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子供の頃の思い出したお話。

 今日は写真を撮れるような明るさの天気ではなく、雨が降ったり止んだりの空模様でした。

 さてどうしたものか?と久しぶりに怪談文庫を読んでいました。

 そんな時に思い出した子供の頃のドキドキしたお話。

 つまらない話ですが、怖いなと思ったことを40年経って思い出しました。


 私が小学校に上がる前には既にあったのだろう人形のお話です。

 上半身はプラスチック製の、日本だとリカちゃん人形みたいな感じだけど、明らかにフランス人形な上品な顔立ち。
 下半身がお酒の一升瓶。
 それを赤と白の毛糸で編んだドレスで隠すという、なんて言うのか、瓶人形?がありました。

 母方祖母が手芸等うまくて、おそらくこの瓶人形は祖母が作ったのだと思います。

 いかんせん私の家は貧しくて、昭和50年代の女の子が持っているリカちゃん人形や、バービー人形なんてものは買ってもらえませんでした。私自身はそういうのに興味なしだったのですが、一つ上の姉が女の子らしくそういう人形を欲しがっていました。でも買ってもらえません。

 だからなのか、知らないうちに家にはこの瓶人形が飾られるようになっていました。

 下手ですが思い出した感じに描いてみました。この子の腹部辺りから下が一升瓶です。

 瓶の口を上半身腹部の空洞になってるところに差していたはずです。

 人形に興味のない私でもこの瓶人形は好きでした。
 着せる服も毛糸のドレス一着だけでしたが、瓶ごと抱いたりして遊んでいました。名前を付けて遊んでいたことも思い出しました。当時結構はまっていた「小公女」主人公の「セーラ」と名付けていたように思います。

 そんな上品な人形なのですが…。

 本当はこんなところに飾っては危ないのですが、箪笥の上に飾られていました。
 当時市営住宅に暮らし、寝室なんて上等な部屋はなかったので、8畳間に両親姉と弟5人で布団を並べて寝ていました。
 箪笥は頭側。

 小学生低学年の頃、その人形が向きを変えていました。
 父さんは几帳面で、飾り物は正面を向いていないと気が済まない人なので、遊んだ後はしっかり前を向かせて置いていました。

 私自身もその人形が好きだったので、まっすぐ向いている人形を見てはニコニコしていました。

 その人形が気持ち悪く感じたのは、見られてると感じたからなのですが。

 朝起きたらその人形はまっすぐではなくほんの少し斜めに向きを変えていました。
 姉の寝ている方に向いている。
 私の方を向く場合はもう少しきつめに斜めに向いているはずなので、姉を見ていたのだと思ったのですが、姉は気のせいだと言って人形をまっすぐに直していました。当時の姉も父に似て几帳面です。私はズボラだったので、私がまっすぐにしなかっただけだと怒られました。

 そんなことが数か月続き、慣れたころ、それの体が瓶から落ちました。瓶に差しているところがヘタっていたわけではありません。結構しっかりつけていてかなり力を加えないと取れなかったのですが、ドレスごと下に落ちました。
 日中誰もいない家の中で一人遊びをしていた時だったのでビビりました。
怒られるのが嫌で、頑張ってビンに取り付けました。裸の状態の人形をきつく握って付けていたので、がっつりはめ込むまで人形は私の手の中でつぶれた状態でした。(今思えば、これ、相当怖いことしてたな…。)

 取り付けてからビンから取れないように、輪ゴムで縛り付けていたことも思い出しました。
 そうしてから毛糸のドレスを着せてやりました。

 それからだったと思います。その人形の目がやたらと冷たく感じるようになりました。

 高学年になったあたり、その人形の置き場が箪笥から本棚の上に変わりました。
 そのころにはこの人形で遊ぶこともなかったのですが、本棚の一番上に置かれたそれが私を見下ろすような感じになったことで不気味さが際立つようになりました。
 落ちないように奥の方に置かれていたはずのそれが、気付けば手前まで来ていて、危ないと思い、椅子を持ってきて乗り、その人形を奥に押しやっていたことも、今頃になって異常だったのだと気付きました。(そもそも動くはずない)

 いつの間にかその人形も廃棄されたようで、視線を感じることもなくなりましたが、思い出すと気味が悪いです。

(母はどうやってそれを処分したのだろう?ゴミとして捨てたのかな?)

 たいして怖い話ではないのですが、子供の頃の私には怖い体験でした。


 写真は全く関係のない、2020年7月26日の姉川古戦場で撮ったものです。



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