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出逢ってくれてありがとう。


2023年6月21日。


Snow Man・向井康二くん、29歳のお誕生日おめでとうございます!!!


コロナ禍でSnow Manに出逢った私がスノ担になって早3年が経ちました。
そして自担の向井康二くんも気付けば20代最後の一年!ということで、お祝いの気持ちと、自分にとっての一つの区切りとして、初めて推しのお誕生日お祝いブログを書いてみようと思います。

これはスノ担で康二担の大学生女が、康二くんの29歳の一年が幸せで溢れるよう願って、Snow Man、康二くんとの出逢い、康二くんへの好きの気持ちを書いたブログです。
最後までお付き合い頂けたら嬉しいです。

それでははじまりはじまり〜。

(※当方はいわゆる「全肯定オタク」ではないため、Snow Manや向井康二くん、ジャニーズ事務所への批判的な記述も含みます。予めご了承くださいませ)

私とジャニーズ

Snow Manと康二くんについて語る前に、まずは私とジャニーズの原点を振り返りたいと思う。
このことを語るならば、母親の存在は切っても切り離せない。

母は私が小学校半ばの頃、突如としてNEWSにハマった。きっかけすら思い出せないほど、本当に天から降ってきたみたいに。
一度好きになったら猪突猛進なのは親子の血だなと今は思うけれど、母が口を開けば増田くん(自担)の名前、母の運転する車に乗れば当たり前のようにNEWSの新譜がエンドレスで流れ、学校から帰宅すれば居間のTV画面に映し出されるのはNEWSのライブ映像、部屋中にNEWSのCDやDVD、グッズが並べられている環境で育った私。

当時30代の母は、夜行バスに飛び乗ってNEWSやテゴマスのライブにも参加していた。
幼かった私にとって、数日間とはいえ母親の不在は心細いもので、田舎(島根)に暮らしていたら想像もできないきらびやかで色んなモノに溢れている都会に母が一人出かけていくことにも、やっぱり不安はあった。

だけど、そんな心細さや不安を一瞬にして拭い去ってくれたのが、帰宅した時の母が纏う空気と笑顔だった。
荷物とお土産がパンパンに詰まったバッグを抱えて帰宅し、子どもたちに「ただいまー!」と両手を広げてくれる母の表情には、何か特別なパワーが宿っていた。
溌剌として、瑞々しくいきいきとしたオーラとエネルギー。全身から「楽しかった!」「幸せ!」が溢れ出ている母の姿を目の当たりにすると、数日間の寂しさがあっという間にどこかへ吹き飛んでしまった。

今はもう寛解しているけれど、母には持病と慢性的な体調不良があり、NEWSの推し活を楽しみながらも、彼女はいつも戦っていたし苦しんでいた。
正直、子どもたちの手前無理して明るく振る舞っているな、と分かる日もあったし、この頃はちょうど病気が見つかって、先の見えない闘病生活のスタートに、母本人はもちろん父も私たちも途方に暮れていた時期でもあった。
そんな母に、日々キラキラしたときめきを与えてくれるNEWSは私にとってすごく不思議な存在だった。  
母のような決して体調もメンタルも万全ではない人にも「毎日曲を聴きたい」「なんとしても会いに行きたい」と思わせる魅力。たった2時間のコンサートでここまで人を笑顔と幸せのオーラで包むエネルギー。そして、母の「NEWSが大好き!」という気持ちから生まれる行動力や、NEWSに触れた時に彼女が見せるパワー。
母が広げた両手に飛び込みながら、幼い私は考えていた。
「お母さんをこんなに笑顔にしてくれるNEWSって、ジャニーズって一体なんなんだろう?」
これが私とジャニーズを語る上での原点だ。

ちなみに、母がNEWS担になったことをきっかけに、我が家では毎年大晦日のカウントダウンコンサートを見ながら年越しするのが恒例行事となった。
もちろんお目当てはNEWSだったけれど、次々と登場するジャニーズアイドルたちのきらめきとオーラは本当に眩かったし、カウコンを通して「NEWSのほかにも、誰かを笑顔にしてくれるアイドルがたくさんいるんだな」ということも知った。

母が推しはじめた当時6人だったNEWSも、4人、そして3人と紆余曲折を経ながら活動を続けている。
NEWS担である母も楽しいことばかりじゃなかったと思うし、実際山下くんと錦戸くんが脱退した時、その直後の小山くんのラジオを聴きながら涙を流していた母の姿を今でも鮮明に覚えている。
4人のNEWSの象徴ともいえる「チャンカパーナ」は今でもそらで歌えるくらい私も聴き込んだし、4人体制になって最初のライブツアーでこの曲が披露された時、会場のファンは自分も含めみんな泣いていたとも母は話していた。テレビや携帯の画面に踊る「NEWS、再始動」の文字が母を再び笑顔にしてくれたことも覚えている。
そんな風に、もうこれ以上メンバーがいなくなることはない、と信じていた母だから、2020年の手越くん脱退&退所は相当堪えたようだった。
それでもNEWSは出逢った時から今までずっと、変わらず母の心を支えてくれている。
あまり詳しくは触れたくないけど、メンバーの脱退以外にもNEWSは色々あったグループだ。楽しいことばかりではなく、時には傷ついたり悲しくなったりすることもあるのに、それでも応援することを続ける母の在り方も、現在の私に影響を与えていると思う。(詳しくは後述します)


私が物心ついて、母の影響でジャニーズに接し始めた頃(2009年〜12年頃)といえば、NEWS以外にも思い出すことはたくさんある。
嵐はすでにTVで見ない日がないほどの国民的アイドルになっていて、毎週木曜日の夕食時は誰からともなく「VS嵐」にチャンネルを合わせていたし、私は大野くん主演の『怪物くん』、KAT-TUNの亀梨くん主演の『妖怪人間ベム』に夢中だった。
Sexy Zone、A.B.C-Z、Kis-My-Ft2と次々にジャニーズグループがデビューした年代でもあり、キスマイファンの友だちに影響されて藤ヶ谷くん北山くん主演のドラマも見ていた。

特別に意識していなくても、みんなの心や生活にすっと溶け込んで、誰かを元気づけたり笑顔にしてくれる存在。私から見た「ジャニーズ」の第一印象はそんなものだった。

Snow Man、向井康二くんとの出逢い

さて、そろそろ私とSnow Man、向井康二くんとの出逢いに話を進めたいと思う。といっても「推す」に至るまでがめちゃくちゃ長いのですが……お付き合いください。

前述した通りNEWS担の母の影響でNEWSの楽曲はそのほぼ全てがすっかり耳に馴染んでいたし、他にも嵐のバラエティ番組を見たり、大型音楽番組のジャニーズアイドルのパフォーマンスや新しくデビューしたグループは自然とチェックする習慣がついていた。
だけど、NEWS以外で特別に好きだとか、母みたいにガッツリ応援したいと思うグループやタレントに出会うことはないまま、母と一緒にNEWSの活動だけは追いながら、私の思春期前期は過ぎていった。

転機が訪れたのは高校2年生の時。
クラス替えで一緒になり、席も近かった双子の姉妹と仲良くなった。
この姉妹が2人揃って、ジャニーズWEST、そして当時Jr.だったSnow Man、SixTONESのファンだった。私にとっては人生で二番目に出会ったジャニオタ。
重岡くんかっこいいとか、濵ちゃん面白い!という話を聞いて、WESTがテレビに出ていると私も意識して見るようになったし、当時ちょうどYouTubeを始めたばかりのスノストの動画を毎週欠かさず見ている姉妹の姿に、ジャニーズも新しいことやってるなぁなんてぼんやり思っていた。

「学校で仲良くなった子たちがジャニーズ好きなんだよね」と母に話すと、交友関係が広くなかった娘の口から友だちの話題が出たのが嬉しかったのか、母はNEWS目当てで購入している雑誌のWEST、スノストの記事を切り抜いて「2人にあげなよ」とファイリングして渡してくれた。
「雑誌の切り抜きあるけど、いる?」と尋ねると、2人は「いるいる!!」と大喜び。学校で切り抜きをまとめたファイルを渡すとぱあっと顔を輝かせて受け取ってくれる2人を見て、たった数ページの記事でこんなに人をいきいきさせられるジャニーズってやっぱりすごいな、とまたしても彼らの持つ不思議なパワーを感じた。

