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2023年9月の日記「温泉→夜行バスに乗ってすべてをマイナスにする」


前書き

ふと日記をつけようと思い立った。

でも私はこういうのをちゃんと3日以上つけられた試しがないので(夢日記は2週間くらいで夢と現実がごっちゃになり出して止めた)、月1くらいのゆるーいペースで続けられたらいいなと思う。

Twitter時代は気軽に意味のないことを呟いていたような気もするけど、Twitterにフリートが実装され、サークルが作られてからは時間や閲覧に制限のあるもので日常ツイートをし出した。
それがXになってから何かが明確に変わったということもないが、何となく日に日に自我を出していくのが躊躇われ、億劫になり、話をアップしていいねするだけのbotと化している。

呟かないから、というわけではないのだけど最近記憶力が著しく低下している気がする。
夜にその日の昼食べたものを思い出せなかったり、予約していた戦隊ショーをすっぽかしたり、予備のある調味料をもう一本買ったり(これは割といつもやってしまう)。うっかりが多発してるのだ。
幸いなことに仕事では大きなトラブルを起こしていないが、このままいくといつかとんでもないことをやらかすんじゃないか、という先々の不安で頭がいっぱいになる。

なので記録として日記をつけようと思った。
夢サイトを運営してたとき、更新する度にそりゃもう生き生きとあとがきやら近況やらをブログに書いていたものだった。今はサイトもブログも削除したので見返すことはできないが、楽しかった感覚だけは覚えている。またあの頃みたいな楽しい気持ちになれたらいいなと思う。

そういえば、ブログ→X(旧Twitter)→ブログと回帰してきているので、もしかしたら私には短文で簡潔に書くよりも、長文でだらだら書く方が性に合ってるのかもしれない。
ここまでの前置きで700字以上書きました。なんてこったい。ヤマもオチもない日記だけど、よかったらゆっくりしていってね!(頭だけの霊夢と魔理沙が浮かんだ君と握手!)


旅行1日目(ホテル ケーニヒスクローネ 神戸)

9月中旬頃に神戸に旅行へ行った。
本命の場所へ向かうには交通の便の繋ぎがよろしくなかったので前泊して行くことに。かの有名なお菓子店ケーニヒスクローネのホテルでお世話になった。
ナイトプランのお安め価格だったにも関わらず、手持ちのクッキー缶のお土産をいただいて、朝食のバイキングもしっかり食べて大満足。その場で作るオムレツが餅とか山芋とか、普段は入れない具材がゴロゴロいてとてもよかった。館内も部屋内もくまさんがあちらこちらにいて癒される。

ホテル入った奥にいるたぶん1番でかいくま。並んで立ってもくまの方がでかい
廊下のあちこちにもくま。手触りがよい

ダブルベッドで寝ていたら同伴者の足がダイレクトに腹に乗っかってきたので、ベイルアウト(緊急脱出)してくまのクッションを抱きながらソファで一夜を明かした。身体のあちこちがいてぇ。

一晩明けていよいよ本命の城崎温泉へ。敬愛してやまない志賀直哉先生が療養のためによく足を運んでいた地でもある。「城の崎にて」という随筆を学校で習ったときにある文に感銘を受け、それ以来志賀先生を敬愛していた私にとっては聖地巡礼である。

旅行2-3日目(城崎温泉)

城崎温泉では大小7つの温泉が徒歩圏内にあり、温泉宿や食事処、お土産屋などが所狭しとびっしり並んでいる。
昼間は私服の観光客が多いように見受けられたが、夕方頃からは皆浴衣に身を包んでほかほかとした様子で下駄を鳴らしながら歩いている。川が流れていく音を聞きながら川の両側に植えられている柳を見て歩くと、時間をゆったり感じて心地がよい。

この旅行ではじめて外にある共同浴場を「外湯(そとゆ)」、旅館内にある風呂を「内湯(うちゆ)」と呼ぶことを知った。
外湯は大きな風呂があったり、露天風呂があったりで浸かっていて気持ちがいいのは間違いないが、内湯も私が泊まった旅館では大浴場と家族風呂の2種類あり、家族風呂は空いていれば鍵をかけて貸切状態で使える。外湯と比べるとこじんまりとはしているが、周りを気にせず好きなときに身体を洗って湯船に浸かれるので違ったよさがあってよい。

私が今回泊まった宿は「三木屋」という旅館だ。
志賀先生が療養のためによく訪れていた温泉旅館で、お気に入りの客室は宿泊できないが見学は可能だ。窓から見た景色が長編小説「暗夜行路」の一説に描かれている。

夜の三木屋。木造2階建ては趣きがある

私の泊まった部屋は丁度この下の階にある客室だったため、部屋にいる間は縁側の椅子に座ってお庭からの景色をずっと眺めて過ごした。紅葉にはまだ早いので青々とした草木で彩られており、いくら見つめても飽きることはなかった。
さらに泊まっている間、晴れ、曇り、雨と3パターンの景色をコンプリートできたのでとても運がよかった。今度は冬の城崎温泉も味わいたい。

