あめふりくまのこ

♪おーやまーにあーめがふーりましてー

梅雨時は、保育園や幼稚園などで歌われているポップスかなぁと思います。

6月は、聴いてみたくなる童謡です。

これを譜面で見てみると、メロディーが描く曲線の美しさに驚きます。

「やさしく話しかけるように」

と、譜面の一小節左上に明記されている。

絵本の読み聞かせの歌の絵本ですと、

「はらぺこあおむし」「できるかな?」など、絵本とは、別に聴いても楽しい歌があります。

「あめふりくまのこ」は、絵がなくても、詩で情景が浮かびます。ただし、これは、雨の風景、お山、小川を見たことがあり、記憶しているから、思い浮かべることができる。

では、これを見たこともない、聴いたこともないこどもに聴かせたときにどんな反応が起きるかといえば、わたしが見たこどもたちは、静かに聴き入るのです。

それは、旋律の美しさのなせる技。

こどもの歌う歌は、概ねヘ長調で作られていることが多い。もしくは、ト長調。こどもの歌う声の音域は、ハ長調より、高いのは、声を聴けばわかることです。

「あめふりくまのこ」は、原曲はニ長調。

絶妙な長調。

童謡の伴奏は、メロディーライン、要は歌う人を想定して、とにかくシンプルに弾くもの、と学生の頃、教わりました。

今も、伴奏はシンプルな方がよいと思っています。

歌う人も聴く人もよいなと思える伴奏は、メロディーラインを引き立てつつ、歌ったこどもの声と合致したときに、初めて完成されるものかな、と思います。

いきなり伴奏だけ弾いても歌えないお子さんもいらっしゃる。ところが、

あめふりくまのこ、は、メロディーは、繰り返し5番まであり、メロディーを繰り返し、耳に残していく。

最後の和音は、シューマンの「トロイメライ(子供の情景より)」を思い起こしました。

大人が聴いてしまえば、懐かしく、こどもにしてみたら、雨の原風景を音として聴いてしまう。聴いている人のそれぞれの時間が重なる曲は、名曲なんだと思います。ベルグソンの言っている時間は、そんな曲が流れる時では、ないかなぁと聴きながら思いました。

メロディーを捉えるためのガイドとしての伴奏。

ハーモニーとしての伴奏。

無駄のない余白。

すごい!

梅雨のうつうつとした感じをのらりくらりと乗り越えていく、波のようなメロディー。

100年後もきっと、残っている曲ですね。


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