アルバイトすら禁止されていた田舎の高校生にできるアイドルの応援の仕方って、本当に限られているし思い通りにならないことだらけだな、と大学生になった私には分かる。
子どもがアイドルを応援することへの理解と経済的余裕のある家なら買ってもらえる場合もあるけど、お年玉や月々のお小遣いを必死に貯めて、CDやDVD、グッズの資金を賄っていた子がほとんどだったと思う。
ライブツアーの高額なチケット代は大きな壁になるし、まずライブが開催される都市に辿り着くための交通費や宿泊費だって馬鹿にならない。
毎月発売されるアイドル誌だって、一冊が700円〜800円と高校生のお財布にはけっこう打撃だ。毎月5誌全部揃えるなんてとてもできなかったと思うし、キリがないから泣く泣く諦めるしかない状況の子も、私が知らないだけでたくさんいたんじゃないだろうか。

私が仲良くなった姉妹もその例に漏れず、アイドル誌の購読も我慢していたようだし、当時Snow Manのメンバーが主演していた舞台『キャッシュ・オン・デリバリー』『愛と青春キップ』を観に行きたいけど行けない、Twitterにアップされるレポを読むのがせめてもの楽しみだともこぼしていた。
ファンにもその人その人の事情があり、ライブや舞台に行きたいけど行けない、商品を買いたいけど買えないという悩みを持った人がたくさんいることをこの時学んだし、この時の体験は今の私の在り方にも影響している。変わらずNEWS担をしていた母も、体力や経済的な事情もあり、この頃には少なくともライブからは足が遠のき始めていた。

家族以外で初めて出逢ったジャニオタの姉妹の姿から、ジャニーズを応援することの喜びと、さまざまな事情でどうしても諦めなければいけないことの切なさを痛いほど感じて、応援の仕方は人それぞれ、そんなそれぞれの思いを抱えている人たちの熱い応援があって、ジャニーズアイドルたちは活動を続けているのだと知った。
それと同時に、一冊の雑誌の切り抜き、舞台の上で発する一つ一つの言葉や身のこなしで、誰かの毎日をこんなにもキラキラと輝かせるジャニーズの持つパワーの強さを改めて感じさせられた出逢いでもあった。
そして、今思えば彼女たちとの出逢いはSnow Manとの出逢いでもあったのだ。

月日は流れて、私は大学に進学。
地元を離れ、一人暮らしを始めた。仲良しの姉妹も関西地方の大学に進学し、それぞれの大学生活がスタート。物理的に離れてしまっても変わらず連絡は取り合っていたし、彼女たちが好きなジャニーズアイドルたちのことも頭の片隅で気にかけてはいた。

大学に入って初めて迎えた夏。
私は何気なく目にしたテレビの番組表で、姉妹が応援しているSnow Manのメンバーが「アウトデラックス」に出演することを知る。
この番組は高校時代からまあまあの頻度で見ていて、木曜日の深夜に放送されるため、平日が残り一日になったところでのちょうどいい息抜き、という感じで大学生になってからもなんとなく見続けていた。
ゲストに招かれるのは佐久間大介くん。
A.B.C-Zの塚ちゃん、戸塚くん、ふぉ〜ゆ〜に続く「ジャニーズアウト第4弾」と銘打って、彼の「アニメヲタク」という個性をフィーチャーする内容だった。
「友だちが応援してるアイドルだし、ちょっと見てみるか」くらいのノリで録画予約をした。
私自身がアニメや漫画にハマって思春期を過ごしたのもあり、「アニヲタ」という部分に少し「おっ」と気を惹かれるものはあったけれど、この時は本当に何も深く考えていなかった。

そしてやって来た、2019年7月25日、佐久間くんが出演するアウトデラックスの放送日。OAをリアタイした私は衝撃を受けた。

佐久間くん、マジでヤバい人だ。

スタジオに登場した瞬間から、もう普通じゃない。マツコさんが言うように、まず発声がヤバい。常にお腹の底から声が出ていて、誰に何を聞かれても言われてもずーっと笑顔。周りのトークやリアクションに合わせてくるくる変わる愛らしい表情。スタジオにいた他のアニヲタのお兄さんたちとも秒で仲良くなれる凄まじいコミュ力。

何より、大好きなアニメを熱く語っている時の、好きなものの魅力を思いっきり人に伝えられる!という喜びのオーラが本当にすごかった。
私が嗜んできたのは専ら「少年ジャンプ」や「少年サンデー」の漫画やアニメで、番組内で佐久間くんが紹介していた日常系や萌えキャラ系の作品はよく知らなかった。
正直、そういう系のアニメのファンダムって「年端もいかない幼顔の女の子キャラを成人男性たちが性的な目で見ている」というイメージも強くて、なんとなく敬遠してしまう界隈でもあったのだ。
でも、佐久間くんが「日常系のアニメを見ている時って、神の視点なんですよ」「(アニメキャラの)その子たちに恋愛感情とか、一切ない」とキッパリ言い切る姿を見て、
「あれ、今まで私が抱いてきた感情ってもしかして偏見だったかも?」と気づかされたのだ。
もちろん、中には未成年や高校生の女の子キャラを本当にそういう目で見て、それを公共の場でも隠さなかったりするアニメヲタクの層は一定数いるんだろう。
でも、アウトデラックスでの佐久間くんの、「ただただアニメが好き!」というアツい感情の発露を目の当たりにして、私は母や姉妹の姿を目にした時と同じ感想を持ったのだ。
ああ、やっぱり「好き」の力ってすごいなぁ、と。
そして、そんな「好き」を与えてくれるアイドル自身もまた、何かを「好き」という気持ちで、自分の心を満たしたり、また誰かを魅了したりしているんだと知った。

OAを見終わってすぐ、姉妹の姉に連絡を入れた。
「アウトデラックス見たよ!佐久間くんすごかったね」。
姉からの返信は、
「さっくん、ガチのオタクだからね笑笑」。
あ、ファンからは「さっくん」って呼ばれてるんだ。そうか、「ガチ」なんだ…………。
不特定多数からの「好き」を溢れるほど毎日受け取りながら、自分自身もまた誰か(何か)への「好き」を炸裂させて生きている人。すごいな、佐久間大介くん。
そんなわけで、私がSnow Manで一番最初に認識したのは佐久間くんだった。
この時のアウトデラックスの放送分は、今でもハードディスクに大切に保存して時々見返している。

私が佐久間くんを知り、衝撃を受けたアウトデラックスのOAから十数日経った、2019年8月8日。
いつものようにスマホを開くと、私の目に飛び込んできたのは

Snow Man・SixTONES 同日デビュー決定‼︎

Twitterを開いても、Yahoo!ニュースを開いても、この日は一日この話題がトレンドに上がっていた。
そっか、デビューするのか。友だちが応援し続けてきたアイドルグループがついに、しかも二組同時に。

さっそく姉妹2人に「Snow ManとSixTONESがデビューするって聞いたよ!おめでとう!」と連絡。
2人からは「ありがとう!」「デビューの日が楽しみ」と、喜びに溢れたメッセージが返ってきた。
私が初見で衝撃を受けたあの佐久間くんも、CDデビューするんだなぁ。この頃の私は、少なくとも「アウトデラックス」を見る前よりはSnow Manの存在を意識するようになっていた。

姉妹と話せば必ずSnow ManやSixTONESの話題が出て、実際Snow Manに一人気になるメンバーがいたのに、この時期になっても私は彼らのファンになるどころか、YouTubeの動画をちょっと覗いてみたりすることすらなかった。

それまで私がハマってきたものといえば少年漫画とアニメ、好きな音楽のジャンルはVOCALOID。三次元なら2011〜12年頃のK-POPブームで来日していたKARAや少女時代、そして一世を風靡したAKB48、高校に入ってからは欅坂46(現櫻坂46)に夢中だった。
16歳の誕生日を迎えた時は「初音ミクと同い年だ!」と一人はしゃいでいた。(何の話?)
10代も終わりにさしかかったこの頃には、秋元康が年若い女の子たちにプロデュースする世界観や歌詞、制服モチーフの衣装や幼さを押し付ける売り方に違和感を覚えはじめ、48グループや坂道グループからは距離を置き始めていたけれど、生身の人間で私が好きになってきたのはいつだって女性アイドルたちだった。
「ガッツリ応援したいと思えるジャニーズタレントに出会うことはないまま思春期前期を過ごした」と前述したけれど、そもそも「生身の男性を好きになる、推す」という概念がこの時の私にはなかったように思う。

