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待つ困難、生まれるクリエイティビティ

護符沙汰しております。﨑山です。
オルタナティブスクールらしくとして本格的に活動を始めて4か月が経ちました。
みなさまのお陰で、
楽しく、遣り甲斐のある時間を過ごさせていただいております。
誠に有難うございます。
実際に関わっていると緊張して伝えられないことが多いので
ここで書いていきますね。
「みんな大好きです!本当に有難う!」
(直接お伝えできるよう、鍛錬に励みます。)

さて、
今回はこれまた難しい話題です。
「待つこと」
について考えていることを書いてみたいと思います。
実際に子どもたちと関わっていて、
また、人間と関わっていると
「待つ」ってこんなにも難しいことなのかと
思い知らされる毎日です。


1 映画『百姓の百の声』

先日、コザにある「シアタードーナツ」で
『百姓の百の声』という映画をみた。
初「シアタードーナツ」ということもあり、
中学生になって初めて自分用の長財布を買って
尻ポケットに入れ学校に持っていった時の様な
ドキドキ。

植物を部屋に置いたり花を飾ることは好きだが
畑も農業もやったことがない。
周りに農家もいないので、身近な話ではないが、
すごく考えさせられた。

映画自体の内容は、ネタバレになるので書かないが、
農家は、
「目の前のものから感じ取る力と見えない部分を想像する力」
の両方の力が必要とされる。

植物の育て方にもいろいろあると思うが、
同じ種類であればこうすればこうなる。
と言うセオリーがあるだろう。

しかし植物は同じように見えて一つ一つが違う個体
同じ様に、同じやり方で育てても、
実がついたりつかなかったり。
大きくなったり小さくなったり。
甘くなったりそうでなかったり。
去年は上手くいったけど、今年はなんだかなぁ。。。

セオリーに縛られると、目の前のその植物自体がおろそかになる。
目の前のその植物自体の事実から、
何が足りなのだろうか、何が余分なのだろうか、
去年との違いはなんだろうか。
目の前のものから感じ取る力、その裏にある見えない部分の想像力が試される。

また、
世の中で良かれとされている特性Aと
良かれとされている特性B
を組み合わせたからと言って、
違う土地や次の年に
それが通用するかも分からない。 

表面的な良さやセオリーに縛られすぎると
本当の良さが見えなくなってくる。
スーパーウルトラベリーグッドなものになるのではなく、
ぶれない軸の様な良さをもったそんな植物もあるはず。

「本当の良さ」が見えてくるまで、
何度も繰り返しながら表面的なものに惑わされず
「待つこと」や「試行錯誤」。
毎日の中に答えがありそうだ。

2 手っ取り早い答えを求めがち

小学校2年生の国語で、
アーノルドローベルの『お手紙』という物語がとても大好きだ。
かえるくんが友達のがまくんが悲しそうなのを心配しているシーン。

「がまくん、どうしたんだい?悲しそうじゃないか。」

「うん。1日のうちで今が一番悲しいときなんだ。お手紙を待っている時間だからね。いつも僕をとっても不幸にするんだ。」

『ふたりはともだち』アーノルドローベル

誰かと繋がっていない状態やなにかを待っている状態はとても悲しい時間。
そのあとかえるくんはとても素敵。ぜひ読んでみて。

さて、
やはり人は自分の中に答えがない状態は不安である。

来週初めてキャンプに行く人は、
恐らくyoutubeでテントの立て方や火の起こし方を
調べるだろう。
今はそれが容易に可能で答えがすぐ手に入る。
不安がなくなることで行動することへのハードルが下がっている。

それはつまり、
不安を感じる時間が短くなっていると言えるのではないだろうか。
気になったことの答えはすぐ手に入るし、
通信速度技術も上がることで地理的な制約もなく
コミュニケーションが取れるようにもなった。

しかし、すべての答えを知りえるもなく。
すぐに答えを求めてしまう傾向は、逆説的に不安を強めてしまう。
安心が不安を生む。

がまくんは
悲しい時間なのになぜ毎日待つことができたのだろう。

3 そう、だから待つ困難。

待つことは不安だから、本当に難しい。
不安に慣れていない人にとっては尚更。

例えば
子どもに片付けのやり方や意義を説明して、
やってみる。
でも次の日にはできない、できていない。
「片付けようね!」
「はーい!」
~10分後~
「できてないじゃん!がみがみ。」
「・・・・・」
「もう、やるからいいですっ」

似たようなことは様々な場面で往々にして。
この時、自分が後悔することは3つ。

1つ目は、
その子の経験を奪ってしまったこと。
代わりにやってしまうのは、少し勿体ない。

2つ目は、
怒ってしまったこと。
自分のやってほしいタイミングでできていないだけで、
怒らずともできる可能性はある。

3つ目は、
待てなかったこと。
今できていない状態、目の前の状態から感じ取って、
目に見えていないところを想像するには、
待つ時間』が必要なのに。

待つことは不安だから、本当に難しい。
どうすれば待てるようになるのだろうか。

4 生まれるクリエイティビティ

待つ時間=答えが出ていない時間
と考えてみるとどうだろう。

「1+1=2です。」
ではなく、
「1+1ってどういうことなんだろうね?」とか、

「Aさんがあなたのこと好きってよ!」
ではなく、
「Aさんは、自分のことどう思っているのだろうか。。。」とか、

「運動会のリレーの練習ではいつも1組が1位です。」
ではなく、
「明日のリレーの本番、勝てるかなぁ。」

すぐに答えをださないことで生まれる
色んな可能性でワクワクする。
答えを出してしまうと、そこで一旦終了してしまう。
待ち時間はクリエイティブになれる時間。
がまくんは、手紙をもらっていないからこそ
友達が100人(匹)いるかもしれないし、
本当にながーい手紙を書いているのかもしれないし。
待っている間は、クリエイティブなのである。

5 目の前のことを感じ取る力と見えない部分を想像する力

農業や教育は、自分の中だけで完結しない。
私の答えがどうだだけでなく、
それと同じように対象のものや人がいる。
可能性やワクワクをなくさないためにも、
直ぐに答えを出さない保留力、
待つ時間を味わう余裕をもっていたいと思う。

そして、それはやはり一人の力では実現できない。
一緒に待ってくれる、
かえるくんが必要である。

かえるくん、求ム。




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