志賀先生が執筆に使っていた文机。執筆している後ろで志賀先生の奥様で団扇で仰いでいたそう
縁側からの景色。木が成長していたりして志賀先生が見ていた景色とはちょっと違うそう

旅館の醍醐味といえば温泉、和室、それから料理。
料理もとても美味しかった。
但馬牛はローストビーフもしゃぶしゃぶも舌の上で蕩けて消えたし、ズワイガニを酢につけて食べるとあっさりした味わいで喉をつるんと通っていく。あと天ぷらが本当に美味しくて箸が進んで仕方なかった。

但馬牛のローストビーフ。餡に絡めて食べると美味しい
但馬牛のしゃぶしゃぶ。口の中で一瞬で肉が溶ける
天ぷら。なすと魚(種類忘れた…)が特に美味しかった

1年ほど前に体調を崩してからどうにも胃腸の調子が悪く、1日に1食分以上の食事が受け付けない状態だったが、旅館の食事はなんとか朝晩ほぼ完食することができた。体調を崩す前は肉を好んで食べていたけど、今は魚の方が美味しく感じるようになっていたので、朝食で焼き魚が出るのが嬉しかった。カレイもはたはたも身がふっくらして美味しかったし、はたはたは初めて食べた気がする。

エテガレイの一夜干し。煮立たせて作る豆腐も美味しい
はたはたの焼き物。小骨多くて食べるの大変だけど美味しい
揚げ出し豆腐。とろっとろでめちゃくちゃ美味い…

旅行4日目(遠野物語と呪術展)

そうしてのんびりとした時間を過ごした後、同伴者と別れて私は岩手に向かう。なんでそんな無茶を。

同伴者を見送るために東京まで戻ってきたので、そこから夜行バスで8時間ほどかけて盛岡へ。さらに盛岡から列車を乗り継いで遠野の地へ。ここまで来ると、座るのが辛くてたまらない。温泉で癒した身体はプラマイ通り過ぎてマイナスにメーターが振り切った。
駅の看板が駅名+宮沢賢治先生の造語で書かれていて、イーハトーブだと興奮した。列車から見える景色も綺麗だったのだが、一眼レフで撮ってPCにデータ移動してないのでスマホの手持ち写真だけで何とかする。

遠野駅の看板。フォルクローロと言うらしい

何故神戸から岩手まで北上してきたかと言うと、7/21(金)〜9/24(日)まで遠野市立博物館で開催されていた「遠野物語と呪術」という展示を見るためだ。見たい展示のためなら身体の一つくらい犠牲にするのがオタクというもの。※こんな愚かな真似をするのはおすすめしない。
呪術は今書いているジャンルだし知識があって困ることはない。それに元々私は妖怪やら儀式やらそういった類のものが好きで、柳田國男先生の本に触れてから民俗学というジャンルにとても関心があったので、先生の著作の「遠野物語」関連とあらば興味の塊と言えた。
しかも丁度私の行く予定の日付近に既に売り切れとなっていた図録が館内で再販するとのこと。行かない理由はなかった。

晴れ晴れとした中、駅から10分ほど歩いて坂道をこえたところに博物館を見つける。平日なのでそこまで人はいないかと思ったが、老若男女それなりに歩いていてびっくりした。

遠野物語と呪術展。雰囲気からもう堪らない

「遠野物語と呪術」展のほかに、展示が3つほどあり、遠野物語に関連する展示や話を見聞きして体験できるオブジェがあったり、シアターで座敷童子の話を観られたり、遠野の昔の生活をミニチュアや展示で見たりと大ボリュームだった。ひとつひとつ展示を読み込んでゆっくり見て回っていたら4時間以上も居座っていて腹ペコになっていた。そりゃとんでもない量の情報を空きっ腹に浴びたら腹も減る。

遠野物語初版。自費出版だったそうで、勝手ながら仲間意識が芽生えた
館内のあちこちで怪異譚が。わくわくする
東北地方で信仰されている男女一対の屋敷神「オシラサマ」。こうして並ぶと圧巻

そしてついに「遠野物語と呪術」展に。
入口にはこんな注意書きが。

写り込んでしまった"何か"。意味深な文言に唆られる

占いと呪いとか、魔除けの習俗、言霊と呪符、呪術には類感呪術と感染呪術の2種類あるとか(これパネルの説明の写真を撮ったはずなのに、何故かデータに残っていない…なんで…?)、興味深い内容ばかりでずっと見ていられると思った。腹は減ってるはずだけど、なんだか満たされたような感覚になった。

趣きのある顔でよい。腰に刀を差しているそう
疫病神。家の門口に立てて疫病除けにしたとか。疫病神って祟り神じゃなくて守り神の意だったのか

呪術にゆかりのある展示もされていた。しっかり意識してくれてて流石。こう見ると布瑠部由良由良はうまく術式にしてるなと思う。でも自爆技にするのはえぐいて本当。悪魔の所業。