少し個人的な話になるけれど、ちょうどこの頃(2019年夏頃)は、私が自分自身のセクシュアリティをうっすらと自覚し始めた時期でもあった。
世間や多くの人が言う「(異性同士の)恋愛」「(異性同士の)セックス」に、いつまで経っても全く興味を持てず、そもそも「誰かを好きになる」という感情がどんなものかも全く理解できなかった。
「好き」って何⁇なんで皆当たり前のように彼氏や彼女を作ったりデートしたりしてるんだろう。高校時代は、同級生たちのTwitterやInstagramを覗いてはその度に混乱していた。
祖父母や親戚から口々に言われる「いつかはいい人に出会って結婚するんだよ」「彼氏がいなくて寂しいね」という言葉に強烈な違和感を覚えはじめてもいた。
誰かと恋愛やセックスをしたいという欲求を持たないまま20歳にさしかかろうとしていた私。
生身の人間で好きになってきたのはいつも女性アイドル、と書いたけれど、同性である彼女たちに恋愛感情(いわゆる「リアコ感情」)を抱いたことも、全くなかった。まさにアウトデラックスで佐久間くんが話していたみたいに、キャッキャと仲良く戯れる彼女たちを、「神の視点」で微笑ましく眺めていた。
男性にも、女性にも、誰にも恋愛感情や特別な思慕の念を持たない自分と周囲や世間を比べては、一人悶々と悩み、一人暮らしの部屋に閉じこもって過ごした時期もあった。

そんなある日、私はひょんなことから「アロマンティック」「アセクシュアル」という言葉を知る。
Twitterのタイムラインにたまたま流れてきたのだったか、自分で調べた結果だったのか、細かいことは覚えていないけれど、私は息を呑んだ。

これ、私のことじゃん。

「アロマンティック」とは他者に恋愛感情を抱かない人、「アセクシュアル」とは他者に性的感情を抱かない人のこと。

https://www.vogue.co.jp/change/article/identifying-unconscious-bias-29


今までずっと「私はどこかおかしいんじゃないか」と一人で悶々と悩んでいたけれど、なんだ、ちゃんと「アロマンティック」「アセクシュアル」って名前がついているんだ。
人間にとって一番苦しいのは、自分の苦しみの原因が、正体がなんなのか分からないことじゃないのかな。

周囲にいわゆる「カミングアウト」をして理解や援助を得るという段階には進まなかったし、今も家族やリアルの友人にすら打ち明けていないけれど、私と同じアイデンティティを持つ人が他にも少なからずいる、という事実は救いになったし、
「私はこういう人間なんだ」と自分自身のことを説明する語彙を一つ身につけた感覚があった。
(セクシュアリティというものがその人のアイデンティティの一つである、ということにもこの時気がついた)

自分のセクシュアリティを自覚するとともに、今まで(たとえそれが画面の向こうの人だとしても)まともに関係を持ってこなかった異性との接し方(?)に対する自分なりの考えも、自覚はしていなくともこの時から少しずつ土台ができ始めていたんじゃないかと思う。全部後付けだけど。
異性のアイドル(アイドルじゃなくても、何かしらの表現をして舞台に立つ人)のファンは、皆多かれ少なかれ恋愛感情を持って彼ら彼女らを応援しているものだ、という思い込みを私は強く持っていた気がする。
そんな思い込みだけで出来上がった「アイドルのファン像」からはかけ離れた自分を見て、「私はジャニーズのファンじゃない」と無意識に自分を決めつけて、「気になるなぁ」と思いつつもSnow Manにしっかり接近する(=色々なコンテンツを見たりファンになる)ことはなかったんじゃないか。
自分自身のことをもっとよく知り、やわらかい感受性でこの世界を生きていれば、もっと早くSnow Manを深く知ることができたかも。もったいないことをしたなぁ、と今は思う。

そうやって自分自身について悶々と悩みながら、Snow Man、何となく気になるなぁと思いながら、大学に行って授業を受けて、アルバイトに行って、家に帰ってご飯を食べて、お風呂に入って寝て。
そういう自分の生活を、ただ追われるようにこなしていくうちに、あっという間に時間は過ぎていった。

2020年1月。
今から振り返ると、コロナ禍が始まる直前だったこの時期。
お正月には祖父母の家に家族が集まって、みんなでSnow ManとSixTONESゲストに招かれた「しゃべくり007」を見たことが記憶に残っている。
Snow Man・SixTONES、みんな個性豊かでお喋りが上手な、魅力的な人たちだった。家族も「最近のジャニーズの子たちはしっかりバラエティできるんだねぇ」なんて感心していた。
他にも、渡辺くんと田中くんが共演した「ホンマでっか!?TV」、SixTONESが出演した「おしゃれイズム」もリアルタイムで視聴した。
しゃべくりに限らず、この頃のスノストのデビュー番宣ラッシュ、なんで録画しておかなかったんだ!と今は後悔してるけど、私とSnow Manの距離は確実に近づきつつあった。

そして、ついにやって来た1月22日。
Snow Man・SixTONES同日デビューの日。
この日のことは鮮明に覚えている。

朝の情報番組「ZIP!」に、両グループがデビュー曲披露のために出演した。
この日は平日で、私も普通に大学で授業があったけど、登校直前、朝ご飯を食べながら部屋のテレビでSnow Manの「D.D.」のパフォーマンスを見守っていた。3年前からその存在を知っていたにも拘らず、彼らのパフォーマンスを見るのはこれが初めてだった。

え、Snow Manすごいな。

次々と繰り出される華麗なアクロバット。ハードなダンスをこなしながら、俺たちは前進していくぞ!と強気な歌詞を歌い上げる勇ましい姿。
アウトデラックスでアニメを熱弁してた佐久間くん、どこいった⁇曲の初っ端からバチイケかましてるじゃん………。
アクロバットパートの最後に、ステージの最前に躍り出て綺麗な宙返りしたお兄さん、かっこよすぎない?
グレーのきれいめジャケットの塩顔お兄さん、歌うますぎない⁇
センターの子、オーラがやばい。とにかくオーラがやばい。現役高校生ってマジ?めちゃくちゃ大人っぽいな!

のちのち、宙返りお兄さんは岩本照くん、歌うま塩顔お兄さんは渡辺翔太くん、オーラがやばいセンターの子はラウールくんと、個々の彼らを知っていくことになるのだけど、とにかく、このデビュー日の、初めて目にしたSnow Manのパフォーマンスに、私は完全に釘付けになってしまった。9人が繰り広げるエンターテイメントの世界に、気がつけば夢中になっていた。
そして、すぐにYouTubeを開き、「D.D.」のMVを繰り返し再生するように。

おお、やっぱりアクロバットすごいな。かっこいい。
あと、MVの世界観も好き。近未来宇宙ステーション…………⁇清冽で、いい意味でピリッとした緊張感があるMV。
あと謎の植物に囲まれたボックスの中に入ってるSnow Man可愛い。やっぱり近未来………⁇
あと、メンバーのことはまだよく知らないけど一人一人のビジュアルの良さを引き立てる衣装もいい。きれいめだったり、スラっとしたスタイルが際立つものだったり、かっこよさの中にアクセントになるカジュアルさがあったり。アイドルの衣装ってその子その子に合わせてちゃんと考えられているんだなぁ。
そんなことを考えながら、暇さえあればこのMVを見る日々が始まった。

佐久間くんのアウトデラックスの時よろしく、今度は姉妹の妹にメッセージを送った。
「デビューおめでとう!ZIP見たよ!Snow Manすごいね!?」
興奮気味の私に、妹はさらなる新しい扉を開いてくれた。
「Crazy F-R-E-A-S-H Beatっていう曲もめちゃくちゃ中毒性あってかっこいいよ!おすすめ!」

そっか、Snow Man、他にも持ち歌あるんだな。
せっかくおすすめしてもらったし、D.D以外の曲も聴いてみようか。
お風呂上がりにいつものようにSnow ManのYouTubeを開き、動画を再生した。


なんだこれ!?

