「仲間」
2023.1.20
仲間が会社に加わることになった。 この状況を大変嬉しく思う。 新しい仲間は幼稚園からの幼馴染。 創業したての頃から、時折、仕事の手伝いや、相談を聞いてもらったりしていた真柄だ。 でもまさか、一緒に働くとは思ってもみなかったのが正直な感想だ。 創設期に僕と土屋と友人で、間借りしていた団地の一室で集中して作業をしていたのが懐かしい。 その友人は大学を卒業し、都内の会社に就職した。 当時はお互い別々の道を歩むものだと感じていた。 しかし、数年前から、友人は僕に「サケベースに入社しようかな」と伝えてくれていたことを思い出した。 冗談だと思い込み、その言葉を全く信じていなかったのだが。 僕は人の話を信用しない悪い癖がある。 昔から常に最悪の状況で物事を想定してしまうからだ。 実際、その時も誘うことはしなかった。 それに一流企業で一生懸命、働いている友人を巻き込む真似はしたくなかった。 今思うと、そこに自信の無さが伺える。 少人数で会社を運営していた方が気楽だという甘えがどこかにあったのかもしれない。 勿論、会社に入って欲しいという願いが全く無かった訳ではない。 仲間だったらどれだけ頼りになるかと何度も想像した。 なぜなら、僕たちが出来ないことを友人は得意としているからだ。 美的感覚にも優れているし、察しもよい。今まで、会社のイラストなどは全て友人が描いてくれていた。 何より、社会人として常識が備わっている点も尊敬できる。 それに、会社を運営していく上で、一般的な社会経験が必要だと実感する機会も増えている。 「3人揃えば文殊の知恵」とは言うが、限界も感じていた。 いくら事業内容に新規性があると評価されても、それを発信する方法や常識が備わっていなければ全く意味を持たない。 確かに会社の規模を大きくするのだから、不安が無いと言ったら嘘になってしまうが、期待感の方が圧倒的に大きい。 実際、5年前は将来に不安を残していたから、「一緒に働きたい」と誘うことは困難な状況だったが、今は少し成長を遂げたとの実感もある。 僕自身、「店舗数を10店舗にしたい」、「会社を上場させたい」などの目標は設定していない。 起業家交流会などでも野心が足りないと呆れられる始末なのだが、目標を設定するとしたら「10年後、全員が幸せだと胸を張って言える会社」でありたいと切に願っている。 友人は「商店街などの街を活性化させたい」と目標を話してくれた。 その目標を聞けたことが何よりも嬉しかった。 そして幸いなことに日本酒はそれを担えるチカラがあると信じている。 全国各地の酒蔵が中心となり、その地域を豊かにし、暮らしを支える未来。 衰退産業だと言われていた日本酒業界が成長産業へと生まれ変わり、雇用を創出し、世界中から観光客を招く。 そして、外貨を稼ぐ。 観光業や飲食業で景気回復を狙い、日本経済の立て直しに貢献する。 また、輸出主導型の日本経済は景気回復を行い、国内の個人消費を向上させる。 外需主導での安定化を図り、次第に内需も回復させる。 数ある事業のなかでも日本酒はその鍵となる産業であることは間違いない。 閑話休題、成長だけに囚われることなく、仲間と充実した時間を過ごしていけたら願う。 だって人生は一度きりだから。
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