釘といえば藁人形。人を呪うためではなく治癒効果のために使用していたよう
布瑠部由良由良。死者蘇生の儀式ってそういう……。伏黒くんの術式への落とし込み方がえぐい。

お土産として今回の展示の図録と、座敷童子の没落注意缶バッチを購入しました。缶バッチめちゃくちゃかわいくていい…。

図録と缶バッジ。すごく、いい…

この後帰って身体がボロボロすぎて寝込んで、調子の良かった胃腸も逆戻りした。無謀な旅は止めような。

パーフェクトブルーリバイバル上映+平沢師匠の話

今敏監督の初監督作品である「パーフェクトブルー」が9/15(金)〜9/28(木)まで全国の映画館でリバイバル上映された。
私が今監督を知ったのは「パプリカ」をTVで観たときから。確か、小学校の中学年か高学年くらいだった気がする。今監督が得意とする夢と現実が曖昧になっていく映像と演出に一気に引き込まれた。

そして同時に音楽を担当していた平沢進師匠にもハマることになる。9/8(金)、9/9(土)、9/17(日)の3日間で行われた「HYBRID PHONON 2566」、めちゃくちゃ良かった。
私は特に核Pが好きなので、ビストロンとか暗黒πドゥアイ、パラ・ユニフス、Alarmなどなどたくさん聴けたのが本当に嬉しくて配信全通した。3日目でまさかのLOTUSからのパレードを聴けると思わなくて、最高すぎてわんわん泣いた。配信で良かった。現地にいたら家に帰れなかったかもしれないから。
今回のライブで知ったMonster A Go Goがすっかり癖になってCDほしいと思ったのだが、現在入手不可能なBOXセットのボーナストラックに収録されているという難易度♾️に折れた。配信死ぬほど周回したけど、それでも手元で聴けるようにしたいと思ってしまう。今回のライブのDVD化、4年後※か……。気長に待とう。
※平沢師匠のライブDVDは何故か不明だが4年後に出る。最近、5年前に実施した「回=回」の円盤化がされて馬骨(平沢師匠のファン名称)さん達が大はしゃぎしていた。遮眼大師とBig Brotherが大好きだから、私ももちろん家の中で小躍りした。

話が大きく脱線したが、今監督作品の話に戻る。
「パプリカ」を観た後は「千年女優」「東京ゴッドファーザーズ」「妄想代理人」を観て、漫画の「OPUS」も読み、「パーフェクトブルー」だけが未視聴の状態だった。
日本では1998年に公開され、R15指定なこともあり地上波では上映されず、DVDもなかなか入手できずで諦めかけていたときにリマスター上映のニュースを目にした。こんなの喜ぶより他ないだろう。

パーフェクトブルーのポスター。鑑賞後に見るとまたよい

そんなわけで2回行ってきた。本当はもっと行きたかったけど、先の旅行と被り、旅行後体調を崩したので叶わなかった。それでも2回観られたのだから幸福だ。
今監督の初監督作品ということもあって、映像のあちらこちらに後の作品の断片を感じる演出が見られたり、夢と現実が交錯していくシナリオは健在で、こんな初期から監督の作りたいものがはっきりしてたのかと驚いた。
はじめて観たときは夢と現実と女優として演じる3つの演出がどんどん混ざり合っていって、すっかり放心状態になったまま映画館を出て、現実に地に足ついてないような浮遊感のまま家に帰り、また映画について考えてしまうということを繰り返した。
仕事やプライベートで追い詰められて気疲れしていたというタイミングもあったと思うけど、こんなにものめり込んだのはあまりない感覚だった。ものすごく貴重な体験だったと思う。

映画の内容が、一周回って現代にフィットした作品になっていて、それも凄まじかった。
アイドルの未麻(みま)が卒業して女優一本でやっていく決意をする。けれど清純な役ばかりでなく、お色気な役をやらされることもある。それを認めないファンもいるが着実に女優としてのキャリアを積んでいく。そんな中、未麻がお色気役をやるように仕向けた脚本家や脱がせる噂のカメラマンが次々と目を抉られて殺されていく……。
そしてファンが運営している未麻の部屋という未麻がブログを更新してるていで作られたサイトを、最初は面白半分で見ていたが、自分の行動とぴたりと一致することに気づき、ストーカーの存在がジワジワと未麻を苦しめる。
精神的に徐々に侵されていく未麻はある時アイドルだった時の自分を幻視する。堪えながら女優をしている未麻と違い、自由気ままにアイドルとして振る舞う未麻を見ている内にどちらが本当の自分か分からなくなり、夢と現実が交錯していく……。

アイドルから女優に転身することに対する反応とか、男性が振る舞う暴力性とか、確実に通ずるものがあって、FAXとか子機電話とか、出てくる小物は古さを感じるのにテーマはちっとも古臭くなくて身震いすらした。今監督が今も生きていたらどんな作品を残したのか、観測できないのが本当に残念で仕方ない。また作品を見返そう。

お腹が空いたので、2回目観に行った後、りんご入りかぼちゃとベーコンのキッシュを食べた。めちゃくちゃ美味しかった。キッシュ、この世で1番好きな食べ物かもしれない。アップルパイも持ち帰って後日食べたらこっちも最高だった。また食べに行きたい。
そんなこんなで突然日記はおしまい。

かぼちゃとベーコンのキッシュ。リンゴがアクセントに。ミネストローネも美味

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