開始1秒から「何が始まるんだ………?」とゾクゾクさせられるサウンドとメンバーの佇まい。白ホリの背景に黒のスーツというシンプルだからこそダンスの実力を誤魔化せないセット。
そして何より、人間の体ってこんな動きができるんだ!?とただただ驚愕させられる振り付けの数々。
複雑に展開されるフォーメーションの中に生まれる一体感。
あと、Dup dup dup mhmm…って繰り返しながら足をぐにゃぐにゃさせる(語彙力皆無)パートの中毒性がヤバい。
髪を乾かすのも忘れてこのダンスビデオをリピートした。一度記憶を消してこれを最初に見た時の衝撃をもう一度味わいたい。真剣にそう思ったし今でもその気持ちは変わらない。
まあ、これがなんとメンバー振り付けだと知った時また更なる衝撃を受けることになるわけですが、長くなって仕方ないので泣く泣く割愛します。

すごいな、Snow Man。彼らが私たちに見せてくれるエンタメは美しくて、カッコよくて、そして何もかもが計算しつくされている。
友人の影響を受けて、彼女たちにすすめられるままSnow Manのパフォーマンスを見てきたけれど、その全てに本当にただただ言葉を超えてぶん殴られてるような感覚がずっと残っているし、ステージで発揮する、実力で黙らせる!という気概の強さも感じてゾクゾクした。
あれ、私もしかしてすごい人たちに出逢っちゃったかも…………。

誰かの、何かのファンになるきっかけや過程は本当に人それぞれだけど、私は比較的、本当にゆっくりゆっくりとSnow Manを好きになった人間だと思う。
高校時代に友人たちを通じてグループ名を知り、大学に入ってたまたま見た番組で一人のメンバーの顔と名前を覚え、デビューすることを知ってなんとなくテレビ露出を追い始め、そしてデビュー日のパフォーマンスを見て本格的に気になり始める。
前述したような自分自身のセクシュアリティを自覚するまでの葛藤や色んな出来事があって、ガッツリ「推す」ことになるまではかなり時間を要した。

その理由の一つが、2020年1月に始まったコロナ禍。
未曾有のウイルスの脅威がじわじわと忍び寄り、各番組でも連日のように報道され、今までの「日常」が少しずつ壊れていくような、ひたひたとやって来る恐怖に私は戸惑っていた。
残っていた大学の授業(後期)はなんとかギリギリで全て対面授業で終えることができたけれど、その後迎えた長い長い春休みは、鬱屈として息苦しいものだった。
不要不急の外出禁止、マスク生活、緊急事態宣言、ステイホーム。毎週通っていたアルバイトも休業になり、大学の春休みも一か月近く延長され、本格的に自宅アパートにこもる日々が始まった。
もちろん感染に対する強い恐怖もあったし、ちょっと熱っぽいだけでコロナかと怯えたり、何ともなくても無症状で感染しているんじゃないかと落ち着かなくなったり、常に息苦しさを感じる毎日。
私の住んでいる土地はいわゆる「田舎」なので、最初の感染者が大きく報じられ、ネットでの誹謗中傷、個人情報晒し、感染しただけで村八分にされる空気も本当に怖かった。
でも、一番辛かったのは、今まで当たり前に享受できていた「好き」の供給が途絶えるようになったこと。
大好きな図書館も休館、本屋さんも営業時間短縮、楽しみにしていたアニメも制作中断。
当たり前だった日常が激変し、それに加えて心に潤いを与えてくれていた日々のささやかな楽しみまでコロナで制限され、私は少しずつ、でも確実に動けなくなっていった。

5月、ようやくスタートした新学期。
授業は全てオンラインかオンデマンド、ただひたすら講義内容を聞いて課題を提出して、を繰り返す日々。一緒に受講している学生たちの顔が全く見えない授業もあったし、オンライン上で意見を交換しあっても、どこか一方通行でぎくしゃくしてしまう不自然さも感じていた。
毎日毎日こなしているこの課題たちは、果たして本当に自分にとって実りあるものになっているのだろうか。ちゃんとゼミや卒論に臨める力がついているのだろうか。
元々読書が好きで、書くことで何かを表現するのが好きで、日本文学を学べるところを、と探して進学した大学。毎日授業に出るのが楽しみだったのに、難しい課題すら挑戦状を叩きつけられたようでどこか嬉しかったのに、私はコロナ禍で学ぶ意味を、意欲を失ってしまった。

フルリモートの生活がスタートしてしばらくは、表面上なんとかこなせていた大学生活だったけれど、次第にひびが入り始めた。
オンライン授業が始まる前突然涙が止まらなくなったり、一人暮らしの部屋で過ごしていると深い気分の落ち込みに襲われるようにもなった。
悪夢も見るようになった。ドラッグストアで、大勢の人がマスクを求めて争っている夢。コロナに感染するのではないかと怯えながら買い物に出かける夢。感染症そのものに罹ることはなくても、コロナ禍は私の心身に深刻なダメージを与えていた。

とうとう限界がやってきたのは7月。
体調も精神状態も最悪な中で学期末の課題の締め切りに追われ、どんどん削られていく睡眠時間。それに加えて止まらない悪夢。慢性的な疲労感とひどい倦怠感にも苦しめられ、本当にどん底の状態。

大好きな文学の勉強だけど、これ以上続けることはできない。

もう無理だ。

泣く泣く実家の両親に状況を打ち明け、2年生前期の終了と共に一年間の休学を決めた。
これでまとまった休息の時間が取れる、と安堵する気持ちと、同級生たちと一緒に卒業できない、卒論も就職もどうなるか分からない不安が一気に押し寄せ、休学を決めたからといって一件落着、とはならず、複雑な気持ちのせめぎ合いと体調不良に苦しめられる日々がまた始まった。

この苦しさって、もしかして永遠に続くの?
このまま人生終わるのかな。
そんな不安に襲われて、ますます不安定になる精神状態。情緒が乱れることによって食事を摂るのも苦しくなり、体調もますます悪くなるという負のループ。依然として猛威をふるうコロナウイルス感染症。学業を一旦ストップしても、肉体的にも精神的にも限界な日々は終わらなかった。

私は、一般的な大学生に比べると極端に人付き合いが少なくて、社交性も低いタイプの人間だと思う。
授業を受けるためにキャンパスに行っても、朝から夕方までずっと一人行動。口を開くのは、先生に当てられた時と学食でメニューを注文する時だけ。自分の声を響かせることも、誰かの声と共鳴することもない毎日。
しかし、そんな日々に特に不満を抱いていたわけではなく、大好きな読書に没頭したりアパートにこもって音楽を聴いて過ごしたり…………コロナ禍が始まる前、私はそれなりに満たされていたと思う。

でも、そんな一人に慣れきっていた私にとってもコロナ禍で生まれた「孤独」は大きな打撃だったのだ。
普段は自分ひとりで自由気ままに過ごしていても、気が向けば友だちと映画を観に行ったり、長期休みには実家に帰省したり、そうやって誰かとすぐにつながり合える生活がコロナで消えてしまった。
「自分の意思で一人でいる」ことと、「周囲の状況からやむを得ず一人隔たれざるをえない」ことはやっぱり全然違う。
感染対策のためと、誰ともつながり合えない孤独感から、私は肉体も精神もますます内向的になっていった。読書、文学、勉強、音楽………何かに対する「好き」という情熱も、いつしかか細く途切れそうになっていた。

(補足:この体調不良とメンタルの不調が本格的に始まった2020年夏から約半年が経った2021年春、私はついに意を決して心療内科の門を叩く。
診断名は「双極性障害II型」。10代の頃から続いた原因不明の苦しみに、やっと名前がつけられた瞬間だった。メンタルの疾患持ちのジャニオタであることも、後ほど少し触れたいと思う)


どんなに心身ともに滅入っていても、人間は寝て食べて生活を続けなければならない。本当にボロボロな状態の中、8月、私とSnow Manの決定的な出逢いの日がやって来た。

その日は大学の学生食堂に出かけて食事をしていた。使えるものは使うちゃっかりした性格のためか、休学を決めてからもキャンパスにはちょくちょく足を運んでいたのだ。

私はHSP(Highly Sensitive Person)という生まれ持った気質のためか、周囲の雑音や話し声に敏感で、それによって刺激を受けて疲れを溜めこんでしまうタイプの人間だ。なので出かけ先では基本的にイヤホンで音楽を聴いているし、学食のような公共の場所になれば尚更だった。
いつものように適当に好きな曲を再生しながらメニューを選び、会計を済ませて席に着く。
家では食事中基本的にテレビを見ているためなのか、一度席に着くとYouTubeでこれまた適当に選んだおすすめ動画を再生しながらご飯を食べていた。出逢いが訪れたのはこの時。いつものようにホーム画面を開くと、表示されたのは一本の動画。

「Snow Man【達人登場!】目黒蓮が本領発揮…ザリガニ釣り!」

あ、年始から気になってたSnow Manの動画だ。そうだ、公式YouTubeチャンネルがあるんだったな……。ていうか、キラキラジャニーズアイドルがザリガニ釣りってマジ?
そんなちょっとした好奇心から、おすすめに偶然表示されたその動画を再生した。


え、Snow Manって素敵すぎない!?


