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マルチ商法の本質1

社会人3年目くらいの頃、危うく人生の全てを捨てて、ネットワークビジネスにのめり込むところでした。


きっかけはある女性との出会いでした。

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その女性と初めて会ったのは大阪駅でした。当時SNSを何気なく見ていると、とある女性からDMで「会いませんか?」と来ていました。


当時独身だった私は、彼女が言う「ビジネスで成功する方法を知っている」という言葉に、半信半疑で、会うだけなら会ってみようと思い、会いに行ったのです。


そんな怪しい話にノコノコと付いていく方が悪いと思われる方も居るでしょう。当然私も怪しい話だという事は理解していました。しかし、私には過去の実績と強い好奇心があったので、会いに行ったのです。


●私の過去の実績について

過去の実績とは、大学生の頃の話です。当時私はバンドをしていたのですが、バンド友達(且つ小学校の幼馴染)から相談を受けたのでした。

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「音楽をしている人で、是非会いたいと言ってる人がいる」と言われ、私は友達と共に、18時頃に最寄りの駅前に行きました。


そこには、20代前半のお兄さんが2人居ました。


「おっす!とりあえず車乗りなよ。」


妙に軽々しく声を掛けられました。突然車に乗れと言われてもと困惑していたのですが、大好きな音楽の話であるのと、小学校からの親友の紹介であった事も重なり、相手の巧妙な口車に乗せられて友達と共に、その車に乗り込みました。


あまり音楽の会話は行われないまま車は走り続けます。

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そして、何分走っても目的地にはたどり着きません。


だんだんと港の方に来ているのが判りました。


運転してるお兄さんから、「もうこの辺りのビルやから、もうすぐ着くわ」と言われましたが、そのビルのほとんどの照明は消えています。こんな時間にこんな場所で何が起きるのか、その時の私には想像もつきませんでした。

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ビルの駐車場に車を止めて、相手に案内されるがまま、目的の部屋へ入りました。


そこは、だだっ広いフロアで、中央に机と席だけがあり、それ以外には何もありませんでした。


「ちょっとここに座って待ってて」と言われ、恐々と席に座る私と友人。


すると奥の扉から30代の方がやって来て、「君はお金がほしいかい?」と私に向かって聞かれました。「このパーソナルコンピューターを購入して、ヴァーチャル世界を世に普及する活動をしているんだ。君にも是非協力してほしい。初めにこのパーソナルコンピューターさえ購入してくれて、後は誰かを誘ってくれたらヴァーチャル世界の仕組みによって君にお金が入る。誘った友達が別の友達を誘った場合も、君にお金が入る。そうやって、君の元にどんどんとお金が入る仕組みだよ。しかもインターネットの技術が進化するに連れて、ヴァーチャル世界の普及は世界中の人たちを幸せにする事ができる。」

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その時の記憶は、嫌な記憶として残っていますが、逃げる事に必死で詳細部分はあまり思い出せません。


後に、これがネズミ講というマルチ商法だと知る事になります。しかし、当時の私はそんな事は知りません。ただただ、相手の話を聞いている振りをしながら、どうやってこの場を逃げるかを考え続けました。


一体どれだけの間、その空間に居て、説明を聞き続けたのか見当もつきませんが、1時間くらいは監禁されていたと思います。走って逃げようにも相手は大人3人。もしかすると他にも裏に人が居たのかもしれません。得たいの知れない港のビル。夜なので人影もほとんどありません。今思えば、よくあんな場所に行ったなと、思い出しただけでゾッとします。


相手の要求は一体何なのか、頭の中で出来るだけシンプルになるように整理しました。①パーソナルコンピューターを買ってほしい。②ヴァーチャル世界を普及させる事で世界を幸せにしたい。そして、私の要求として、①お金は払いたくない②この場から離れたい。


交渉とは、相手と自分が互いにwinwinになる事で成立します。では、どのように答えればそれが成り立つか、ずっと考えていました。


そして、私は次のように回答しました。「今ここでお金を払う契約を結ぶ事はできません。しかし、とても素晴らしいお話です。是非私もそのヴァーチャル世界の普及に賛同したいです(相手の考えに対する同調)。一旦帰って、後に〇〇さん(駅前で会ったお兄さん)を通じて契約をしたいです。」


その後も、何度も相手方との質疑応答が続きましたが、何とか上手く言いくるめて、逃げ切る事ができました。この時の交渉術が、今の労働組合での会社との交渉にも繋がっているんだと思います。


帰ってから聞くと、私の友人は既にそのパーソナルコンピューターを購入する契約を済ませていました。素直な奴で、人を陥れるような人間でない事は分かっていたので、私を売ろうとしたのでは無いと信じて、友人が助かる方法を一緒に考えました。インターネットで見つけた弁護士に連絡を取り、その後無事に友人を救済する事ができました。


この出来事は、私にとって、ネズミ講から逃げ切ったというひとつの成功体験でした。


だから、自分はマルチ商法には引っ掛かる事は無いと確信していたのです。ネットワークビジネスの彼女と会うまでは…




第一話をこれで終わります。私とマルチ商法との闘い、そして最後にはマルチ商法自体の歴史について調べた結果、ニューソートという思想にたどり着いた事、それらを今後シリーズとして書いていこうと思います。


第二話はコチラ


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