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中国と日本酒。

2022.2.4

僕は日本酒が世界中の人を魅了するアルコール飲料であると信じている。日本酒ファンとして純粋にそう感じている。訪日外国人数No1は中国だ。新型コロナウイルスが流行する前の2019年は約900万人の中国人が日本を訪れたというデータがある。しかも、訪日外国人の数は増加傾向にあり、前年比14.5%も増加しているそうだ。中国の人口は14億人で世界一。アジアで最大のマーケットは間違いなく中国である。そして中国の食文化に日本酒を提案できたら、日本酒業界にとっても必ず追い風となる。余談にはなるが日本酒と中華料理の相性も抜群だ。日本酒は米を原料として醸されたアルコール飲料なので、米を主食とするアジア圏の人々の生活に寄り添えると確信している。例えばフランスで日本酒の魅力を伝えたときにフランス人なら「日本酒も素晴らしいけどワインの方が素晴らしい。」という話に確実になる。なぜならフランス人をはじめとする欧州人は自国の歴史や文化に強い誇りを持っているからだ。そして、中国では空前の赤ワインブーム。約36兆円ある中国のアルコール飲料市場でワインのシェアが17%であるのに対し、日本酒は0.1%程度に過ぎない。日本酒とワインは醸造酒というカテゴリーでアルコール度数も15%とスペックも似ている。ほかにも上海の中華系レストランの店舗数は日本食系レストランの店舗数の40倍以上あり、日本酒のすそ野を広げるためには中華系レストランのメニューに日本酒をオンリストしてもらえるかが重要な鍵となりそうだ。そこで必要となってくるのが中華料理と日本酒のペアリングの提案だ。中華料理は「北方系の北京料理」、「東系の上海料理」、「南方系の広東料理」、「西方系の四川料理」の4大流派に大きく分類される。基本的には北京料理にはフルーティー系の日本酒、上海料理にはスッキリ系の日本酒、広東料理には甘味のある日本酒、四川料理には熟成系の日本酒とのペアリングが向いているが、中国の人は縁起やネームバリューも大切にする傾向が強いので、国民性を深く理解する必要がある。インポーターに話を聞くと、日本の感覚で提案すると納得してもらえない場合も多いそうだ。日本特有の繊細すぎる感覚を一度忘れて、簡単に楽しんでもらうくらいがベストなのかもしれない。中国人は日本のものづくりに対しての信頼は強く、リスペクトも既にあるので丁寧な説明を重視するよりかは、輸出する際にリスクとなる可能性が高い温度管理などの品質管理の徹底の方がよっぽど肝心だ。ありのままを伝えれば世界で評価される。業界全体が活気で溢れ、お金儲けの感情だけではない情熱で魅力を伝えることが出来たら理想的だ。日本特有の物事が複雑であれば、好感度が上がるという独特の価値観で、日本酒の魅力を伝えるよりも「とにかく試してもらう」という熱意を伝える方が海外の人に伝わるのではないかとも考えている。

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