【創作】 はじめてのバーって緊張してしまう。
はじめて入ったバーだった。
仕事で嫌なことがあってふらりと立ち寄った。ドアを開けると60年台のジャズをBGMに、薄暗い照明の下、客がまばらに座っている。
俺はカウンター前の右から2番目に一直線に向かう。入る前からそこに腰掛けると決めていた。故に足取りは堂々と迷いなく運ばれる。はじめての場所で「こなれ感」を出すには迷わないことが一番いい。
そのルールにのっとり、バーテンからメニューを差し出されると、さっと全体を見たわして最初に目についたものを注文する。さも「俺は散々パーを回って