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リンゴの唄

母が認知症と診断されてから、
いつもそばで誰かが寝るようにしている。

マンションの上下で暮らす我が家。
上が私たち家族、下が母1人。

昨日は私の夫が母の隣で寝ていた。

明け方まだ暗い時間。

母が急に『リンゴの唄』を歌い出したのだそうだ。

びっくりして隣を見るとどうやら眠っている様子。

夢でこんなにクリアに綺麗に歌えるのか?!
と、しばらく耳を澄ましていたそうだ。

母は歌が大好き。そして上手い。

疫病下、デイサービスでは歌えなくなってしまい、

最初のうちは1人でラジカセで
歌っていたが、
人の前で歌うのが好きな母、
1人じゃつまんない
と、やめてしまった。

ー やっとみんなで歌えるー!
となったある日ある時、
では皆さんでリンゴの唄を歌いましょう!
ということになり、母は嬉しくて
皆さんの前に立って歌い始めた。

最初のうちはみんなで歌っていたのに、
1人去り2人去り…
気がついたら自分だけが歌ってる。

あれ?これ、夢?
あー、本当に歌ってる!

となりは?
あ、〇〇ちゃん寝てる…

うわぁ恥ずかしい ー

で、すっかり目が覚めたそうだ。

お母さん、ほんまに歌上手いなぁ
気持ちよさそうに歌ってたわ。
間奏までつけて2番に入ったとこで終わって残念やったわ〜

と夫。

寝ながら歌うって相当体力がいる。

凄いなこの人は。

病気しても怪我してもただじゃ起きない。

これからどんな人生が待ってるんだろう。

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