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文字よりも人の言葉を

私には畑に関する知識が全くない。
畑をはじめてから9ヶ月が経つが、笑えてしまうほどに私は畑に関して無知のままだ。

だから、畑に行って、周りのおじいちゃんたちがいないと何をやったら良いのか分からなくて、草むしりを気休めにやって帰ってくることが多い。

そんな私は何度か畑のことをちゃんと勉強しようと図書館に行って「野菜の育て方」や「土作りの仕方」などの本を借りてみた。
でも借りた日に数ページパラパラとめくって、部屋の本棚に並べ、気づけば返却日を過ぎていた…なんてことが毎度のことだった。だからやめた。

私はレイジーなファーマーなのです。

そんな話を知人にしたところ、
「本を読んで畑のことを学ぶなんて昔の人はしていなかっただろうから、周りのおじいちゃんたちから学ぶ方が自然だよね。」
と話していて、なるほどなと思った。

本やインターネット上にある情報は人の世界を広げ、現在生きていない人たちからのさまざまな教訓があり、読んで得られるものはたくさんある。

しかし、自分の周りに「生きた知識」を持っている人がいるのであれば、彼らの言葉に耳を傾けることを優先するべきなのかもしれない。

世界中には文字のない言葉がたくさんある。
文字のない言葉を話す人びとは、次の世代に伝えたいことを口頭やダンス、歌を通して伝えてきた。

その方法は決して「遅れている」わけではない。

文字の情報は「人に聞く」ということを怠惰にさせる。脱線しがちなお年寄りの長い話を聞くくらいなら本を読んだり、ネットで検索した方が早いし、ピンポイントで情報を得られて効率的だ。
でも、文字の情報ばかり追っていったら人と関わる必要はなくなるし、同じ情報であっても伝え手の価値観や雰囲気、フィロソフィーを受けとることはできなくなる。

情報源を文字に頼りすぎず、生きている人の声で語られるその場、その時の言葉を大切にすることはきっとけっこう大事なことなのではないかと思う。

その実践の場として私の畑は最高の教室なのである。

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