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日本酒は飲む雑誌である。

2022.1.6

日本酒の魅力は情報量が圧倒的に多い点だと思う。今の時代、基本的に分かりやすいモノやコトに人々からの注目が集まる。理由は簡単で宣伝が容易だからだ。ユーザーに求められているのは伝わりやすく、人に伝えやすい商品や体験。複雑で分かりづらいものは世の中に必要ない。そうなると日本酒は不利だと考察できそうだ。インスタグラムでたくさんのいいねをもらえそうなものがひとつの注目度の基準になると思う。日本酒にはソフトクリームのビジュアル的な「可愛さ」もなければ、K-POPアイドルの「美しさ」のかけらの1ミリもない。なぜなら日本酒は無色透明な液体という特性を持つからだ。そして、YouTubeに投稿される動画と比較しても、日本酒は複雑な発酵形態をとるため簡単に伝えるのは難しい。というか不可能に近い。酒米品種、精米歩合、酵母、麴、製法など、日本酒の魅力を伝えるための項目が多岐に渡る。複雑に事象が絡み合っていることが知への探求心をかきたて、時代には反しているが一言では伝えられない分かりづらい部分が魅力だと思う。だから今回の題名を「日本酒は飲む雑誌である。」に設定した。興味がある雑誌の内容を理解したくて雑誌を購入する。それと同じく、蔵の風土や歴史、哲学に共感して日本酒を購入するのだと思う。哲学に共感し、その蔵を応援したくて購入する人もいるだろう。日本酒について詳しくなるほど、その想いもきっと強くなるはずだ。そして、これから人々は分かりやすい部分に飽きて、より本質的なモノやコトに興味を示す時代に突入すると僕は予想している。表面的なウケという部分だけではなく、深層の知識に触れる機会を日本酒はつくってくれる。日本酒を知ることは農業、食、建築、歴史、土地、工芸、アートについて知ることだと思う。大袈裟ではなく、日本酒は文化的価値のある情報媒体なのだ。想いを込めて醸された日本酒にはその全てが詰まっているのだ。なので僕は日本酒を通して素晴らしい日本の文化を発信する旅に出ようと思う。特にお米が主食のアジア圏の人達に名刺代わりとして日本酒を持っていこうという夢を膨らませている。日本酒が哲学や可能性を秘めた芸術的アルコール飲料だと多くの人に知ってもらえる未来はすぐそこまで来ているはずだ。挑戦は続く。

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