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夏椿(シャラノキ)

もろしてふ沙羅の花をば手にとればことわりのままくづれけるかな
与謝野晶子

夏の花で何が好きかと問われれば、私のいちばんは夏椿。別名を沙羅樹(シャラノキ)といいます。沙羅双樹(サラソウジュ)によく似た名前ですが、植物としては別種です。

沙羅双樹のほうは、仏教では三大聖樹のひとつとされています。「双樹」というのは、お釈迦様が入滅のときに、臥床の四方に二本ずつ並んだ沙羅の樹があったからだそうです。ただ日本では、本種の沙羅が育ちにくいために、代用として植えられた夏椿に沙羅樹(シャラノキ)と名付けられたとありました。

夏椿も花は白く、花の命は一日。ほかの夏の花のように、炎天にも負けんと咲き誇る、ああした風情はありません。むしろ、あきらめることが出来る潔癖、それを美徳とさえ感じさせる清さがあります。まさに「盛者必衰の理をあらわす」を知った花。きっと人には知れぬこの花なりの、幸せがあるんでしょう。そんなふうに眺める花です。今日もいちりんあなたにどうぞ。

夏椿 花言葉「愛らしい人」

花ひとつ拾へばひとつ落つ

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