メンバーの目黒くんたっての希望で実現したというこの企画。緑豊かな自然公園で、メンバーが2チームに分かれてザリガニ釣りに挑戦し、釣果を競うという内容。
まず目を奪われたのは、メンバー同士の自然体な仲の良さ。オープニングから9人でぎゅっとくっついて、目黒くんがやりたいことを皆で一緒に楽しもう!という一体感だった。
釣りを始める前に必要な道具を受け取る時の、バケツを持つ、竿を抱える役割分担がしっかりできているところ、男性同士でも自然と肩を組んで歩いたりする可愛らしいスキンシップ。
へぇ、Snow Manってこんなグループなんだなあ。

職員の人にうまく釣れるコツを聞いてしっかり実践する阿部くんの賢さよ。
岩本くんがザリガニを釣ったけど向井くんが運ぶバケツが間に合わず、結果逃してしまうまでの一連の流れが、とにかくわちゃわちゃしていて可愛い。「照にぃごめん」としょんぼりして謝る向井くんに、にっこり笑顔で「いいよ」と即座に返してあげる岩本くんの優しさよ。
スタッフさんに「昔どこでザリガニ釣ってました?」と訊かれて、家族との思い出をまったりと語る佐久間くんの姿に、こちらまで幸せな気持ちになる。お父さんと息子たちがザリガニに夢中になって「母ちゃんが一番つまらない一日を過ごす」って言ってるけど、家族が楽しそうにしてる姿を見て、お母さんもきっと幸せだったと思うよ。
その佐久間くんがやっとザリガニをゲットして「佐久間の逆襲」と嬉しそうにしているところにぽそっと「宮舘の逆襲…」と呟く宮舘くんがツボ。もしかして、口数少ないけどめちゃくちゃ面白い人?
そしてこの企画の発案者である目黒蓮のギャップがエグい。見た目はハンサムなシティボーイなのに、ザリガニ釣りに果敢に挑み、次々と釣果をあげるその野生児み。「ギャップ」って、この人のためにある言葉なのかも。
なかなか思い通りに釣りができず見るからに落ち込んでいる可愛いラウール、この子本当に「D.D.」でイケ散らかしてたあのラウールくんですか?
スタッフさんとまるで気の置けない友だちのようにお喋りしながら、うまく釣れない状況すら楽しんでいそうな深澤くん、推せる。あとピアスを着けた横顔も美人すぎる。
渡辺くん、一見辛口に見えてその実苦戦しているメンバーを気遣う優しさの人。裏表なくいい意味で思ったことを全部口に出す素直さが好きだ。

15分もない動画で、こんなにメンバー9人個人個人の好きなところを見つけることができた。
そして、最初にも書いたように、Snow Man、グループとして一体になった時の仲の良さが素敵すぎる。
動画の終盤、結果発表をする段で、当初は2チームに分かれて競う内容だったはずなのに、皆が「楽しかった」「普通にコミュニケーション取ってた」「一人が釣れたらみんなで喜ぶ」「またプライベートで来たい」と口々に言う。皆で楽しもう、この時間をシェアしようという幸福な空間。
あとザリガニが犇めいているバケツの中を覗き込んで皆でワーキャー大騒ぎする一連の流れが面白すぎて食堂で笑いをこらえるのに必死だった。

メンバーの顔と名前がギリギリ一致するかしないかという状態だったこの時も、向井くん一人が関西の出身で、ラウールが一人すごく年下だということはなんとなく理解していた。
年齢も出身地も、アイデンティティもバラバラな9人の男の子たちが、ただただザリガニ釣りという一つのことに夢中になって、皆で仲良くはしゃいで「またやりたいね!」とニコニコしている姿。

Snow Man、好きになる要素しかないな。

久しぶりに満たされた食事時間をもたらしてくれたことにも感謝だし、これって約1年前の動画なのか。もっと最近の動画も見てみたいかも……。
こんなに笑顔になれて、ワクワクして、そして幸せになれるエンタメを提供してくれるSnow Manの魅力って、ステージでのパフォーマンスだけじゃなかったんだなあ。
新鮮な驚きと、お腹も心も満たされた幸福感でいっぱいになりながら学食を後にした。そして、ついさっきまで見ていた動画の内容を反芻していた。

まだ小さいザリガニを釣り上げて「こいつは子どもだ、逃がすっ!」て即座に言う向井くん、優しかったなあ……。
水辺にぼーっと佇む渡辺くんに「日曜日のおじいちゃんや」「おじいちゃーん、もう帰るよお。もう帰るから準備しててねえ」って声をかける向井くん、あまりにもキレキレで面白すぎたなあ……。

私、向井くん好きかもしれない……。

とてつもなく長くなったけれど、これが私と向井康二くんの出逢いだ。

Snow Manの沼に落ちるまでと、康二くんの魅力

私がSnow Manの沼に足を踏み入れはじめたこの頃(2020年初秋)は、ちょうど2枚目のシングルとなる『KISSIN’MY LIPS/Stories』のプロモーション期間でもあった。
せっかく好きになったんだから、最新のSnow Manの動向もチェックしたいな。そんな気持ちで私はまたYouTubeを開いた。

私が最初に見たザリガニ釣り動画はJr.時代のもので、配信元も「ジャニーズJr.チャンネル」だったけれど、そういえばデビューを果たしたSnow Manはグループ公式YouTubeチャンネルを持っているんだった。高校時代から話には聞いていたけど、ジャニーズも本当にSNSを活用する時代になったんだなぁ。そんなことを思いながら再生したのがこの動画。


え、Snow Manって超人集団だったの……?


まず、自分たちの持ち歌を倍速で踊ってみようという発想からしてもうぶっ飛んでいる。
しかも、こんなにテンポが速くてそして細かい振り付けがぎゅぎゅっと詰まっている曲を………。
まず、当たり前のように1.5倍速バージョンをさらりと踊りこなしてしまうところからして常人とは思えない。続く2倍速もたったの2回で成功させてしまうSnow Man。え、マジで何者なの?本当にザリガニ釣りでキャッキャとはしゃいでいたあの子たちと同一人物なの……?私は本当に混乱していた。

しかし、どこかで腑に落ちている自分がいた。
Snow Manは、9人全員が何事に対しても「本気」で「真剣」なのだ。仕事なんだから当たり前、と言ってしまえばそれまでかもしれないけど、いい加減な気持ちでやっている人が一人もいない。
挑むものがザリガニ釣りだろうと倍速ダンスだろうと、彼らのスタンスは同じ。本気でやる。そして楽しむ。
うまくいかないことに悩み悔しさをあらわにするストイックな人、それを朗らかに励まし元気づける芯の強い人、ただ黙々と縁の下の力持ちをつとめる大黒柱、力強い言葉と振る舞いで全員を成功に導く圧倒的リーダー。
すごいな、Snow Man。ものすごくかっこいい。
ザリガニ釣り動画で彼らの仲の良さや可愛らしさに心惹かれ、Stories倍速動画でそのストイックさと飽くなき向上心に惚れた。
やっぱりSnow Man、本当に好きになる要素しかないグループだ。
そして、相変わらず向井くんのことも気になっていた。天真爛漫で可愛らしく、それでいてグループが掲げる目標の達成のためなら尽力を惜しまない姿。
最初は向井くんの可愛らしいところに惹かれたけれど、それだけではない真面目で努力家なところも知り、ますます向井くんのことが好きになっていった。

この動画で「Stories」を初めてちゃんと聴いた私は、改めて「そうだ、MVも見てみよう」と思い立つ。
聞けば、テレビアニメ『ブラッククローバー』のOPだとか。すごいなぁ、ジャニーズアイドルがアニメの主題歌を担当する時代になったんだ。アウトデラックスで思う存分愛するアニメを語っていた佐久間くん、さぞ喜んでいるだろうなぁ。早速MVを再生。

向井くん、どうした……………????

