ポケットモンスターリコロイを見た感想(1クール編)

サトシ26年続き、(一応は)きれいな有終の美を飾り遂に次世代の主人公に交代したアニメポケットモンスター。
リコとロイの旅立ち(以下リコロイ)になり、W主人公になったものの正直なところ面白くはない。
面白くない、という意見は多々あるものの多角的に見てこういう理由でつまらない、と言った感想は驚くほど少なく、まあ1、2話が酷すぎておそらくそこで半数近くは脱落したんだろうな、というのが私の感想である。
面白くないアニメには二種類のアニメがあり、一つが兎に角無味無臭のアニメ、もう一つが兎に角意味不明系なアニメ(所謂セカイ系)の2つに分類される。
これはどちらかというと後者寄りで、全体的によくわからないまま話が進んでいき、主人公たちのこともよくわからないままである。
私の記事は一応、アニメを見ていない人にもわかりやすく書くことを目的としているので、何がどうわからないのか、その辺りについてもしっかりかいていく。

まずは今作の主人公であるリコから書いていく。というのもまずこのリコという少女からしてよくわからないのである。比較対象として初代アニポケを例に出すのはサトシ信者のようで嫌だが現状それなりに続いているアニメがサトシのアニメとリコロイのアニメなので仕方ない。
初代を見ていただければ分かるが、1~3話の時点で今とは比べ物にならないほどにしっかり作られているのが分かると思う。
サトシはバカ…ではないが熱血漢でピカチュウは不遜気味、旅の目的もはっきりと明確になっており5話の時点で最初の足がかりであるニビジムにたどり着いている。
ロケット団の目的も珍しいポケモンであり、一応世界征服を目指す組織と3話までの時点でかなり分かりやすい。
今よりもはっきりとポケモンというものが定義されていなかった事もあり、今よりもはっきりと世界観について書いているのである。

ここまでを見てリコロイを見るとまず1話の時点でこれはリコを主役とした学園モノか?となる訳である、が2話の時点でそれは崩壊してよくわからない登場人物が多く出てくるのである。そのまま3話に続きニャオハを取り返す。まずこの3話までを比べた時点でダメダメなのは分かるだろう。

まず学校って何?学校に通うのは当たり前なの?そもそも何を勉強しているの?この時点ではまあ、おいおい説明されるんだろうと思っていたが後述するが学校要素はここでなくなる。
リコが選んだきっかけもよくわからない…本当によくわからない、何か取り敢えず進められるがまま選んで偶出てきたのがニャオハ。
この時点でニャオハじゃないとだめな理由がない、極論を言えばヒトカゲでもホゲータでも良かったわけで、そもそも一番最初のポケモンをこんな雑に選ばせるのが前提としてどうなのよ、という訳なのであるが…。
ポケモンにおいて一番最初に選ぶポケモンが大切なのは言わずもがなではあるが、まあこの世界はそういう世界なのかもしれない。
その後仲良くなる過程がダイジェストですっ飛ばされるという展開であり、正直兎に角見てて退屈なのが1話なのである。そもそもの話キャラ付けとして非常に大切な最初の時点で大型連休(おそらく5月?)まですっ飛ばされているので兎に角リコというキャラとニャオハの関係はつかめないまま1話は進んでいく。
このあとに2話は正直飛ばしても良い、見てもわからないし見なくても困らないという正直道しようもない話である。
よくわからない組織とよくわからない組織が出てきてよくわからない展開になりよくわからないまま三話に続く。
3話はギャグ展開みたいでロケット団みたいな感じなのかが出てきて分からないが取り敢えずニャオハは帰ってきて3話でリモート授業という…何かもうなんなんだこのアニメ。

