日本酒のある暮らし
2022.4.30
弊社の次なるテーマは日本酒のある暮らしを提案すること。日本酒という商品をただ売るだけでなく、日本酒のある暮らしを提案するという意味合いだ。圧倒的に便利な時代になった現代において、人々が重視する価値観は繋がりへと確実に変わっていった。日本酒マニアが特定の銘柄を入手するだけならプレミアム酒が揃う酒販店やオンラインショップのサービスだけで充分だ。これでは日本酒の未来は輝かしくない。僕は後世でも日本酒が愛され続ける為にも日本酒のある暮らし、そのものを提案することに着目した。弊社が展開する事業自体が日本酒のある暮らしを提案することに対してフィットしたことも、目標を設定する上での動機として大きかった。これからの時代はありとあらゆるもののボーダレス化が進行し、仕事や趣味の境目も見分けが付かなくなってくると予想している。酒販店の従業員よりも詳しい日本酒マニアなどもその一例だ。マニアの人達はより深層の知識を求め、自分の知的好奇心を満たそうとする。スマートフォンやインターネットの発達、日本酒関連のコンテンツの充実により情報も昔よりは圧倒的に得やすくなったと思う。日本酒マニアの人達が注目する話題も「酒米や酵母」の知識から「農法や酒母」のように、その興味関心が移り変わったようにも感じる。話は変わるが、僕は次の時代の日本酒の在り方について真剣に検討を繰り返した時に、日本酒という素晴らしい文化を後世へ残していくためにも耕作放棄地を田へ再生し、ホタルが舞う田で無農薬栽培に取り組む、という解を導き出した。そして日本酒はアルコール飲料なので朝から晩まで、1日中楽しむことは出来ない。四六時中飲んでいたら流石に酔っぱらってしまう。しかし、日本酒のある暮らしへとテーマを変換した場合は違ってくる。田で酒米を栽培することも、日本酒について知識を深める、日本酒がそばにある有意義な時間に変わるからだ。その瞬間、日本酒は1日中そばにある趣味へと変わるのだ。ただ酔うだけ、ただ飲むだけの趣味から、体験できる文化的な趣味へと進化するのだ。弊社の夕方から営業する角打ちも日本酒についての知識を深められる情報共有の場として、店舗の存在意義を高めていきたいと考えている。地域の人達が日本酒についての会話が弾む場所を提供することは、人間関係が希薄な現代社会にとって必要不可欠な場になることは間違いない。入手困難な日本酒の自慢話よりも日本酒の未来についての内容で語り合えたら豊かだと思う。そうなれば、日本酒についての知識を自然と深められる場所となり、一期一会のワイワイと語り合いながら日本酒を楽しめる空間もまた魅力に変わってくると思う。だから、美味しい日本酒の提案ではなく、日本酒のある暮らしの提案なのだ。そのほかにも日本酒のある暮らしを提案することが、地元の産業を潤すことに繋がってくると信じているからだ。日本酒を醸造することは米を栽培するということ、それは米の生産者を応援するということ。日本酒や酒蔵が注目されることはその地域が賑わうということ。醸造用容器を木桶や甕にすることで職人や陶芸家を応援することにも繋がってくる。日常の暮らしに日本酒がフィットすれば、豊かな社会になると信じている。
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