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「先生困りました、読めません!」保育現場の楽譜問題

幼稚園教諭をしている生徒さんが、困った顔でレッスンにやってきたことがあります。
「先生、ちょっとこれ大変なんです」
生徒さんが鞄から取り出した楽譜を見ると・・・?

     手書きやん!!!

 そう、手書きの楽譜をコピーしたものをもっていらしたのです。
 その楽譜を見て、私は生徒さんの困惑の理由がすぐにわかりました。
市販の楽譜、あるいは音楽の教科書の楽譜を見ていただくとわかりますが、音符は「たま」という、音を示す円形の部分からなっており、この「たま」に、「ぼう」が生えていたり、「ぼう」の先にしっぽのような「はた」(符尾といいます)が生えていたり、「たま」が黒だったり白だったり、たまにほくろみたいな点がついていたりしますね。

 

 生徒さんが持ってきた手書き楽譜では、「たま」が円形ではなくて、斜めの線のみになっており、それがとても見づらい印象を与えました。

もとより、読譜がすらすらとできる方ではありません。さぞ苦労されただろうと思って弾いていただくと、案の定戸惑って手を止めてしまったり、首をひねっておられました。そこで、「線のところがたまだと思って弾いてみてください」といって、なんとかギリギリ、事なきを得たのです。

 さて、多くの方がご存知ないことではありますが、なぜか保育現場ではしばしば、

「手書きの読みにくい楽譜」

が使われる、というのを知って私は驚きました。

 その曲は例えばどんなものかというと、市販のものではなく、「○○幼稚園 園歌」だの、「□□保育園のごあいさつのうた」のような、園オリジナルのもの。他に私が見たのは、誰かが書き写したものをコピーしたもの(多分市販されている、または市販されていたが絶版になったおそれがある)など。ちなみに生徒さんが持ってきた歌は「仏教系幼稚園・保育園で歌われている(と思われる)曲」でした。

 「現場の先生方はこんな、わかりづらい楽譜を使っているのか?!」

 初めて手書きの読みづらい楽譜を見たときに私が受けた衝撃は計り知れませんでした。

これらの楽譜は、市販されていない曲であり、オリジナルのため、実習でこういう楽譜をもらってきた学生や、新人先生は耳馴染みのない曲で戸惑ったりするようですね。

 ただでさえ、読譜がちょっと苦手という方だったら、より負担感が強いのではと思います。読譜が出来る方でも、「本当にこれで大丈夫か」という不安は募るかもしれません。

 困ったことに「きれいだけれど間違っている楽譜」が持ち込まれたこともありました。
たとえば、「ト音記号」は、5線の下から2番目から書き始めますし、ヘ音記号は下から4番目の線からです。しかし、真ん中から書き始めてある楽譜・・・あります。

そのほか、4分の3拍子の曲のはずなのに、4分音符が5個もあるとか(5個のままなら、どこかを八分音符にしなければ長さが合わない)、伴奏が全部「ドミソ」になっていて、生徒さんが
「先生これ、気持ち悪いです」
と訴えてきた、などなど。

 間違っている楽譜はいくらきれいに書いてあってもダメなのです。以前そういう楽譜を持ってきた生徒さんに
「誰じゃ、こんなへんちくりんな楽譜を書いたのは!」
と、思わず言ってしまいました。
生徒さんも先輩先生に渡されたコピーのため、元は誰が書いたのかわからなかったようです。
 パソコンソフトで浄書すればいいのでしょうが、誰がやるかっていう問題もありそうですね。多忙な保育士さんにさせるわけにはいきません。
外注する場合、費用が発生します。

 自分で伴奏をしない管理職が、現場の保育士の不便さに気づいていない(知らない)場合もどうやらあるらしく、当事者じゃない私はあまり深堀りできないなあと考えています。


 ※仏教系幼稚園・保育園で使われている曲の楽譜というのは存在しています。購入することもできますが、そういう園に勤務しているわけではない場合かなり高価に感じられるお値段です。

 


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