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帝都の鶴 表紙のおはなし

とーーーーってもすてきな表紙。
イラストレーターは凪かすみ先生です。
キャラクターデザインもしていただいています。

タイトルロゴは担当編集さんとデザイナーさんが細かなところまで考えてつくってくださったものです。

表紙だけで書籍代回収でき……本編は私が精一杯頑張りました。
手に取って下さった方々、応援や、嬉しいご感想をくださったみなさま、本当にありがとうございます。

さてこちらの表紙のイラスト、本編の要素をたくさん拾って描き込んでくださっています。
タイトルで隠れてしまっている部分などもあるので、せっかくならご紹介したいな、というのが(長~い)本記事の動機。
よかったらお付き合いください。

帝都の鶴 第1巻
帝都の鶴 第2巻

かわい~お鶴と秋人さん。
実は、私の中でお鶴はずっと(情緒が)お子さまだったので、イラストをいただいて「美少女!!!」ってなりました。
この時点で「本編が詐欺にならないだろうか」不安がちらりとよぎる。
一方秋人のことは、想像を超える美青年が出現していて、白目になって「本編……(以下略)」となりました。

私は帝都の鶴以外にもいくつか小説を書いていて、設定上のヒーローの美人度があるのですが、その中では秋人は、整った顔立ちだけれど、決して突出した美人さんではなかったのです。
まあ手持ちのヒーローの中には世界遺産級の顔面(設定)のキャラクターなどいるので、相対的にそうなるだけであり、絶対値では秋人も顔で勝負できる部類のはずですが。

もちろん、キャラクターデザインをいただいたのち、私は秋人の(設定上の)顔面偏差値を上方修正しました。

でも秋人について私が一番嬉しかったのは、彼のことを私は「雰囲気が綺麗なひと」とイメージして書いていて、イラストでそれを完璧に表してくださったことです。
上で顔面が世界遺産級のキャラクターがいる、と書いていますが、このような設定は、小説という媒体ならではの無茶だと思っています。
ビジュアルイメージのない小説なら、美しすぎる顔立ちも「そう書くことでそういうことにできる」わけです。
けれどそれがイラストに起こされてしまえば、美人度の上限(イメージ)がそのイラストで固定されるんですよね。
どれほどそのイラストが美しくても、というかイラストの見事さにかかわらず、「この人の美しさはこう」という枠ができてしまいます。
有名な画家、ルノワールの描く少女はそれはもう可愛らしくて美人さんですが、そうであろうと「その少女の美しさ」はその絵画以上にも以下にも、決してならないのと同じです。

「帝都の鶴」に限らず、私が今まで書いた小説たちは、イラストをつけていただく想定をまるでしていません。
だからこそ、文字情報のみならではのキャラクターの空気感を意識していて、かなり大事にしている部分でもあります。

帝都の鶴にイラストをつけていただけることになり、望外のことに落ち着かないほど嬉しかった反面、少しだけ、不安というか、どうなっちゃうんだろう、という気持ちはありました。

杞憂でした。

プロってさすが、すごい……としみじみ感じた瞬間でした。
いらぬ心配をしたことを心底申し訳なく思います……。

小説本体を書いた本人もびっくりの美少女&美青年のお鶴&秋人、眺めていると元気が出てくるので、私はことあるごとに元気をもらっています。

1巻と2巻でのふたりの立ち位置の違いも、比べてしみじみ噛み締めて味わい深い……。
1巻ではぼんやりしている鶴が、2巻ではしっかり秋人を見上げて笑っているところ、なつき度と人間性の成長がわかりやすいですよね。

このときはまだ視線が合わないふたり
もうお互い以外目に入らなそうなふたり

ところで以前、蝶と蛾が苦手なもので、装飾やモチーフにも使わないでください、というお願いをした話はX(Twitter)でしましたが、実はこれがたぶん些事にすぎないくらい、ほかにいくつも面倒なオーダーを……していまして……。
どんなことを、は割愛しますが、それも全部汲んでいただいています。
ありがたさ上限解放MAX.Lv UP×∞

私、前世でよほど徳を積んだに違いない。
本当にありがとうございます。


1巻、2巻ともに、タイトルの後ろは薔薇のステンドグラス窓があります。
この窓は、1巻のAmazon商品紹介部分では見えるようになっています。
ここ以外にはあるのかな……?

薔薇窓~!

1巻と2巻で比べて、2巻の窓にはレースのカーテンがついています。
さらに実は2巻の窓は開いていて、向こうに綺麗な青空が見えているのです!
窓が開いて空と繋がっているって、1巻と2巻でのお鶴や秋人の状況の変化を考えると、とてもじんわりします。

外へ向かって開かれた窓!

