最初はただの卵巣腫瘍だと思っていた

10月中旬、私は1週間ほど実家に息子を連れて帰省する予定でいた。
戻る際には母も一緒に上京し、週末だけ東京を楽しんでまた帰るというスケジュールだった。

帰省予定の数日前、いきなり母からの着信。LINEでのやりとりは頻繁にしているものの、電話がかかってくることは滅多にないため、「何だろう?」と思いながら電話に出た。

「お母さん卵巣に腫瘍があるみたいで・・・検査受けに行くことになった。来週一緒に東京戻るのは難しそうだから、飛行機キャンセルしてもらわなきゃと思って電話したの」

そう話しながらも、電話の向こうで少し涙声になっていた。
「病気したことないから動揺して泣いちゃったごめん。泣いたことはみんな(家族)には内緒にしといてね」最後はそう明るく言って電話が切れた。

この時点では私も「腫瘍と言ってもきっと手術で切ったりすれば治るものなんだろう」という程度にしか思っていなかった。すぐに直近で母親が卵巣腫瘍になり手術したという地元の友人に連絡し、手術後の様子などを聞いた。

手術後の生活が少し大変になるのであれば、その間だけでも帰省して支えよう、それくらいの気持ちの準備しかしていなかった。

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