雨上がりの七月, 出逢って十年
十年前の 7 月、夫と出逢った。
あの日の朝、そんなこと、これっぽっちも知らずに。
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大学の研究所の夏祭りだった。
朝からしとしと雨が降っていて、大学院生だった私と、その他いくつかの研究室のメンバーは、一大イベントの幹事にあたっていた。
ビアガーデンのような夏祭り。
会場は毎年、研究所の食堂と、隣接する中庭。中庭の芝生にはビールサーバー車もやってくる。
その日はあいにく朝から雨で、絶え間なく雨粒が会場の芝生を濡らしていた。
当時いろいろと行き詰っていた私は、しばら