お気に入り自作短歌の紹介・供養・さようなら会

以前つくっていた短歌の中で、これはなかなかいい出来じゃないか、と感じるものを紹介します。
連作の一部も混ざっています。
正直短歌の上手とされてるものの良さがよく分からなくて、自分の感じる短歌への良さが全くの見当はずれなんじゃないかとか思うのですが、それでも自分が頭を悩ませたりしてつくったものに何らかの価値があってくれと願っています。


惑星の軌道みたいに飛び降りて探しても見つからない死体

第二宇宙速度でここを抜け出して夜を無音で過ごしたかった

悲しみが苛性ソーダを飲み干して身体は平気そうに笑った

死後星になるなら君はカノープスよりは明るいはずだから嘘

ファミレスの間違い探し右の絵の君がいないのに変わらない人

大人にはなれない大人非常口階段声にならない声で

傷心を癒すのも恋とか言ったあの子の外で痛みっぱなし

歯軋りで使わない歯があるように君を嫌いになれないでいる

肉体と思考裏拍を鳴らして舌打ちの音が軽やかなのは

三叉路のせいで別れは示唆的で夕日も何か言いたげでした

病室の窓は光と溶けあって私の腕が幽霊になる

牛乳が律儀に膜を張っていて私もきっと守られている

海のない街で育ってまた別の海のない街乾いた僕ら

2人掛けソファの隙間を埋めたくて増えたクッションは熱を帯びる

現実にニンニクと油を加えてぜんぶアーリオ・オーリオにする

坂道を立ち漕ぐときのどさくさで君に、好きって、言って、それから、

冷房の効いた部屋から出たときの熱振り切って夏どこまでも

失った分だけ軽くなる身体えんえん揺らす風強くなる

怪物になってしまった次の日も学校があって、行ってよかった


かなり甘めの採点になってしまいました。全部読む必要はないです。さようなら。

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