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プレミアム日本酒

SakeBase

2021.11.24

プレミアム日本酒についての再定義を提案したい。巷では入手困難な日本酒がSNSなどで紹介されると右から左へと日本酒ファンは酒販店を駆け巡る。僕も学生時代、日本酒の魅力に気付いてからは珍しい日本酒を追い求めて都内の酒販店を数えきれないほど巡ったので、この衝動には物凄く共感できるし、これだけ日本酒に対して興味関心を抱いてくれている数多くの日本酒ファンがいること自体、本当に光栄な状況で日本酒業界に携わる身としては感謝してもしきれない。プレミアム酒と呼ばれたら飲みたくなるのは自然なこと。ただ、僕が伝えたいことはプレミアム日本酒と呼ばれるに相応しい品質なのか、今一度、自分の舌で判断してもらいたいということだけ。この業界にいて感じることは5年という期間でも各酒蔵の追及する味わいが変化するということ。もちろんトレンドも大きく変わる。以前は美味しいと感じた酒蔵の日本酒が「あれ!?どうしたのだろうか、、、。」という感覚に陥ることも少なくない。幻の日本酒と称される酒蔵のなかにもそういった銘柄は存在していると僕は思う。プレミアム日本酒の問題は情報発信の手段がインターネットの普及によって大きく変容したことが要因となっているのではないかと考察している。地酒業界の一般的な流通について説明すると、酒蔵が製造した日本酒を酒販店に配送し、酒販店が消費者に販売するという流れが一般的。ここでポイントなのは酒蔵が直接、消費者に販売していない点である。最近は酒蔵もSNSやホームページを開設して直接的に消費者に「声」を届けることを大切にする蔵元も増えてきた印象だ。しかし、あくまでも情報発信が主体で販売は特約店の酒販店に任せるという形態が一般的である。酒販店が酒蔵を育ててきた素敵なストーリーも今までに数多く、語り継がれてきた。インターネットが普及してなかった時代においては「酒蔵-酒販店-消費者」への伝言ゲームは得策と言えたが、今はインターネットの普及によって蔵元が直接、魅力を伝えられる便利な時代である。そこで酒販店が求められるのは地方にある酒蔵の代わりに販売を請け負うこと。要するに販売代理店の役割だ。情報は蔵元から既に発信されているので、名物店主が情報も併せて商品をお届けする必要性も確実に薄れてしまった。だから時代の流れとともに、店頭に立つ名物店主も減ったような気がする。生き残りをかけて酒販店は説明しなくても売れていく評判の良いプレミアム日本酒を集めることしか考えなくなる。商売だから自由なのかもしれないが、売れない商品との抱き合わせ販売やお金を落としてくれる顧客にしかプレミアム日本酒を販売しないという始末。くだらないプレミアム日本酒争奪ゲームを続けていたら、WEBマーケティングには疎い、素晴らしい日本酒を醸す酒蔵が廃業に追い込まれてしまう最悪の事態も想定してしまう。僕からすると、「プレミアム日本酒以外は興味がない」。それは味がわからないと言っているようなもの。この状況を救ってくれる救世主は日本酒ファン1人1人の意識に限ると思う。有名だから美味しいと伝えるのではなく、美味しいから応援するという方向に意識が変われば、もっと、もっと、日本酒の世界は広がっていくのではないかと信じている。社会全体としても応援したいから購入するというカタチに変わったら、もっと買い物がおもしろくなると思う。

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