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爪切り

今朝、爪を切りながら思い出した。

6歳からピアノを始めて以来、
爪切りは相棒。
どれでも良いわけではありません。

今使っているものは
音大受験の前日に買ってもらったもの。
40年以上も使っていることになる?!
もう切れ味も悪くなっているでしょう。
けれど、使い心地が良いのです。

受験のその日まで『東京』に出たことのなかった私。

テレビで見たり聞いたりするだけだった『東京』。

受験が終わるまで、まさか自分が合格するわけない
と思っていたので、
どこか他人事のようでした。
なので到着してすぐに
のんきに東京見物などしていました。

銀座をぶらぶらしていた時、
「お前、爪切りは持ってきたのか?」と父に言われるまで、
全く爪切りのことを忘れていました。
必携のものなのに。

(爪切りなんてどこに売ってるんだろう…)

父は「よし!」と言って足早に、確信を持って歩き始めました。

いつのまにか
日本橋の東急デパートの1階にある、
ガラスケースに雑貨が並んでいるお店に着きました。

トマトの模様のついた小さな爪切り。
小さいのに高かった!

デパートは高いな…

けど父はそれをもう包んでもらっていました。

よく爪切りなんて気がついたもんだ…

今頃になってつくづくそう思うのです。

爪切りを見るたびに
「練習しろよ」
星一徹みたいだった父の声が聞こえます(・_・;




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