「その曲を弾くのは、あなた」
ほかの先生のレッスンと比べて、私は「質問が多い」先生かもしれません。
例えば、新しい曲を宿題に出すときに、全体を眺めてもらい
「この曲は、何が課題ですか」
と、質問することがあります。
練習曲の中には「レガートの練習」「音階の反復練習」などの項目ごとで練習曲をまとめているものと、練習ポイントグループでまとめていないものがあります。そのため、生徒がこれから取り組む課題について、
「何が大切なのか、何をやってこなければならないのか、できていなければならないか」
を考えてもらうために、このような質問を投げかけることがあります。
勿論この質問は毎回するわけではなく、新曲ではない場合は投げかけない場合もあります。
また、曲の題名からイメージを考えさせたり、発想標語や強弱の変化などに注意して見てもらえるように声をかけます。
「あなたはこの曲を、どう弾きたいの?」
そんな質問を、なんと5歳児ちゃんにすることもあります。
幼児の方にそんな質問難しすぎる!!と思われるでしょうか?
ところが、5歳くらいの子でも、拙いながら自分で言葉を紡ごうとすることがあります。別にいつも「正解」を出してほしいわけでもありませんので、答えられないからといって問題でもありません。
さて、ここまで読んでこられたみなさんは、私がなぜこのような質問を投げかけるか、という理由がお分かりでしょうか。
私が言いたいのは、ピアノを弾くこと、課題に取り組むことをあくまでも「本人の問題」として考えて欲しいということなのです。
ピアノは、ママやパパの代わりに弾くとか、お姉ちゃんお兄ちゃんの代わりに弾くとか、そういうものではないでしょう。ましてや、先生の代わりに弾くわけでもありません。
誰かのために、誰かに聴いてほしくて弾くのだとしても、弾くのは、あなた。
その曲を弾くのは、誰?あなただよね。
そんな風に伝えています。
立ち止まっても振り返っても、つまづいてもいい。自分で、掴み取ってほしい。
これはこどもたちだけでなく、心の冒険がしにくくなってきた大人の方にも、心に留めておいてほしいことです。
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