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たんぽぽと白秋

廃れたる園に踏み入りたんぽぽの
白きを踏めば春たけにける
北原白秋

立ち入る人もない庭園に踏み入って、白いたんぽぽを踏むと、春も盛りを過ぎたのを感じる。という北原白秋の歌。

ここにある「たんぽぽの白き」の解釈を、タンポポのワタ、とするのと、白花タンポポ、とするのがありますが、個人的には後者の白花をいっていると思っています。

白秋はタンポポをよく詠います。そこで、九州出身の白秋にとって「たんぽぽ」と言えば、白花だったのでは、と想像しています。

関東ではあまり見ない白花タンポポですが、四国など、西の地方では咲くと聞きました。なので、九州にも咲いていたのではないかしらと。そうそう、こんな歌もありました。

いつしかに春の名残となりにけり
昆布干し場のたんぽぽの花

気づいたときには、いつの間にか春も名残になっていた。と、こちらも春の名残のタンポポ。

その歌意はわかりませんが、スキャンダルも多かった白秋のことだから、またも紛らわせたい気持ちなど、この花に重ねていたんじゃないかしら、なんて。

今度はなにがあったんでしょうね。詩歌はどれもいいのですが、たびたび困った作家です。今日もいちりんあなたにどうぞ。

タンポポ 花言葉「真心の愛」

いつしかに春の名残となりにけり

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