魔性の子

 初版組です。新刊の前におさらいしておかないとすっかり忘れてるし、というわけで読み返したので読書メモ。ただこの話は若干トラウマで、思い立ってはみたものの読み返すの躊躇して遅れました。読了してみれば結構内容覚えてました。怖くて印象強かったみたい。
 当時は十二国の話が続く予定でも無かったはずなのに最初から細かい設定を盛り込んでるのすごい。すごく意味がわからない。
 あとすごいのが!前に読んだ時はスマホが無かったから広瀬の籠もりたい外国の山がどんな場所とかよくわからなかったのに今は読みながら片手で調べられるんだよ!感慨深い。インターネットじゃなくて文字だけのパソコン通信の時代でした。と覚えてるのはNIFTYのSFフォーラムでプッシュされてたからですこの作品が。
 この当時は「僕の地球を守って」という少女漫画が売れていた頃と重なるかな。漫画に感化された読者の中に、作者さんに向かって「実は私も転生者です」とか迫る人たちが少なからずいて、「いやこれは現実じゃなくてお話です」と作者さんがわざわざ宣言してて大変そうだったのを思い出します。小野さんとは全く関係ないです。
 こういう「自分の居場所はここじゃない」幻想は古今ある。
 今思うとはじめに異世界トリップ信者全否定な前振りを書いてたからこそ、すっきり続きの十二国が書けたんだろうかなー?前の悪霊シリーズの頃は読者の意向が絡んで結末を好きに書けないジレンマをみた覚えがあるし。なんかこう、しがらみを断ち切るって言うか。そんなモヤモヤを晴らす意味ならば書くのはとてもたのしそうです。
 事件がどんどんでかくなっていく怖さも、スプラッター具合も怖いんだけど、最後はホラーではなく「異世界で人生やり直しオレツエー」妄想を現実の扇子で引っぱたく感じが怖かったです。広瀬見てると痛い。

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