ここまでを見てリコというキャラをもう一度分析すると自分のことがよく分からず、受け身体質というこの手のアニメとかみ合わせが最悪なのが分かると思う。
序にモノローグがやたらと多いし兎に角テンポが悪い、それが悪いとは言わないけれどだからといってキャラの描写に繋がっておらずただ状況説明をしているだけである。
制作者の中ではリコの以前と以後が分かるのかもしれないが私達からすればリコと同じくよくわからない、という展開になっているのは悪い意味で失敗だろう。
そもそもの話としてイケメンに挟まれて私のために争わないでっていう少女漫画あるある展開のキャラをポケモンのメインに持ってきた意味が分からず、取り敢えずサトシみたいなキャラと同じにすると比較されるから真逆のキャラにしよう、ぐらいで決めたとしか思えない。
同じように受け身なキャラはAGのハルカと似ているといえなくもないが、あちらは主人公ではないしこのキャラよりもよっぽどはっきりと自分の意志を持っていた。
というか制作者もこのキャラで話を回せるとは思っていないようでここから2人目の主人公のロイが出てくるが、ロイの方がよっぽど主人公としてよく出来ているのである。
ロイはまあ、サトシの劣化版みたいなキャラで特段面白いキャラという訳でもないけどリコよりは安心してこのアニメを見ることが出来た。
4話は特に語ることもなく、5話も大きな枠組みで問題点はないもののリコの初戦闘がカットされているのは驚きだろう。しかもゴルダック…(どうやって勝ったんだ)6話でなんだかんだあってホゲータゲットとライジングボルテッカーズ加入だが、リコよりもよっぽどはっきりしているのが素人目でも分かる。
どういうキャラか?バカで熱血、なぜトレーナーになりたいか?古のトレーナーのように(ry(後にレックウザと出会うという目標になるが)、ホゲータでないといけない理由(偶出会ったが仲良くなったから)。

ここまで駆け足で6話まで振り返ったが、このアニメは兎に角全員が何のために動いているのかが分からない。言ってなかったか?でそのまま飛ばされて、そもそもライジングボルテッカーズがいい人たちかどうかですら現状は不明なのである。兎に角キャラが多いのにキャラが立っていない、恐らくだがサトシアニポケからの脱却を図るがあまりこのようなよくわからないアニメになってしまったのではないだろうか。
敵味方全員の目的がはっきりせず、特にリコというキャラが一番意味がわからない、これが兎に角見ててつまらなさを感じる要因であると思う。はっきりいえばこの手のキャラはメインヒロイン等のほうが良いのではあるがサトシ脱却を図るあまりリコを主人公にしたのが良くないのかもしれない。

7話、ピカ様の特訓回ではあるしこれ単体で見れば問題はないものの全体を通してみるとツッコミ所が多い。
まずそもそもリコとロイで同時に特訓するのが失敗しているというか、リコはこの回以前にそこそこまともなバトルをこなしているしゴルダックを倒したのに今更この話をやられた所でどうというのか。
アニポケで余り原作重視にする必要は私はあまりないと思っているが、少なくともアレだけ格上のポケモンに対してそれなりに戦えている辺りリコはかなり強いトレーナーだと私は感じた。
というかライジングボルテッカーズが全体的に弱いのだが…それはまあ、脱線するので置いておくが、本当にリコを守れるのか不安だし、大人組が稽古つけてもらったほうが良いのではと思わないでもなかった。
序にロイは馴染んでいるもののリコは何というか微妙…というかリコが繊細な女の子だからフリードも扱いに困っているんじゃないかとは思わないでもなかった。

8話は普通に面白かった。というかロイが完全に主人公ムーブでリコがメインヒロインの方が良かったのではないかと思わないでもない。
まあドットは微妙だったが…この手のキャラは後半成長していいキャラになるお約束はあるものの現状嫌な奴にしか思えないが、それ以上に見た目がまんまナマコブシみたいな…一応御三家の一匹を持っているしメインキャラに思えるのだけれどこの見た目で大丈夫なのか、余計なお世話ながらも気になるところである。

