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偶然と必然と運命は紙一重

最近実家へ帰ると母は、仕事へ行く前に布団の中にいる私の頭をなでなでする。その度は私に、少し泣きそうになりながら、ああ小さい頃にこうして欲しかったなと思うのだ。


母は一般的に考えても、多分不器用だ。そしてタチが悪い。
料理をする時はなぜか味見をしないからいつも薄味だし、俗に言う”余計な一言”が多すぎるし、自虐が多い。実際それはそうという自虐内容ではあるが人の良さは認められるから、責めたらこっちが悪者のような気がしてくる。
私のことを愛していると口にするが、愛を与えてこれなかったことを悔やんで謝ってくるような人だ。謝るくらいなら、口に出すくらいなら助けて欲しかった。


その上、福島に帰って一緒に暮らそうというのだ。
小さいころ一緒に過ごせなかった時間を神様が返してくれないかと願っているらしい。勘弁してくれ。一緒に過ごすために動かなかったのはあなたでしょう。
あなたの理想の時間のために私をこどおばにしないでいただきたい。


そんなことを思いつつ、私は母が好きなのだ。好きとちょっとした許せない気持ちを常に抱えている。


現在の私は、愛着障害・摂食障害・躁鬱病という、彼女にしたくないランキング上位に食い込みそうなフルコンボ疾患を抱えている。それでも私を彼女にしてくれた、変わり者と言わざるを得ない彼氏のおかげでなんとか生きている。


別に、母のせいでこうなった訳ではないと思う。母が幼稚園の選択を誤ったから。父が死んでしまったから。周りに助けてくれる大人がいなかったから。貧乏で水商売をせざるを得なかったから。理由をあげようと思えばいくらでもあげられるけれど、過去は変えられない。かといってそれをバネに強く生きていこう!みたいなポジティブな思考も持ち合わせていない。


割と人生に困っている。
食べたものを全部吐き出して呆然とトイレを見下ろす瞬間が嫌いだ。生きている理由を考え出したら人間病んでいる証拠だよ。


幸せが何かわからないのに、幸せになりたいとどこかで願ってしまう。不幸の方が圧倒的に楽なことだけはわかっているのに、どうも足掻いてしまう。
否定されるのが怖い。本気で人を好きになってもその人が離れてしまうのが怖い。周りの女の子全員が自分より魅力的に見える。私が稼げているのは若さと愛嬌ゆえであって人として魅力がある訳ではない。初見殺しだ。彼氏がなぜあんなにも私を手放したがらないのかわからない。お金と見たくれが欠けたら私になにが残るというのだ。


時間は記憶を濾過していく。
3年後の私が、今の私を救ってくれていますように。

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