岩本くんにうまくバケツをパスできなくてザリガニを逃してしまい、「照にぃごめん」と叱られた子犬のようにしょんぼりしていたあの可愛い向井くん、
渡辺くんに「日曜日のおじいちゃんや」と的確なツッコミを入れて皆を笑わせていたあのお茶目な向井くん、どこにいったの…………?静かな佇まい、どこか影のある表情、次の瞬間には消えてしまうんじゃないかと思わされる儚さ。それでいながら、大きな壁に挑む人たちのありのままの生きざまを表現しようとする力強い眼差し。
向井くんって、こんな多彩な表情を見せる人だったんだ…………。

「背負うべきものなど何一つないさ 全て抱きしめてゆく」
「たとえばそれが痛みだとしても」
この歌詞、好きだなぁ。
向井くんの少し鼻にかかる甘くて中毒性のある歌声。人の心をとろけさせる甘さがありつつも、芯があってくっきりと耳に残る。
割り振られた歌詞を的確な感性で捉え、歌い上げる表現力。儚さと強さを同時に併せ持つパワフルさ。
向井くんはスーパーアイドルなんだなぁ……。
ザリガニ釣り動画の話で、目黒蓮を「ギャップ」と表現したけれど、向井康二もまた「ギャップ」の人だ、と思った。
子犬のように天真爛漫で可愛らしく、見る人を惹きつけて離さない愛嬌と、「この人、ふっとかき消えてしまうんじゃないかな」と一瞬思わされもする静けさと儚さ。なんてすごい人なんだ………。
この頃には「向井くん」ではなく、「康二くん」と呼ぶようにもなり、本格的にSnow Manのファン、そして向井康二担になりはじめていた。

こうなると「向井康二のパフォーマンス」に強く惹かれるようになってくる。私はSnow Manのパフォーマンス動画を片っ端から見漁るようになった。
そして、決定的な沼落ちの決め手になったのがこの動画。

向井康二さん、最強アイドルすぎる。

語り出すと長くなって仕方がないので、箇条書きにしてまとめてみたいと思う。
●Party!Party!Party!二番頭の「好きにやればいい 人生はone time one chance it’s true」
→カメラの位置、今自分のパフォーマンスのどこが抜かれているのか的確に捉えるのが上手すぎる。細かい体のパーツの使い方も目線の送り方も動線も、何もかもがパーフェクト。拍手喝采、としか言いようがない。
●Lock on!の「Lock on! Lock on!」(4分49秒あたり)
→はい、向井康二に完全にロックオンされました。いくらなんでも可愛いがすぎます。キラキラした笑顔と元気いっぱいなダンス、周りに幸せを振りまくエネルギー。本当に最強すぎる。
●「すっごいごいごい」「ゴイゴイスー!!」→お客さんと息の合った掛け合いと、その一体感によって会場をさらに盛り上げる生粋のエンターテイナー(人のネタだけど!笑)。パフォーマンスでかなり体力を使っただろうにトークパートでも全力な姿、推す要素しかない。

結果、このYTFFの映像で私はスノ担、向井康二担になった。
「Snow Man好きになった!」と母と姉妹たちに報告すると、驚きと喜びに満ちたリアクションが返ってきた。「まさかあんたに本当に好きなグループができるとはねぇ」「Snow Man、かっこいいでしょ!」。私の新しい「好き」によって、もともと親密だった人たちとの繋がりが更に深まるのを感じた。
そして、好きになったその彼のことを調べていくうちに、康二くん(ここからは「康二くん」呼び)はお笑いならお任せあれ!の面白すぎるバラエティ隊長であることも知った。
確かに、康二くんはめちゃくちゃ面白い。ザリガニ釣り動画の時もそうだったし、この頃はSnow ManのYouTubeのパフォーマンス以外の動画も見るようになっていて、特に声優王の回では腹筋がちぎれるんじゃないかと思うほど笑わせてもらった。
バラエティ番組を見ていても錚々たる司会者の方々に臆せず笑いを仕掛けていく姿に感服したし、そうやって常に「皆を楽しませよう、笑ってもらおう」と努力を怠らない姿勢も、私が向井康二という人に深く惚れ込んだ理由の一つだ。

でも、私は康二くんの「パフォーマンス力」に強く心を動かされたオタクだ。バラエティやYouTubeでドッカンドッカンと笑いを取り、共演者も見る人も向井ワールドに連れていく茶目っ気たっぷりな姿に、私は「康二くんって面白くて優しい近所のお兄ちゃんみたいだな」と思ってしまうことがある。
私が向井担をしていて一番楽しいのは、その錯覚から目が醒めて、ポンと現実に突き放される瞬間だ。
向井康二くんは、ある時は世界一キュートな笑顔で瞳の中に星を宿し、またある時は尖った影のある表情で見る人を無限の世界に引き込んでいく。多彩すぎる表情と表現で人を魅了する人。「近所のお兄ちゃん」ではないのだ。
彼のパフォーマンス力の強さは、康二くんがもともとすごく運動神経がよくて、スポーツ経験が豊富な人だということも関係していると思う。機敏な動きと軽やかな舞、そして時にはずしんと画面の中で存在感を増す身のこなし。本当に美しすぎる。
テレビやYouTubeでパフォーマンスを披露するごとに、スキルアップして自信をつけているのが目に見えて分かるのも推しポイント。ダンスビデオでは他のメンバーについていくのが必死という様子だったCFBも、いつしか曲中でメンバーと触れ合ったり、計算し尽くされた表情管理を見せつけてくれるほど余裕が出てきたし、
デビュー曲の「D.D.」を例に挙げるならば、「きっと答えはいつもキミと共にある」で拳を前に打ち出すところ。MVやデビュー初期ごろの音楽番組では、キレがありつつもどこか自信なさげに見えたのが、回を重ねるごとに力強く、自分たちは前進していくぞという強い意志を持ってその拳が空を切っているように見えて、本当に好きだ。好きでしかない。
そして、そのパフォーマンスを生み出すための影での努力を一切私たちに見せようとしないところに、プロのアイドル向井康二の矜持が感じられる。
毎日更新されるブログに綴られるのは、今日の起床時間、何時から仕事だったか、ごはんは何を食べたか、そんななんてことなくて微笑ましいものばかり。挫折や苦労がなかったはずはないのに、それを決して自ら表に出さないところに、康二くんの気高さをも感じる。
康二くんが常に最高のパフォーマンスを更新することができる周りの環境も素晴らしいのだろう。Snow Manはただ仲が良いだけではなく、いつ何時も切磋琢磨する姿勢を忘れないグループなんだなぁ。

Snow Manと康二くんに出逢い、私はコロナ禍でいつしか忘れていた、何かを、誰かをまっすぐに深く「好き」と思う気持ちを、少しずつ、でも確実に取り戻していった。鬱屈として閉塞感が漂っていたあの日々の中で、唯一良かったことといえば「Snow Manと康二くんとの出逢い」、この一言に尽きる。
康二くんの太陽のように明るく、何度も言うけれど天真爛漫でハッピーオーラをふりまく姿につられて、日常生活でも笑顔が増えていった。

