見出し画像

「毒ナマタタ」に関する文章

はじめに

はじめまして。ボカロPのsakavoと申します。普段はYouTube、ニコニコ動画にボカロ曲を投稿していますが、ここnoteでは主に制作楽曲の解説、他雑記を気まぐれに書きたいと思ってます。これまではたまにTwitterで曲に関する解説的なものを書いていましたが、こういう媒体でがっつりの分量書くことははじめてのことです。皆様が、楽曲に関してどのようなことを知りたいのかもまだ判然としていないため、もし見当違いのことを書いてしまったらすみません。
この文章は私のボカロ曲「毒ナマタタ」を既に視聴いただいている方向けに書いておりますので、読み進めていただく際にまだ視聴していなければ、ぜひ下記から一聴をお願いいたします。

また、歌詞についてはこちらに共有していますので、併せて一読いただけますと幸いです。

歌詞の要旨

これまで私は計4曲をリリースしていますが、唯一この「毒ナマタタ」だけが「私自身の思想、感情を曲と詞に反映させた曲」となっています。YouTubeコメントでも推察されている方がいたのですが、この曲のテーマは「ハクナマタタという言葉に対するアンチテーゼ」です。

ハクナマタタみたい、考察できそう…

毒ナマタタ YouTubeコメント

この「ハクナマタタ」という言葉、そもそもは「心配ないさ」(!)という意味で翻訳されており、皆様もご存知であろう映画「ライオンキング」が有名になったことで世界的に有名になったという経緯があります。他には「どうにかなるさ」「気にするな」「明日があるさ」というニュアンスで使われることが多い言葉です。

はっきり言って本当に愚かだと自分でも思うのですが、私はこの「ハクナマタタ」という言葉が元からとても嫌いだったんです。「慰めの言葉のつもりならあまりにも根拠がなく無責任すぎる」「何も知らずに何が心配ないというのか」「あまりにも浅慮ではないのか」と私は考えてしまいます。

ハクナマタタの文章・例文
例文1.ハクナマタタだよ。嫌なことは忘れよう。
例文2.ハクナマタタ、なんていい響きなんだ、この言葉を忘れないようにしよう。
例文3.ハクナマタタになるには悩まずに生きる事さ。
例文4.ハクナマタタについてもっと知りたいの?それは俺たちのモットーだよ。
例文5.僕の体臭は臭いけどハクナマタタで気にしないよ。
悩まずに生活することはとてもストレスもないのでいいですよね。

「ハクナマタタ」の使い方や意味、例文や類義語を徹底解説!

言葉には常に責任が伴うと私は考えていて、根拠のないことを私は言いたくないと考えています。だから、ともすれば能天気で何も考えていないような人間が口にしそうな、この「ハクナマタタ」という言葉に大きな違和感を感じずにはいられないのです。ここで提示されている引用は特に重要ではないのですが、あまりに脳天気すぎてまともな実生活を送れるのかと勘繰ってしまいます。

「ただ話を聞いてくれるだけで嬉しい」と言う方がいて、理解はできるのですが、私がもし聞く立場になったとすると、話を聞いた上で改善策を提示できないと自分で納得ができないんです。話を聞いて「うんうん大丈夫」と言っていればいいのかもしれませんが、大丈夫じゃないと思えたら大丈夫になるような具体的方策を示したくなってしまうんです。最近はとにかく聞くに徹するようなムーブも多少はできるようになってきた気がするし、そうしないと私が疲れる、イコールどうでも良い相手の話すら大真面目に聞いてしまって身がもたないと考えられるようにはなってきました。私は全然モテませんが、原因のひとつはこういうところだろうとも思います。

ハクナマタタの会話例
質問者
今日のテスト赤点だったよ、しかも帰り道にうんこも踏んだし挙げ句の果てには好きな女の子にキモいって言われたんだ。
回答者
ハクナマタタだよ。気にしない気にしない!明日は明日の風が吹く。
質問者
明日は絶対いい日にしたいな。
回答者
それもハクナマタタ。自然にゆだねてればいいんだよ。

「ハクナマタタ」の使い方や意味、例文や類義語を徹底解説!

