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ボツのフルトラッカーとバナナムーンのpodcast

ピーナッツくんの“ボツ“ミュージック

 (トップ画像は上の動画のサムネイルのオマージュ。もちろん)

 Vtuberであり、hip-hopアーティストでもある「ピーナッツくん」。そんなピーナッツくんが自身のチャンネルで、今までのアーティスト活動の中で結局ボツにした楽曲達の供養配信のようなものをやっていた。最近はこのアーカイブをコメント欄のタイムスタンプを使いながら繰り返し見てる。

 すでに世に出ている楽曲達のデモ段階の音源や、作ったものの結局ボツにした楽曲などといった、ファンからしたら垂涎ものの作品を8曲ほど公開している。

 ボツ曲の中には、なんでこれがボツなの?勿体無い! と思う曲や、あ〜〜〜。なるほどね。と思う曲(誰目線)どちらもあって、非常にリアリティがあって良かった。私はそのボツ曲の中でも、ピーナッツくんのアルバム『Walk Throught The Star』にも収録されている「Fulltracker」(フルトラッカー)という曲のデモ段階のバージョンに痺れた。

 デモ版は完成版に比べると単調というか、全体的に大きな起伏が無い。テンションで言うと完成版は“ハイ”なのだけど、デモ版は“ロー”な感じ(完成版にはない歌詞でやたらと「頭重い」と言っていることからもかなりローだ)。確かにアルバムに収録されるとなると、やはり完成版のフルトラの方ピーナッツくんのVtuberという活動を通してのワクワク感、みたいなのを感じることができるし、「マンブルラップ」というあえてはっきり発音しないラップのスタイルを組みこむなど新しい挑戦をしていたりして完成度が高い。しかし、私は制作途中のフルトラになんとも言えない魅力を感じてしまう。YouTubeなどで良くある「30分耐久動画」みたいなものを、このデモ音源で作って欲しいくらい。

 要はこういったメインの場で出されるものではない、未完成なものに惹かれるのかもしれない。完璧な完成品ではなく、素材の寄せ集め、コラージュの段階のものに。

バナナマンのバナナムーンPodcast

 私はラジオリスナーなのだが、ラジオを聴き始めたきっかけは「バナナマンのバナナムーン」のポッドキャストだ。当時は、深夜の本放送とは別に、放送終了後のアフタートークとしてポッドキャストを録っていた。本放送でもないのに、平気で1時間以上ずっと設楽さんと日村さんがダラダラとくだらないことを喋っていたり、時には日村さんの今後の人間性を(良い方向に)変えてしまうような設楽さんの愛のある説教が聞けたりと、本放送に負けないほどに濃い内容だった。(当時深夜の生放送を聴いていたわけではないのだが)

 最近良く思うことなのだが、私は「バナナマンのバナナムーンポッドキャスト」のようなものをいつまでも欲しているのかも知れない。なんの台本もなく、ただ仲のいい人たちが喋っている空間。その空気。演者自体は一流の芸能人なのだが、ポッドキャストで配信されるアフタートークなどはメインストリームからやや外れている。(そんなことはない、と言う声ももちろんあるでしょう。でも広く言えば、当時の感覚で言えば) 
 「自分だけが知っている特別感」(フロンティアスピリッツ的な?)と言ってしまえばなんとも陳腐な、しかしそれだけではない、何か惹かれるもの。米津玄師がまだ米津玄師ではなくハチとして活動してた頃、学生時代に組んでいたバンドのデモ音源みたいなのがネットで上がってて、それを何度も聴いていたあの頃のときめきとか。

 ピーナッツくんという存在自体がまずインディーズというか、元々個人でアニメーションを独学で作っていた人で、アニメの構成もキャラクターの声も歌も全部自分で(たまに家族や友人も協力している)やっている。その、1人で黙々とよく分からない(けどどうしようもなく惹かれる)ものを1人遊びの延長のような感じでやっている雰囲気がたまらなく好きだ。こういうものは大勢の優秀な大人が集まっても作ることのできない独自性がある。たくさんの作家と技術者がいて作られるバラエティー番組もいいけど、少数精鋭で作られるチープな深夜番組にも一部視聴者の強い支持があるように。私はメインストリームではない場所で、黙々と何かを創っている人の活動を応援していたい。

 言ってしまえばこの記事自体も未完成であり人の作品を借りたコラージュだ。人様に見せれる段階ではない。まだまだ未熟だと分かりながらも、この断片を寄せ集めていって、いつか何かになればいいな、と、非常に抽象的ではあるのだが、思っている。

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