事例報告の書き方、どう伝える?
新年度、皆様いかがお過ごしでしょうか。年度末、初めは退職する職員の患者さん、利用者さんの引継ぎとかで毎年バタバタしているような…。
我が職場では半期に一度の事例報告を義務的に行わなければいけないという決まりがあるため年度末はスタッフはだいたい疲れており、年度初めには燃え尽きています…笑。
事例報告は臨床を振り返ったり、思考をまとめたり、それをまた次に活かしたり…とても成長できるものですが、義務、となるとしんどいところがあります。業務時間外に作成する職場も多い印象(私も業務時間外にやってます)ですので、プライベートを削って苦しんでいる人もいるんじゃないかなぁなんて思ったり…。
私自身は事例報告の書き方を誰かに教わったことはあまりないのですが、認定作業療法士を取得する際に事例登録で審査してもらったり、県士会のMTDLPの事例報告の際にアドバイスをもらったり…職場で誰かに助言をもらうよりは協会関連の場で鍛えられたような気がします。
最近は職場で事例報告のアドバイスをすることもしばしばあるので、役に立つかは一度置いておいて、私はこんなの参考にしてます、みたいなのを簡単にまとめてみようかと思います。完全に私見ですのでお手柔らかにお願いいたします…。
なぜ事例報告をするのか?
まずは事例報告を始める前になぜ事例報告を書くのか確認します。職場によっていろいろと目的が決まっている職場もあればそれに従えばいいと思いますが、私が今までいた職場で事例報告をする際の目的が決まっていたことはあまりなかったような…。
事例報告の目的としては、事例を通してどのような仮説が立てられたか、どのようなことを学んだか、が分かれば次に繋げることが出来るのではないかと思います。
なぜ事例報告を書くのかを確認する際には「作業で創るエビデンス-作業療法士のための研究法の学び方-」のP178‐179を見ることが多いです。このページの表1を見ると事例報告でどんな仮説が立てられるかが載っています。
職場の事例検討などであれば何に困っているのかなどが明確だとわかりやすいと思います。
実際にどうやって書けばいいのか?
これはとにかくマネする、から始めるしかないと思っているのですが、皆さんはどう伝えているんでしょうか?事例報告の見本を見て、自分の事例に置き換えて変えてみる。
じゃあ見本はどうするかとなったときにレジメ形式、ちゃんとした事例報告の二通りでそれぞれおススメしている資料があります。
レジメ形式で見本にするのであれば圧倒的に「作業で語る事例報告-作業療法レジメの書きかた・考え方-」がおススメです。書きたい事例に似たものを探してもらって、自分の事例に置き換えてみるように伝えることも多いです。
しっかりした事例報告であれば、作業療法協会の事例報告書作成の手引きをおススメしています。ちょっと文字が多い感じもしますが、どの項目に何を書けばいいかがしっかりと説明されていてわかりやすいです。これも見本の事例がありますので、こちらを自分の事例に置き換えてかけると思います。
https://www.jaot.or.jp/files/page/wp-content/uploads/2010/08/tebiki-Ver9.0.pdf
この書き方で書けるようになっておけば、もし、認定作業療法士を取りたいとなったときに事例登録がスムーズに進むと思います。私は非常に苦戦しました…。
見直しはどうする?
見直しをする際はCAREガイドラインのチェックリストを使って、抜けている項目や書き足した方が良いものを確認していきます。CAREガイドラインのチェックリストは「作業で語る事例報告-作業療法レジメの書きかた・考え方-」の第2版のP122‐123に載っています。
番外編
最近、東畑さんの本を読むことが多いのですが「日本のありふれた心理療法-ローカルな日常臨床のための心理学と医療人類学-」という本の最後におまけで「ありふれた事例研究執筆マニュアル」というのがあるのですがこれがとてもためになります。
「頑張ってケースに取り組もう」という章には…
といったことが書いてあり、当たり前だけどそこからよねと思わされたり、経過の書き方には…
など結構具体的な考え方が載っていて最近参考にしています。興味ある方は是非読んでみてください。
さて、私も先月事例報告を書いて燃え尽きていたのですが、そろそろまた動き始めますか…。新年度が始まり、バタバタとしているかとは思いますが、何とか乗り切りましょう…!では、また。