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がむしゃらに頑張れば結果が出るのか?~音楽の習い事で知ること~

 楽器の習い事は、日々の鍛錬がとても大切です。
ピアノの先生である私が「練習しましょう」というのは、つまり人間の記憶力ってそんなに正確じゃなくて、手をつけたばかりのことほど忘れやすいから、定着させないと次にピアノに座った時、またゼロから始めなければならなくなるからです。

 サクサクと進んで上手になりたいと思っている子どもほど、練習してこないですが、そんな魔法みたいなもんはありません。さきこ先生もあなたもマグルだし(笑)←普通(マグル)の両親から生まれたハーマイオニーは突然変異

 そして、ただガムシャラにガンガン弾けばうまくなるのかというとまたそれもちょっと違うんですよね。
コンクールなんかそうですよね。

「あんなに練習したのに、入賞できなかった!」

 採点者も人間ですので解釈の好みもあるし、コンクールの方向性と自分の演奏がずれていたら選ばれません。
すごくいい演奏なのに落ちちゃうのはなんでって言われてもあります。
 が、正直心折れるのも事実…。(私、経験者なのでわかります)

 頑張れば結果がついてくるならわかりやすいけど、そしてこどもたちの多くはそういうものが好きだけど、大人もそういうものの方がわかりやすくて好きかもしれないけど、でも、じゃあどうして音楽の習い事をするのってことなんですよね。

 そこで、もう一度考えてみて欲しいんです。
「結果を出すこと」とは何でしょうか?
難しい曲が弾けること?コンクールで全国大会で入賞すること?合唱コンクールの伴奏者に選ばれること?

 ・・・それも、1つの結果かもしれない。

 でもね、お子さんが取り組んでいるものは「音楽」なのです。「芸術にふれて」いるんですよ。

 2019年度の発表会では、高校生までの生徒の保護者様にお願いして、お子様への応援メッセージを書いていただきました。これは、当日のアナウンスで読み上げ、メッセージカードそのものは生徒さん本人へ、先生からのメッセージカードとともにお返しいたしました。

 アナウンス原稿を作るために、すべてのメッセージカードを読ませていただいて、ひとりひとりの生徒の顔を思い浮かべ、本人が今回のステージで目標にしたこと、保護者様の思いが伝わって来ました。

 ピアノの音が好きで続けてきた子や、「頑張りたい」と背伸びかもしれない選曲をした子、初めてで不安な子、などそれぞれの生徒のことや、その後ろで応援している保護者の方の気持ちを感じて、原稿を作りながら胸がいっぱいになったのです。

  ただわかりやすく「結果を出す」ことだけではない、本人が自分の曲を仕上げて発表するという経験を通して何を、どんなふうに得られたかを振り返ることが大切なのだと私も教えられました。
 

 そこには、目に見える「費用対効果」とか「成果」とかいうものとは別の価値観が存在しています。
ピアノを習うことで得られるものは、とても深いものなんだな、と、私も常に感じています。
 

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