この空の色が、また遠くまで透き通るような青で……
表紙ではタイトルに隠れてあまり見えないんですけれど、私の大好きポイントのひとつです。
とはいえどこも大好きポイントなので、ポイント(点)というか、もはや大好きポリゴン(面)というか……。

実はお鶴たちとは無関係なところで、個人的に蒼く綺麗な空には思い入れがあります。
それもあって、自分の小説の表紙に素敵な蒼穹が描かれているというのは、何重にも嬉しかったです。
何で私が蒼穹に思い入れているかは、X(Twitter)をご覧ください。2023年の1月ごろのが分かりやすいと思います。

レースのカーテンは2巻本編内で、窓際に居着いているお鶴の日除けのために、秋人が用意したものとして登場しています。
(なお、本編内ではその窓が粉々になるシーンがあるのですが、著者として誓ってこの素敵な薔薇の窓が粉々になったわけではありません)

袴+ロングワンピースのような
裾のレースがこれまたかわいい

2巻のお鶴の衣装は後書きで触れた通り、私が捏造したスタイルで、それをこうして描き起こしてくださいました。
本編では無地ですが、表紙でそれは少し寂しいと、装飾を足していただいています。
この着物の色合いも絶妙に私の好みをとらえてあって、しかしながら私が色を指定したわけではないので、私はもしかしたら、知らぬうちに希望を載せた魂の一部を飛ばしてしまっていたのかもしれない……。

装飾の薔薇がところどころまんまるの蕾なのが、お鶴みたいでかわいいです。

薔薇といえば1巻の薔薇は、秋人が鶴の髪に添えているものと、そして彼らの足もと。

ハマナス

これが、秋人のおばあちゃんが宿っていた日本原種の薔薇、ハマナス。
いわゆる「深紅の薔薇」など、薔薇といってイメージされる花のかたち(高芯咲き)とはずいぶん印象が違いますが、ハマナスはヨーロッパに渡って、様々な園芸バラの品種改良に利用されているそうです。
私は薔薇はお菓子も大好きです。ジャムや薔薇の香りの紅茶も良いですね。
ハマナスの実は、あの美容に良いとされるローズヒップなのだとか。
ローズヒップティーもおいしくて大好き。ファミレスのドリンクバーにあるので、たまに豪飲しています。


さて、ここまで素敵な表紙がどのくらい素敵か語りたくてこのノートをお送りしてまいりました。
でも、これは書けないかな、ということもいくらかあり(※決して悪いことではありません)、私の好きポリゴンを全部は語れないもどかしさが……もどかしい……!

当たり前ながらキャラクターデザイン用の資料は私が作ったわけですが、そこはキャラクターデザインのお作法など知らぬおばけです。
どんな情報があったらいいんだろう……と透け透けの脳みそをから回し、しかし結局、お送りしたデータ(PDF)の容量の大部分はどうかお願いします……! と、込めた念で占められていた(かもしれない)資料。

そんな覚束ない情報から、こんな素敵なキャラクターを描き出していただいたので、デザインやカバーイラストを見せていただいた私は「ひょえーーーーーーーー!!!!!(放心)」でした。
担当編集さんから初めてキャラクターデザインをメールでいただいたとき、ちょうど池袋のスタバにいました。放心して、ケーキとケーキと抹茶ラテ追加しながら3時間くらい居座ってしまいました……。
池袋のスタバなのは映画を観に行っていたからですね。確か、午前の最速の回を観て、そのあと次の上映までの間の時間を潰していたときだったはずです。
そこで放心したので、あやうく映画に遅れそうになりました。

表紙イラストをいただいたときは、たぶん魂がどこかに行きました。
おばけなので、そういうことには慣れているから、そこまで問題ではないのですが……。

おばけ本体。普段は人体に入って人間社会に溶け込んでいる


書籍化もイラストを描いていただくのも、初めてのことだったからこそ浮かれきっている(いまだに)のかもしれませんが、この嬉しい気持ちをずっと忘れたくないなと思います。

といっても、感情そのものはどうしたってずっとは残らないので、私はこんなに嬉しかったんだよ、ということを、こうして記録に残しているわけです。

しばらく経ってこの記事を読み返したとき、浮かれぐあいが恥ずかしくなって記事を削除したくなるのかもしれません。
でも消さずに残しておいてね、未来のおばけ。
消すにしても非公開に留めておくといいよ。

ずっと続けていると、こんなに嬉しい機会を与えていただけることもあるのだなあ、と喜びを噛み締めつつ、これからもがんばっていきます。

あらためて、ありがとうございました。

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