CourseraでPython for Everybodyを受講してみた(準備編)

話題のオンライン講座Courseraでミシガン大学が開講している初心者向けPythonプログラミング講座の1コース目を受けた話を書いていきます。ちょっと長い話になりそうなので、準備編と実践編の2つに分割して書きます。
(2020/3/1追記: 実践編の一部の項をこの準備編に移しました)

Courseraの基本的な情報と受講の方法については既に様々なところで解説されているのでここでは割愛します。手続きの方法や特徴については「やまのブログ」さんのページをご覧ください。

今やオンラインで日本に居ながらにして世界各国の大学の講義を聴くことができるようになったというのは画期的ですよね。

1.なぜCourseraで受講しようと思ったのか

Pythonによるプログラミングを解説した書籍が日本語で多数出版されている中で、なぜCourseraで敢えて英語の講義を受けようと思ったのか?という疑問への答えは、自分自身の英語力向上と今後勉強する機械学習や応用分野への準備のためです。

そこで、プログラミングを学習するにあたり、以下の2つの最終目標を置きました。

・1つ目に、業務効率化のためのプログラムを作ること。
・2つ目に、先端の技術にキャッチアップすること。

特に2つ目を達成するためには、英語での学習が欠かせないと思っています。Qiitaなどでプログラミングの学習録を書いている先輩方(年齢的にはきっと一回り以上下の"先輩"もいる)の記事を読んでいると、先端の技術やアルゴリズムを学ぶのであれば英語での学習は必須だなと感じました。
そのため、自分の英語力をブラッシュアップさせるためにも、敢えて英語の講義を手軽な料金で受講して技術と英語力をいっぺんにモノにしてやろうという意気でいます。

高校時代の恩師が残した「貪欲に頑張れ、結果はついてくる」という言葉を今もたまに思い出します。

2.始める前に

このPython for Everybodyはミシガン大学が提供する講座"Python for Everybody Specialization"の第1コースとなります。この講座は全部で5コースあり、5コース全部を修了すれば証明書が有料で入手できるというものです。
Specializationとありますので、7日間のお試し受講ができますが、その後は月額課金となりますのでご注意ください。2020/2/20現在、受講料は5コース共通で49.00 USD/月です。1ドル110円換算ですと5,390円ですね。


3.英語力はどれくらい必要か

さて、受講を始める前に気になるところが、英語力。講義を聴くにあたって、どのくらいの英語力が必要なのか?という話ですが、講義内容全部を正確に理解しようとするとそれなりの英語力が必要と感じました。Podcastなどでネイティブのラジオを聞き流して内容をざっと把握できるくらいでしょうか。一方的に英語で話されてアレルギー反応が出る方にはオススメできません。(笑)

ただし、講義の内容は全動画にスクリプトが表示され、動画の進行とともにトレースされていくので、教授が何と話したのかは文字上で追うことができます。詰まったら一時停止して辞書を引くことも可能です。とは言え、英語から日本語に逐一翻訳していると日が暮れてしまいますので、ある程度教授が話していることが理解できれば聞き流す程度で問題ないと感じました。

講義のスピードはTEDのスピーチと同じか、少し速いくらいです。トランスクリプトを追いつつ動画を一時停止し、話していたことを確認するとよいでしょう。
なお、速さの感覚は筆者の独断と偏見によるものです。米国赴任に向けて過去のTEDをざっと視聴していて印象に残った、世界一周単独航海を成し遂げたDame Ellen MacArthurさんのスピーチを基準にしています。


4.Python開発環境

講義の中で開発環境を構築するためのインストラクションがあるので事前準備は不要ですが、筆者はatomAnacondaをインストールしています。

atomはファイル名を[*.py]と名付けて保存すると、Pythonのプログラミングに適した形でコードの文字に色がつくので、便利です。

Anacondaのインストール方法は以下をご参照ください。Pythonのバージョンは3.xを使用します。


5.何ができるようになるのか

第1コースの修了で出来るようになることは、以下の4つ(意訳)です。

・Pythonを用いて簡単なプログラムが記述できる
・Pythonをインストールし、初めてのプログラムを書くことができる
・変数を呼び出し、保存し、計算することができる
・関数やループなど根本的な命令文を使うことができる

何らかのプログラミング言語を学習したことがある人であれば、これで1コースなの?そこまでしかやらないの?と目を疑ってしまうような内容だと思います。しかし、プログラミングを触ったことがない、あるいは触ったことはあるが挫折した経験がある、という人であれば第1コースから受講することをお勧めします。

教授が親切すぎるくらい丁寧に教えてくれます。(ただし英語です)


6.メリットとデメリット

Python for Everybody Specializationコースを受講してみた感想をまとめます。7日間のお試し期間が終わると受講料が月額でかかってしまうので、メリットとデメリットの両方を検討して受講するか決めましょう。無料期間でキャンセルすることを前提に、試してみるのも手です。
メリットは以下のとおりです。(個人の感想です)

・数学などの前提知識が不要である。
・講義で参照できるテキストがpdfで無料ダウンロードできる。
・最悪、開発環境が満足に使えなくても修了できる。(※第2コースまで)
・コード文の解説が色分けされていて分かりやすい
・ちょっとしたオマケ動画がついてくる。

オマケ動画はPythonの生みの親とか、Raspberry Piの開発者とか、普段目にすることができない人たちのインタビュー動画や、世界各国で学生と交流する教授の姿を見ることができます。フランスやインドやメキシコなど、世界中の聴講生の様子はとても刺激になりました。

一方で、感じたデメリットは以下の4つです。

・講義が英語である。(超重要)
・例え話がたまに難しい。
・第3コースからいきなり難しくなる。
テキストが日本人にとって読みにくく、分かりにくい。
・レクチャー動画が実はタダで見ることができる。

テキストは無料ですが、テキスト単独ではなかなか理解が難しいかもしれません。動画と行き来することでより深い理解ができるように思います。ちなみに、テキストの書籍版もあります。筆者はどうしてもテキストは紙でないと頭に入ってこない派なので、Amazonで購入しました。2020年1月当時の価格は$9.99でした。

そして最後の「レクチャー動画が実はタダで全部見ることができる」という点。このspecializationコースのほぼ全部を網羅したレクチャー動画は講義を行っているCharles Severance教授が作成したpy4eというサイトにすべてアップロードされています。

ってことは、わざわざお金を出してまでCourseraで講義を受ける意味がないのでないのでしょうか?

その通りです。
Courseraにあってpy4eサイトでの自習にないのは、次の3つです。

・受講期限が決められてしまうので、修了するためにはとにかく受講しなければならないという意識が生まれる。
・課題やミニテストをやることによって、自分の習熟度を確認できる。
・修了証をもらうことで、達成感が得られる。

言い換えると、期限を決めず自分のペースで長期的に勉強するのであれば敢えてCourseraで受講しなくてもOKです。自分は仕事の忙しさや目の前の勉強に追われてしまい、やがてPythonの勉強も中途半端になってしまうのでは、という心配からCourseraで受講することにしました。

課題やミニテストについては、最初のうちは非常に簡単な課題となっていますが回を追うごとに難しくなっていきます。(当たり前ですが…)
そのため、テキストを見返したり、動画を振り返ったり、時には一時停止をしてスクリプトを読んだりしながら着実に理解をしていくことができるようになっています。このような仕組みが、一回限りの講義ではないオンライン授業の良いところですね。


さて、準備運動はこれくらいにして、次回、いよいよ講義を受けていきます。

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