9話は微妙…というか根本的に制作者もリコの事がよくわかっていないんじゃという疑惑がここで明確になってきた。
序に恐らくだが、脚本家同士で連携が取れていないんじゃないかという疑惑もある。アイカツスターズというアニメがありあちらもこのように序盤のキャラがガタガタしており、そちらはシリーズ構成が映画につきっきりだったからキャラの描写が安定していなかったのだが、こちらも似たような印象を感じた。
てっきり私はペンダントの謎を解き明かしたい、が目標だと思ったのだが着いた時点で旅が終わりなのが根本的に今までの話と噛み合っていない感じがした。
7話なんかでもっと遠い所の予感を感じさせたが、案外近いのだろうか?家から通えるらしいし…果たして。
それを抜きにしても父親はペンダントの事を知らなそうな、フリードはフリードで旧に真面目な話(をしていると思うが襲われていることは話していなさそうな感じがした。まあ正直に話すと負けそうだったけどレックウザが着て引いてくれました、になって任せられないという展開になるからだろうが、良くも悪くも大丈夫なのだろうか)をするし。そもそも何で保護を頼まれてるんだ?家について終わりでも家にいたら安心って訳じゃないし尚更その人達といたほうが安心のような…

10話、レックウザお使い回であり、ホゲータ特訓回。
この回もロイが主役であるが、やはりロイの方がポケモンアニメと相性がいいのではないかと思わないでもない。

11話 モリー掘り下げ回。悪くはない。

12話 要約話が進んでロイの物語はかなり掘り下げられたもののリコの話は更によくわからなくなっていく。
ロイの物語はきれいに一本筋で話が進んでいくものの、リコ側はかなりとっちらかっている印象を受ける。保護を依頼したのは悪役に狙われているからなのか、全体的に不明。そもそも狙われていることを知らない節がある。
母親にも会わず、申し訳ないが襲われていることを教えないという大人の事情を感じずにはいられない。

ここで1クールであり、(サブタイトル的に)恐らくここまでで一区切りだとは思うが、正直な所私は失敗しているんじゃないかとは思っている。
よくポケモンアニメなんて子供向けとあるが、子供向けにしても無駄に複雑で分かりづらい…そもそもBWからポケモンアニメは懐古と子供向けを行ったり着たりしていて、そうなったのは間違いなく子供向けを狙った所で割に合わないからだと私は判断している。
そもそもポケモンアニメ自体が子供向けにしては若干複雑であり、その複雑さを出していたのがサトシ世代のリーグなのだが、結果的にこのリーグをメインにしてから子供向けではなくなった気がする。例えばだがAGやジョウトのリーグが語られていることはあまりない…これは恐らくこの時期までは純粋な子供向けアニメ(ギリDPまで)として作っていたからではないかと私は考えている。どうせ子供は連続した話は難しいからいっその事リーグは雑にやろうという方針、DPは恐らくだがサトシ世代を終わらせる目的があった故にあのような複雑な話になったのではないかと推測する。結果的にこれが失敗してしまい、サトシ続投、BWは純粋な子供向けアニメに作り直したもののネットで炎上してしまい制作者がそれに折れてリザードンを出したりと懐古に媚びていった。XYはBWの炎上をウケて更に大人向けにしたが、結果的にこの時期辺りから子供向けアニメにした所で割に合わないという判断をされたと私は思っている。
が、何故かSMで再び子供向けにして迷走、続く新無印もサトシ世代の決算なのかどうか曖昧不定なままサトシ世代は終わらせられた。
このように本当に子供向けアニメとしてポケモンは作っているのか怪しい節があり、今作のリコロイも悪い意味でサトシ世代の複雑さを引き継いでしまっている。
子供向けアニメならば必要以上に複雑な設定はオミットするべきだし、主人公も必要最低限にするべき(これは初代が明確でほぼ一話完結、無駄な設定を出さない、タケシカスミはいるだけ)と明確にどこから見ても話にはついていけるようになっている。
このルールはDPから、更に言えばXYは悪い意味で子供向けではないアニメになってしまった。はっきりと言えばポケモンは子供向けなのに関わらず大人をターゲットにしているちぐはぐな作品なのである。
確かに他にもこのようなアニメはあるかもしれないが、三年や二十六年も続いて話が繋がっているアニメは他にない、一つのシリーズですら以上に長いし全てを追っていれば尚更だ。

