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「有名なのには必ず理由があるのです。」

2021.8.8

僕は巷で話題の人気商品や不朽の名作としてユーザーから高い評価を得ている商品が好きだったりする。日本酒の選び方や蔵を訪問させて頂く基準だって基本、そこにある。時折、日本酒専門店を運営する立場として、他の同業者に対し、その選定基準について疑問を抱くことがある。違和感をどの点において感じるのか、、、。弊社が人気な銘柄だけを集める酒販店になろうとしているのではないかという噂や、厳しい状況下で酒造りに励んでいる酒蔵を応援するような酒販店になった方が良いのではないかという意見やアドバイスを頂く機会が増えたのですが、僕は正直、それは全く違うと思う。そもそも人気な商品には、それなりの理由があり、不断の努力によって築かれた、一朝一夕で完成されるようなそんな簡単なものではなく、長い期間、しっかりと向き合い続けた結果が、現在に至るのではないかと信じています。人気な銘柄をミーハーとか、そんなチープな言葉だけで片付けないで頂きたい。僕は過去に約400蔵の酒蔵を訪問しましたが、日本酒のマニア層が知らない、有名な銘柄に肩を並べるような実力のある超新星蔵が、そんなに簡単に見つからない現実も理解して欲しい。日本酒業界はそんなに甘い世界ではない。むしろ実力のある超新星蔵が彗星の如く、たくさん出現すること自体が違和感だと疑った方が良い。人気を集めている酒蔵も人気になるまでにたくさんの失敗を繰り返し、七転び八起きの精神で挑戦を続けてきた事実を切り離してはいけない。余裕を感じる笑顔の裏側には多くの失敗を力に変えてきた涙がある。リスペクトを忘れてはならない。弊社が人気な銘柄を集めている訳ではなく、実際に蔵にまで足を運び、蔵人に会い、時間を共にした結果、皆様にお伝えしたい酒蔵の日本酒がたまたま人気を集めていただけ。伝える側の立場として、お客様の満足度を最大化する責任があるので、自信を持ってお届けできる商品でないと、日本酒のセレクトショップとして、伝える側としては失格なのではないでしょうか。お客様を笑顔にできない酒販店に明るい未来はない。人気の有る無し関係なく、シンプルにお客様には本物を知ってもらいたいだけ。要するに、お客様ファーストの酒販店を目指しているだけなのです。酒蔵の存続や伝統文化の保護保全の目的の為に、酒販店が存在する訳ではなく、お客様の笑顔や近隣に住む方の便利の為に、酒販店があるのだと考えています。良質な商品をお届けすること、酒蔵の存続に寄与することは、全くベクトル違いの内容です。だから僕は日本酒業界の「今は力不足の若手の蔵元ですが、将来は絶対に人気になります。なので、飲んで応援してあげて下さい。」というようなお客様に対する宣伝は嫌いです。僕、個人としてはSakeBaseの事業を通して、酒蔵の存続や伝統文化の保護保全、PRにも微力ながらできるかぎりの貢献していきたいという想いは持っています。だからこそ、お客様にも多くの人が「知っている」「知られている」からの「良い」「悪い」という評価基準ではなく、自身の感覚センサーを最大限にまで研ぎ澄まして、商品選びを楽しんでもらいたいと感じています。そのなかで、最高の商品選びをお手伝いできるお店が本当の意味での良いお店なのではないでしょうか。

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