エネルギーまちづくり塾を受講してみた!⑩

第4クールは地域のゼロエネルギーをどう実現していくかというところで、今週は市民の意識醸成のための断熱DIYワークショップについての回でした。

1 断熱性能の高い家が普及していない理由

実は日本で省エネ住宅が初めて謳われたのは、1970年代後半。大和ハウスが省エネ住宅としてソーラーパネルを載せた住宅を発売したようです。約40年以上経っていますが、省エネ住宅が普及しているとは言い難い状況ですね。感覚的には意識している工務店や施主がいてやっとって感じです。謳い文句として、光熱費が減る〜とか、基準の数値が〜とか、CO2削減率が〜とか、太陽光の売電が〜とか、もちろん断熱・省エネ化することによる効果などはそれぞれありますが、より断熱性能の高い家が普及していくために重要なのは「体感」と「ライフスタイル」だとエネまち社さんは考えているとのこと。断熱をすることで暖かさ(涼しさ)を「体感」し、その先にある豊かな「暮らし方」を想像出来るかどうかが大事というわけですね。そのうちの「体感」をまさに経験出来るのが断熱DIYワークショップです。

2 断熱DIYワークショップの目的

断熱DIYワークショップはあくまで手段のひとつです。ワークショップの目的は、知識を得ること、技術を習得すること、仲間とのつながりをつくること。特に仲間とのつながりの部分は大きいでしょう。地域住民、企業、大学、行政はもちろん、あとは工務店や大工さん、環境団体、NPOなどなど、なかなか交わることのない方達とのつながりを持てる機会になるということです。同じ空間を共有し、作業を行い、共に体感することで、つながりが生まれやすいとのこと。
また、もう一つの大きな目的が、市民の意識醸成・普及啓発。温度差などの数値でもって頭では理解できるものの、見た目では効果がわからず、「体感」するのが最も効果的と言われるのが断熱性能の向上です。断熱の普及には論理じゃなく直感に訴えかける方が大事ってわけですね。
ワークショップをするのが目的になってはダメということです。

3 学校における断熱DIYワークショップ

上田高校の高校生の有志と上田市民エネルギーというNPO団体が企画したものが事例として紹介されました。この事例だけでなく、学校における断熱DIYワークショップの意義はとても大きいということでした。自分たちの手で作業をし改善を図るという体感による教育的側面、子どもたちの教育環境を向上するという面では地域やPTAなど大人たちを巻き込みやすいという側面、また、家へ帰って家族へ断熱WSの話をするので、自分たちの手でも出来る方法でこんなに暖かく(涼しく)なるんだということやなぜ我が家はこんなに暑い(寒い)の?という話にもなり、周囲への普及的側面など。学校で行う意義は、断熱性能の向上以外にも非常に大きいとのことです。

実は私、NPO法人自治経営という組織に所属しております。

こちらにFMアライアンスという公共施設マネジメントを推進するチームがあり、その事務局に入らせてもらってるんですが、そのメンバーが「学校断熱ワークショップの実施の手引き」を公開しました。いざ企画したいとなっても何をどうしたらいいのかわからない!ということで、手引きの解説や相談を行う「有料オンライン相談会」もありますので、気になる方はぜひ。

【学校断熱ワークショップ実施の手引き】を公開します! NPO自治経営FM担当理事の三宅です。 NPO自治経営FMアライアンスは、公共施設マネジメントを推進するチームです。 このたび、メンバーの川口義洋(津山市職員)と三宅香織(倉敷市職員)...

Posted by 特定非営利活動法人自治経営 on Sunday, March 27, 2022

4 面白かったこと

ワークショップをやる場所の選択基準がなるほどと思いました。マンションの場合、よくあるゲストルームとか、地域として捉えた場合、集会所とか、色々な人が利用する場所を断熱改修することで、体感を共有できる機会を増やせる場所というのがより最適とのこと。いかに、多くの人に「体感」してもらうかですね。
また、企画する際のチーム編成もなるほどと思いました。最低限必要なのが、主催者、工務店、行政という3者だそうです。主催者は、行政の場合もあるし、学生や事業者、地域住民、NPOなど多種多様です。そして、ワークショップ前の細部の準備や当日の技術補助などに欠かせないのが工務店ですね。そして、普及や啓発、公共性などの面から行政が関わることの意義はでかいようです。

やった感だけのワークショップってあまり個人的には好きではないので、その先を目的とした開催が大事だなと改めて感じました。

残すところあと2週となりました。なんとか楽しく書き続けられています。
次週はゼロエネルギー住宅地のつくり方です。

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