結果的にサトシ世代はサトシのメイン(ポケモンマスターになる)とヒロインのメイン(コンテスト優勝やゴウのミュウ捕獲等)と2つの軸が有り、これが成り立っていたのはサトシのシンプルさ(バッジを入手してリーグに挑む)があったからこそ横軸が曖昧でも軸はブレずにアニメを見続けることが出来た。(これがセレナがメインでXYをやっていたら恐らく評価は今以上に高くはならなかったと思う)。

それを踏まえてリコロイを見ていくと軸はリコのペンダントにはなにかがあるらしい(誰も分からない)ロイはレックウザを見つける(そのために手がかりを探している。正直弱いもののこの辺りはこれから補強できる)。タケシポジションのライジングボルテッカーズも良くわからない(そもそもどういうグループなのかが不明)であり、ロケット団ポジションのエクスプローラーズもペンダントを探しているが何故探しているのかが分からない、と兎に角キャラも多いし悪い意味で複雑な話になっているのである。

そもそもリコのキャラがメインの子供にウケるかというと怪しい所で男の子は女が主人公の時点で見ないだろうし同世代の女はこんなうじうじしてる女を好まないと思う。(分からないが女児アニ等は大抵明るいキャラが主人公である事から多分そういうキャラが一番ウケが良いのかもしれない。一応似たようなキャラだとユリカはウケていたがアレは曲の良さと設定のギャップが良かっただけで別にこの性格だから好きって人は少ないと思う)そう考えると誰をターゲットにしているかというと大人としか考えられない。が大人は別にこんなのを好きにならない(そもそもキャラデザが可愛くないしこれならミヅキやユウリでアニメを作ったほうが余程ウケが良い)しリコの内面は悪い意味で子供らしくない(悪い意味で恋愛脳、セレナのような綺麗さじゃなくて申し訳ないけどオタクみたいな感じ、2話が顕著)から更にウケは悪くなる。

更に言えばこの物語はポケモンがいなくても成り立つのがものすごく痛い。題材にポケモンを使っているものの現状ポケモンじゃないとダメな理由が一切ない。強いて言えばロイぐらいだ。そのロイも悪い意味でゲームポケモンを踏襲しておらず、ジムリーダーとの対戦にも意味がなかった。
結局サトシのジムリーダーを巡ってリーグが一番わかりやすくポケモンらしいのだが、今作は敢えてサトシ世代と比較されることを恐れている気がする。(割にはアニポケの設定を下敷きにしている辺り謎な所ではある)。
その結果ポケモンらしさが消えているのは皮肉な話だが。

SVをそのままアニメにしても面白くはないという判断はある意味で適切かもしれない(アレはオープンワールドでユーザーそれぞれに遊び方があるから面白いのであってそれをアニメにしてもいうほど面白くない、という感想になりそうな気はする)が、かわりに出てきたアニメがこれでは正直期待するのは難しい。

それでもサトシに戻した所で既にどうしようもないのは事実なのでサトシ世代に負けないぐらい面白くするか、ゲーム準拠でひたすら丁寧に作るかの二択しかないのだが現状はどちらとも付かず、結局ポケモン主人公はサトシだね、で終わりそうな気はしている。

余談ではあるが、最近アドジェネを見ているものの、アドジェネの方がポケモンアニメをしているな、と感じた。右往左往しながらハルカがポケモンバトルをしたり、目的は無いもののポケモンコンテストをやりたい、と決めたりとポケモンらしいな、と感じた所存であった。
恐らくだが叩かれまくっているBWもBW単体として見れば悪くないのかもしれない、と思ってしまう。結果的にアレはサトシリセットが大きな問題点ではあったがよっぽどポケモンアニメをしていたし。


長くなったがこれにて記事は終わりとする。まあアイカツスターズのように序盤はとっちらかっているものの最後まで見ると面白いというパターンもあるので私はリコロイの視聴を続けるつもりだが、果たして最終的に何人残るか余計なお世話ながらも気になるところではある。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?