とはいえ、康二くんは気丈で明るく、強いばかりの人ではない。
メンバーが口々に語るように「グループいちの泣き虫」で、少しでもメンバーにそっけなく対応されたり、振り入れが上手くいかないと涙を流してしまう人。そして、何かに感動したり、誰かの熱い想いに触れたり、そうやって心が動いた時素直に泣ける人でもあるのだ。
私は康二くんが涙を流すたび、「思う存分、いっぱい泣けばいいよ」と思う。
「そして、また笑顔を見せてね」と。
明るい、可愛い、愛嬌、面白い、こまめ………そんなアイドルとしての「強み」だけではなく、時に悲しくなり、悔しくなり、心が震えて、カメラの前でも隠さず涙する、心の柔らかくてもろい部分すらきちんとさらけ出せる人。
私はそんな康二くんを、強い人だなぁ、とつくづく思うのだ。

康二くんといえば、アイドルとしての確かな表現力に裏打ちされた演技力も魅力の一つ。
康二くんのファンになり、康二くんが出演していると知って鑑賞したドラマ『白い巨塔』、本当に素晴らしかった。
康二くんが演じるのは、医療ミスで愛する父親を亡くしてしまう大学生・佐々木庸一。
このドラマが撮影、放映された2019年当時、康二くんは24歳くらいだったと思う。
実年齢と異なる年代の役に抜擢されるなんてお芝居をしていれば当たり前に起きることだとは思うが、画面の中の庸一くんを演じる康二くんの「普通の大学生の男の子」っぷりがとにかく凄かった。
突然の容態の急変で父親の庸平を亡くし、途方に暮れながらも母親と葬儀を執り行う庸一くん。
繰り返すようだけれど庸一くんは20歳そこそこの大学生だ。普段は私服で生活しているだろうし、学生だからスーツも着慣れていないだろう。
その、「突然肉親を亡くし、慌てて葬儀の準備をして喪服を着ている大学生」の庸一くんの佇まいが本当に的確で、康二くんの演技力と役作りの賜物だとしみじみ感じた。
そして、財前医師(岡田准一くん)と裁判で争うシーンで、「この医者は嘘つきです!」と叫んで椅子から立ち上がる庸一くん。鳥肌が立った。限界まで追い詰められ悲しみにくれた人間の、途方もない怒りを全身で表現する姿に、ただただ惚れるしかなかった。

康二くんのお芝居といえば、『滝沢歌舞伎ZERO』で彼が演じる官兵衛も、重要な役として挙げておきたい。
普段は太陽のように明るくて、身振り手振りもリアクションも大きく、愛嬌たっぷりな康二くん。
そんな彼が、無機質な表情で、刃物のような鋭い目をして、恐ろしい悪党を見事に演じ切っている。
私は『滝沢歌舞伎ZERO 2020 the movie』を劇場で鑑賞し、クライマックスの官兵衛の「皆殺しにしろおぉぉぉ!!!」という絶叫で涙が止まらなかった。劇場を出ても、帰りの電車の中でもずっと泣いていた。
「新吉を斬れ」と以蔵に命じた時、官兵衛は以蔵を信じていたのだ。人の心を失ってただただ人間を殺戮し金品を奪う機械のような官兵衛にも、自分についてきてほしい、一緒に生きてほしいと誰かに願う心が残っていたのだ。
しかし、官兵衛の希望は打ち砕かれてしまう。以蔵は新吉親分を庇い、彼と共に生きる人生を選ぶ。
人間の心の最後の守らなければならない場所、柔らかくて繊細な部分を破壊された悲哀と、本当に真っ黒に染まってしまった人間の叫びが、官兵衛のあの言葉に詰まっていると私は思う。
どんなに悪い奴だったとしても、私は官兵衛にも幸せになってほしかった。私は新吉親分もお丸さんも徳俵の旦那も、金銀兄弟も半兵衛も以蔵もあべぞうもなべろうもみんな好きだ。でも、一番に幸せになってほしいのは官兵衛だった。
官兵衛は、半兵衛にも以蔵にも不器用な優しさをたくさん見せていたんじゃないか。彼らは確かに悪党だけれど、同時に社会の犠牲者でもあるんじゃないか。人斬りや強盗をしなくても、まっとうに幸せに生きていける人生があったはずではないのか。
官兵衛があんな最期を迎えたと思うとあまりに辛すぎて、私は「WITH LOVE」を、鼠小僧の登場人物たちの来世の姿だと思うことにしている。
官兵衛は生まれ変わって、温かい愛に包まれて生きているのだ。ちゃんと笑顔に、幸せになれる人生が始まったのだ。だからもう悲しまなくていい。そうやって自分を慰めた。
一つの役に観客をここまで没入させる役者・向井康二の表現力に改めて脱帽する。
個人的には、康二くんに社会派だったりサスペンス作品のキャストとしてお声がかかったらまた新しい世界が開けるだろうな、と思っている。何にせよ、彼の今までもこれからもあらゆる可能性に満ちていて、ワクワクするような希望に溢れている。


さて、前項で触れた、私がメンタルの疾患持ちのジャニオタであることにここで少しだけ触れたいと思う。
2年前の春に「双極性障害Ⅱ型」と診断された私は、その後も休学と復学を繰り返しながら、通院と投薬を続けて療養生活を送っている。
双極性障害を一言で説明するならば、「気持ちのアップダウンに振り回される病気」だ。
自分は何でもできる無敵のスーパーヒーローになったかのような気分になる躁と、何もかもが真っ暗闇の中にあるようなどん底の気分になる鬱を繰り返す病気。この疾患は、私のいわゆる「推し活」にも少なくない影響を与えている。
たとえば、メンタル疾患に伴う睡眠のリズムの不安定さから、精神状態や体調を崩しがちになり、多くの人が楽しんで見るバラエティ番組の明るさについていけない。鬱状態でSNSに触れるのが辛いので、Snow Manや康二くんに関する最新の情報をチェックし損ねるなどなど、さまざまな状況が重なって、私は彼らのコンテンツを常に全て追っているわけではない。
康二くんが毎日更新してくれるブログだって一週間分ほど溜めておいてまとめ読みすることもザラにあるし、毎月(ものによっては毎週)発売される雑誌となると、買っているものの方が少ないくらいだ。康二くんが活躍していると噂には聞いている「ドッキリGP」も、そもそも人が慌てふためいたり怖がったりする姿を見るのが嫌なので一切視聴していない。
いつ、何を、どんな風に見るか、読むか、楽しむか。その線引きをキッチリすることで私は私を守っている。

そして、私はコンサートや舞台などのいわゆる「現場」に行ったことが一度もない。
滝沢歌舞伎ZERO2021、2022、Snow Man Live Tour2021 Mania、2022 Laboも、最初から応募しなかった。
長距離移動や人混み、大きな音や強い光が自分にとってよくない刺激になり、ますます心身の調子を崩してしまうと予め予測がついていたからだ。
現場にたくさん入ることがオタクとしての成功度として語られる風潮も根強いジャニオタの世界では、私の行動は理解し難いと思われるかもしれない。
Snow Man本人たちも、さほど現場に行きたい欲求がないファンの存在など想像もしていないだろうし、私自身が彼らの言う「ファンの皆さん」の中に含まれていないことも了承済みだ。
私は私なりのやり方で、大好きなSnow Manと康二くんをこれからも応援していこうと思う。


さて、康二くんに話を戻そう。
ここまでパフォーマンス、お芝居と康二くんの好きなところを挙げてきたが、テレビのインタビューや記者会見、YouTubeや Instagram等の生配信で康二くんが見せる細やかな気遣いも、私が向井康二を愛する1,000,000個の理由のうちの一つだ。
9人組というアイドルグループとしては大所帯なSnow Man、そんな彼らをMCとしてまとめ上げるのは優しくて頼もしい最年長のふっかさんだ。そして、Snow Manのトークの舵取りをする彼を、影に日向に力強く支えるのが康二くん。
例えばすのちゅーぶやYouTube生配信、FC動画で何かのゲームに皆で挑戦する時、ふっかさんの番が回ってくるとすかさずMCを代わりに務める康二くん。ふっかさんと同じく、メンバーを優しく励まし、時にはちょっとした小話を挟んで場を和ませ、そしてキレキレのツッコミを入れて盛り上げる。
康二くんがどこまで意識しているかは分からないけれど、結果としてMCという大役がふっかさん一人の肩にのしかかることなく、Snow Manというグループの面白さの厚みが増しているように思う。
特に好きなのは、グループで取材を受けていて、インタビュアーさんに「〇〇さん、どうですか?」と他のメンバーに話が振られた時、すかさず「教えてよ!」と一声挟んでそのメンバーが話しやすくなるポジティブな空気を作ってくれるところ。
私のように自己主張が苦手で、友人と話していても「私の話って需要あるのかな………」と喋っているうちから落ち込んでしまうタイプの人間にとって、康二くんのような存在は本当にありがたいのだ。
でも、康二くんは「メンバーのためにやってあげている感」を全然出さない。あくまで「この場を皆で楽しもう」というスタンスを崩さない。つくづく偉い人だなぁ、と思う。
パフォーマンス力抜群で、バラエティに出れば怖いものなし、お芝居でも抜群の表現力を発揮、メンバーや周囲の人に細やかなフォローまでできる。

