見出し画像

「楽しさ」と「鍛練」を両立させるために

私の指導のキーワードはいくつかあり、そのうちの1つは

「楽しさと、鍛錬の両立」

です。

 この言葉は、私がその著者のファンであり、友人でもある音楽ライターの山本美芽先生の著書「21世紀へのチェルニー」の中にも出てきます。


 私は、割と細かい質問をしたり、音色にこだわるので要求が厳しい先生なのではと思います。自分のことは自分が一番わかっていないというのが私の考えの根本にあるので、常に生徒さんや保護者の方にお尋ねしますが、1から私が指導している方については

「先生、それ普通じゃないですか」

というお返事が返ってきます。

 レッスンを受けた経験のある方、他の教室から移動される方は、ほぼ全員が

「かなり要求が厳しい先生」

と感じられるようです。その結果、「こんな細かい先生じゃ、無理」と思って入会されない方もいらっしゃいますが、それは構いません。その方のニーズに私が合わないだけなので。
細かさが
「きちんと教えてくださる」
というプラスの評価になる場合もあります。

 最近私は教室についての案内を書くときに「楽しくレッスンします」と書く必要を感じなくなってきました。

 幼児のレッスンで「パンダくん」や「にゃんこ」が登場したり、プッシュポップバブルという知育玩具で指トレーニングの遊びをしたり、塗り絵ドリルだったり、と、分かりやすい楽しいレッスンもしています。
 ですが、ただ「おもしろおかしい」で終わらないように、という留意をしています。

 以前生徒たちに「ピアノを習って楽しいとき」について質問したことがあります。その答えとして

「弾けなかった曲が、弾けるようになったとき」

「発表会で、いい演奏ができたとき」

「好きな曲を完成させられた」などの声が上がりました。

 また別の視点から。
「厳しい」のは、言葉強めに、きつく伝えることではないと私は考えています。
笑顔で厳しく伝えることも私はあります。相手に少なからず期待しているからです。


 まだ段階的にどうも無理だなと思うことは、提示はしますが要求まではできません。ただ、少しだけの負荷はかけていったほうがいいと考えています。ですので、初歩から課題を少し多めにだしてみたり、最初の1年間とにかく保護者様もご一緒に「ピアノを習うってこういうこと」っていう経験をいろいろしていただこうとお願いをしているわけです。行事がどちらかというと多めなのも、1つはそれが理由です。


 環境を変えると、伸びる方がいます。進度のペースは個人差が出ますが、伸びたいと思わなければ伸びません。結果がなかなか出ないときは苦しいですが、突然伸びることもあるのです。

ピアノを楽しく弾けるようになるために、どうしても基礎の鍛練が必要な場面がある、ということは知っておいてほしいなと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?