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酒販店が米農家になった理由

SakeBaseが農家に挑戦する理由は、あと10年も経過すると美しい田園風景が姿を消すという課題に直面していることに気が付いたからです。 日本人の心の故郷でもある、美しい田園風景を眺めることが叶わなくなるという危機感や日本の農業技術の高さを農家の方々と会話をしているうちに実感し、次世代に継承していく必要があると強く感じました。 日本の田圃が消滅することは日本酒が無くなることを意味しています。 それは、私たちの酒販店の仕事が姿を消すことも意味しています。 日本酒を醸す、酒蔵は1300軒ほどあるのですが、毎月3軒のペースで廃業に追い込まれているという衰退産業の厳しい現実があります。 しかし、私たちは農業の問題に目を向けることにしました。 なぜなら、農業従事者の平均年齢が70歳と、高齢化が深刻化しており、収益化の難しさが要因の低所得、過酷な労働環境など、未解決の課題が、農業には多数あると実感したからです。 そして、酒米栽培を行う農家がいなくなると、酒蔵は消滅する以外の未来はなくなるからです。 弊社では「田圃を保全し、酒米を栽培することが、日本酒の未来を切り拓く」ことだと信じています。 なので、私たちは酒販店を運営しながら、そこで得た収益を農業分野に充てることで、千葉・土気の田圃の保全に貢献できるのではないかという構想を打ち立てました。 そして、「どのように田圃を守っていくか」という具体策も考えるようになっていました。 それが、2018年末のことでした。 私たちは若者だけで運営する会社ということもあり、「SDGs」や「持続可能性」、「環境保全」にも興味関心がありました。 そして、設立後まもないベンチャー企業は、市場競争性の高い酒米を栽培しなければ、事業の存続が危ぶまれるので、価値の創造が必要だと考察していました。 そのような意味でも、私たちは「化成肥料・化学農薬不使用の農法」にチャレンジしました。 現在、4年目にしてホタルの舞う田圃が増えているという結果も出ています。 それらの概念や事実を農業の基本理念とし、作業効率性を最優先するために機械化農業も推進しています。 機械化を行う理由としては、離農者の問題も深刻化しているので、1人当たりの作付面積を増加させる必要があるとの見解からです。 そこで収穫した酒米を「一粒の米」を大切にできる、すなわち、低精米での醸造を得意とする酒蔵に預けて、日本酒を製造し、商品はSakeBaseで販売することが、次世代の酒販店の在り方としても相応しいと思っています。 これは、「ただ販売するだけではなく、ものづくりに携わる」という心が次世代の商人には必要不可欠な時代になるという意味です。 この成功モデルを社会に提示することで、農業従事者を増やし、豊かな社会を創りたいという夢を抱いております。 農業がクリエイティブな仕事であるということが社会の常識となるように、弊社が「カッコいい会社」へと成長を遂げる必要性も感じています。 まだまだ、山積みの課題がありますが、「風の森 山田錦857 SakeBase ver.」を通して、全国に弊社のチャレンジ]を発信していきたいという想いです。 最後に、私たちの成功が日本の農業の羅針盤になれるように日々、酒米栽培と向き合っていきます。

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