向井康二って、最高で最強のエンターテイナーだ。
君に出逢えた私の人生、まだまだ捨てたもんじゃないね。
私のSnow Man沼落ち記録、向井康二くんの好きなところ語りは、この辺で筆を置こうと思う。

康二くんを推しながら、ずっと思っていること

さて、ここからはSnow Manや向井康二くんの好きなところや素敵なところばかりではない、ずっと思っていることについて少し綴ってみたいと思う。

ラジオで、就活の面接でパンツスーツのチャックが開いていたことに気づかなかったというリスナーからのお便りに「リスナーが女性なら、スーツのチャックが開いてパンツが見えてたから面接に受かった」と言ったこと。

ライブのMCで、ふっかさんに「ゲイ雑誌の表紙なら載れますよ」とイジったこと。

少クラで「女性がカバンを斜めがけにしている胸スラッシュにドキドキする。どういうつもりでやっているのか」と話したこと。

メンバー間でのカンチョーがテレビで放送され、それが物議を醸した時、ブログに「今の時代やから昔やってたノリがあかんっていうのは好きじゃない」と書いたこと。

雑誌で、小学生の頃教室にあるものさし棒で女の子のスカートをめくったことがあると答えたこと。

それスノのリンクコーデ対決で、「ラウールくんがセット裏でマネキンのスカートをめくり、中を覗いていた」というエピソードを受けて、スタジオにいるふっかさんに「めくってみ!」とマネキンのスカートをめくるのを、佐久間くん目黒くん阿部くんと一緒に煽ったこと。

昨年夏のすのちゅーぶの企画「阿部ちゃん先生」で、
「卑弥呼は本当はパッチリ二重の目だけど、男を寄せ付けたくない時は一重にする」と発言したこと。

『滝沢歌舞伎ZERO FINAL』の舞台で、「私」という一人称を使って話した後輩に対して「オカマおるで」と笑ったこと。


女性蔑視、ルッキズム、性暴力への意識の低さ、同性愛嫌悪、性的マイノリティの人々への差別意識。
康二くんがそんな価値観を色濃く含んだ言動をするたびに、ずきずきと心臓が痛む。悲鳴を上げる。
デビュー年からのファンで全てのコンテンツを追っているわけではない私が見聞きしただけでもこれほど出てくるのだから、関西Jr.時代から知っているファンからすればもっと惨い発言があるんだろう。

康二くん、本当に、本当にダメだよ。
ちゃんと反省して。せめて謝罪だけでもして。
周りにいるスタッフも、それはいけないことだとちゃんと指導して、二度と起こらないようにするのが仕事じゃないの?
毎日のように顔を合わせて一緒にいるメンバーは、康二くんの目に余る言動の数々に何も思わないの?
どうして向井担の、スノ担のほとんどが「可愛い」「やっぱり男の子なんだね」と笑っていられるんだろう。
康二くんの発言で、行動で、踏み躙られ涙を流している人が確かにこの世界にいるのに。

CDを100万枚売り上げ、表紙を飾った雑誌は予約の時点で品切れ、テレビ番組に出演すればすぐさまその名前と発言がSNSのトレンドを独占するSnow Man。そんなグループが、その一員である自分が持つ影響力の大きさを想像できない、彼の、彼らのその鈍さが私は苦しい。
それスノでスカートめくりが面白おかしい男の子のイタズラに仕立て上げられるのをその場で見ていたゆさぴょん(矢崎由紗さん)が、もし学校や登下校の道中で性被害に遭った時、「それスノでSnow Manみんなが笑って面白がっているんだから、笑って許してあげなきゃいけないんだ」と思ってしまったら。
瞼が一重だったり、それをコンプレックスに思っている女の子が、すのちゅーぶでの康二くんの発言を聞いた誰かに「一重にして男を寄せ付けないようにしてるの?Snow Manがそう言って笑ってたよ」と笑い者にされたら。
「(やっぱり)私の容姿は人から貶され、バカにされるようなものなんだ」と、鏡に映る自分の顔を見るたびに、自分の容姿を意識するたびに苦しむことになったら。
康二くんは、Snow Manは、どうやって責任を取るつもりなのだろう。いや、彼らに「責任を取る」ことなどできるのか。

正直、この問題に対する答えは出ていない。
テレビやYouTubeや雑誌でいつも最高に可愛くてかっこいい姿を見せてくれる康二くんに「康二くん!!!」とメロメロになりながら、
Snow Man9人のテンポがよくて個性に溢れるトークに爆笑しながら、
毎日のように女性への、女児への性暴力が報道され、「女」を見下し蔑む価値観が蔓延る日本に生きている女である自分が悲鳴を上げている、そんな心がバラバラになってしまうような状況を何度も味わってきたし、その苦痛は今や慢性化しつつある。

この数ヶ月で、2019年に死去したジャニー喜多川前社長の所属タレントへの性加害問題が明るみになり、NHKまでもが取り上げるようになった。
それでも現社長は記者会見も開かず、2分足らずの動画で逃げ、性加害についても「知らなかった」、告発を選んだ人々のことを「被害を訴えられている方々」と称した。
こんな事務所がタレントの人権や尊厳を守ってくれるはずがない。
幼い頃にこの世界に入り、プライベートゾーンの知識も自分の心と体を守る方法も、性暴力やセクシャルハラスメント、性的マイノリティの人々の存在も、何一つ教えられず、ただただデビューへの競争に発破をかけられた彼(ら)も、被害者なのだと思う。

この社会に生きる私たちが一人一人連帯して、こんな暴力や差別が罷り通る世の中はおかしいと、それは決して許されないことなのだと表明する、途方もなく長い長い道のりを経なければ、この世界は変わらないのだろう。康二くんのあらゆる意味で差別的な言動もなくならないのだろう。
だから私は声を上げ続けたい。砂漠に水を撒くような虚しさを時に感じたとしても、決して無力ではないから。
差別や暴力を温存する構造の中でぬくぬくと利権を貪りながら、弱い人を踏み躙ってのうのうと生きている人たちのせいで、そんな人たちの存在を許す構造のせいで、好きなことを諦めるのは嫌だ。
だから、私は今日もこんな世界に抵抗しながら、Snow Manを、向井康二くんを、好きで居続けたいと思う。

おわりに

今現在の私の、向井康二くんに対する思いの丈を全て綴りました。ここまで読み進めてくださり、本当にありがとうございます。改めてお礼を申し上げます。
Snow Manと、向井康二くんと共に生きる私の人生はこれからも続くと思います。
またこうやってブログを書いて、誰かと気持ちをシェアできたらいいな。

そして、このブログを書く途中で心が折れそうになってしまった時、優しく励まして再び筆を取らせてくれた大切な友人に感謝します。あなたに、一番にこのブログを読んでほしいな。いつも支えてくれて本当にありがとう。
そして、普段Twitterで温かく交流してくれるフォロワーの皆様にも大きな愛を捧げたいと思います。皆様と繋がれる私のアカウントはもう一つの家です。

それではまたどこかでお会いしましょう。朔でした!



Snow Man・向井康二くん、改めて29歳のお誕生日おめでとう。あなたの全てを愛しています。


最後に、私の好きな歌を一曲紹介させてください。私はこの曲のとある歌詞を聴くたびに、いつもあなたのことを想います。

やり直さない 消さなくていい 
そのままで素敵な君なんだ
気づかない馬鹿な世界をちょっと変えたい
僕だってINNOCENCE

METAMUSE(ZOC)『A INNOCENCE』より


私と出逢ってくれてありがとう。

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