以上を踏まえて、下記のような気持ちで歌詞を書きました。

  • どうにかなるさなんてどうにかできるやつの言い分でしかない

  • 憂うことの何が悪いのか

  • 少しは気にしろ

  • 1人でうれしがってないで少しは私の痛みを知れ

  • お前の言ってることには何一つ中身がない

私は歌詞を書く前に上記のように「歌詞の要旨」「歌詞で言いたいこと」を書き連ねるのですが、その時点でめちゃくちゃ筆が簡単に進みました。理由は単純で、全部私が普段から思ってることだからです。正直、人間としてあまりにも程度が低いとは思うのですが、このように考えてしまうのは仕方のないことで、おそらく今後もこの人間性が変わることはないだろうからうまくやっていくしかないだろうとも思ってます。ハクナマタタってことですかね!!!!

他の曲もそうなのですが、歌詞は特に韻や言いやすさを重視していて、言葉を当てはめてから意味合いを後からもたらさせるような作り方をしています。次作の「三千兆重人格」では少し作り方を変えたりもしています。

「毒ナマタタ」の歌詞は特に冒頭のフレーズが気に入っています。

無い、無い、無い、無いな
どうにか、何とかなんか
無い、無い、無い、無いな
どうすりゃ良いの?
はい、はい、はい、はい
そんな毒みたいな言葉
辛いじゃんか?暗いじゃんか?
だってそうじゃんか

毒ナマタタ 歌詞

この後にも恨み言、泣き言、罵詈雑言のような歌詞は続くのですが、言いたいことはこのフレーズに大体集約されています。この歌詞をイントロに持ってこれたのはよかったと思ってます。

サウンドについて

歌詞のテーマが決まった時点でサウンドの方向性はすぐ決まりました。「ハクナマタタ」がスワヒリ語なので、それに合わせてアフリカンな楽器を取り入れようと考えました。木琴のような音は「カリンバ」という楽器の音で、アフリカの民族音楽では広く用いられています。KOMPLETEにそのまんまなカリンバ音源があったので助かりました。

他に特徴的な点といえばパーカッションでしょうか。曲中でよく鳴っているパーカッションは一部KOMPLETEに収録されている音源のものです。音の雰囲気としては「シネマティックなアフリカンパーカッション」といった雰囲気なのかなと思います。コンプとリバーブの雰囲気がかなり独特で、KOMPLETEならではの音だと思います。もし他の音源で再現するのであれば、アフリカンなパーカッションを鳴らしてリバーブを強くかけて、その上からコンプをかけるような感じなのかなと思います。

他にはベースの音量を有り得ないくらいでかくしました。歌パートで鳴ってるアナログシンセ的なベースも結構でかいのですが、間奏のベースは異常な音量です。どう考えてもおかしいと思われるような音量バランスのパートを作りたくなる時がたまにあって、多分その時のテンションでミックスした結果だろうと思います。
結果として、かなりとっつきづらいサウンドになった感は否めないのですが、にも関わらずかなり多くの人に聴いていただけているのはありがたい限りです。

イラストについて


毒ナマタタ OyasuMe 作

楽曲にこれ以上ないレベルでマッチした、素晴らしいイラストを制作いただけました。
アフリカンな楽曲モチーフによく合う民族風の衣装がめちゃくちゃかっこいいです。
このカットなのですが、仕掛けが施されているようで、どちらか一方の片目を隠すと全く違う表情に見えるとのことです。達観したような生意気な表情と、弱々しい困り顔といった感じでしょうか
OyasuMe先生ですが立ち絵、一枚絵、歌ってみたイラスト、ボカロ曲イラストなど幅広くお仕事されていますので、イラストでお困りごとがある方は是非相談いただけましたら私も幸いです。

OyasuMe
https://twitter.com/OyasuMe_Zzz

総評

私のこの曲に対するイメージは「とにかく変なアレンジの変な曲」という感じなんですが、それにもかかわらず多くの人に聴いていただけて、2月16日の時点で最も再生されている楽曲となっています。ありがとうございます。

他の曲についても、このように解説記事を書く予定ではいますが、「曲に関してこういうことを書いてほしい」ということがありましたら是非コメントか、TwitterのリプなりDMなりで連絡いただければと思います。お話しできることはお話しします。

来月にはボカコレが始まりますね。私はまだ何一つ準備してないです。なんとかなるかなとは思ってますがそろそろ少し慌てようかと言う気持ちです…。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?