2022 有馬記念 予想

【個別分析】

①アカイイト LC

第一に体力が豊富で、タフなレースで強さを発揮する牝馬版のディープボンド。先行力がない分、どうしても外を回す形になってしまうのでディープボンドよりも展開待ちの要素が大きい。この枠を活かす形も難しいだろうし、牡馬の格上相手にはSが足りないのでここは厳しい。



②イズジョーノキセキ LM(S)

基本的には体力主体でまとまっているタイプ。一時的に勢いを持って好リズムで迎えた前走、道悪で酌量する事も出来るが2連勝の充実度を使って苦しい所を乗り越えられなかったのは事実。個体能力はジェラルディーナより確実に落ちる。どれだけ人気がなかったとしてもそもそも能力的に足りていないので交互とか巻き返しに期待するのはちょっと違う。スカーレットカラーで学んだ。



③ボルドグフーシュ SL/LS

豊富な体力をしっかり駆動させられているフィジカル系。今は若さから来るSがしっかり出ているが古馬になるともう少しLSバランスに寄りながらどっしりと強くなっていきそうなイメージ。体力パワー系優位な有馬記念の条件はタイプ的にかなりフィットしているが、差し込んで3着というのが恐らくギリギリのライン。



④アリストテレス LC

セカンドクラスの体力条件がベスト。どこかで復活すると思っているがまだ兆しが見られない。



⑤ジェラルディーナ MSC

馬体を増やしながら文字通り徐々に強くなって来た牝馬で、タイプこそ違えど成長曲線的には晩年のリスグラと被る。この馬は一時的なSやCに頼る事なく、単純に自力でのし上がって来ているのでシンプルに強いという判断がベター。古馬の牡馬ならキツく見える臨戦だがこの馬はまだ4歳の牝馬。別路線からの極上のリズムと2戦連続圧勝の勢いを使ってのもう1発に期待してみても良い。ここで前に行くと体力破綻を起こしてしまう可能性を秘めている臨戦過程なので差し競馬で。



⑥ヴェラアズール LC(S)

前走の馬群を割る挙動はCではなく瞬発力。スローからの瞬発力戦で良さが活きるタイプであくまでフィジカル面の能力(L)が主導という見方。スローの東京24JCからタイトルホルダーのいる中山25有馬への条件替わりは決して良いとは言えない。前走のようにスローで流れてインで脚をためられるような展開になればチャンスはある。ただミドルからハイペースでなし崩し的に脚を使わされるとここまでの2戦のようにはいかない。



⑦エフフォーリア LC

3歳秋の2戦は個体能力の限界に迫るほどのエネルギーの放出で、そこでSのストックをかなり使ってしまった。肉体を突き動かす駆動のS質を失った(S(の量)を脱いだ)事によって本質の体力系の方に急速に寄ってしまい、本来の適性距離より短いこの春の2戦に対応出来ずに崩れてしまったという状態。宝塚の最後の伸び方は体力系の雪崩れ込み差しのそれ。

休養を挟んで状態を戻しているかどうかに関わらず、恐らく今は叩いて徐々に動くようになってくる体力系と見ているのでこの始動戦は軽視。少しでも復調の兆しを今回見せられれば来年の阪神大賞典→春天での巻き返しに期待という個体イメージ。



⑧ウインマイティー LS(C)

牝馬にしてはタフな体力系で、補完で精神力も一応持っているので器用な一面もある。牝馬相手に器用な抜け出しとそこからのタフさの優位性で押し切る形がベストという個体イメージ。前走はタフ条件を先行してしまったので酌量の余地はある。体力条件での巻き返しに期待という場面だが足りるかどうか。



⑨イクイノックス CSM

東京20、24向きの王道の精神構造をしたCS系。今はまだ精神面の天才性を武器にしているがここに駆動の力強さがつけばかなり強い。レースを使っての上昇はあるだろうがダービー→秋天での大幅なSの増加はそこまで感じられなかったので、ここで一気に上げて来るというよりは馬自体の完成のタイミングはまだ先と見ておきたい。

昨年のエフフォは(結果的に)適性のあった体力舞台+自身のエネルギー放出という2つの条件が噛み合っての1着。この馬は適性的に恐らくズレるであろう条件で、尚且つ苦しい所でがむしゃらに頑張るようなド根性タイプではないのでここで驚くようなパフォーマンスをして来るイメージは薄い。9着だったアーモンドアイよりは上だと思うが、中山25有馬記念という体力パワー系優位のかなりズレた条件では来ても2着まで。2〜7着のイメージ。



⑩ジャスティンパレス LC

あくまで体力主体の馬だが後ろ支えの精神構造は割としっかりしている。早い時期での完成度と基礎スピードを求められる春のクラシック2戦は対応出来なかったが、晩成寄りの体力系として十分な馬質。今回は軽視するが良い馬なので今後には期待。



⑪ラストドラフト CL

相変わらず精神力は持っているがもう一押しの駆動が足りないタイプ。自身より少し強いくらいの相手との混戦で2〜3着を獲るのが本質。ここは格不足。



⑫ポタジェ MC

スローの瞬発力戦や前に行ったもの勝ちのレース等、淡白なレース質では良さが活きない。他馬が苦しい場面で芯の強さが発揮されるタイプ。自身が休み明けの緩い仕上げかつフィジカル特化タイプが有利だった毎日王冠、スローを後方で構えてしまい良さが活きなかった前走の秋天、どちらも酌量出来る凡走。G1.5級の馬だが蓄積されたマイナス要素が全くないフラットな状態で思い切り前に行く形で消耗戦に顔を出せれば面白い。あとは体力が保つかどうか。



⑬タイトルホルダー SC(L)

一定レベル以上の体力は保有しているが馬の中身としては中距離型のSC系。この馬の本質は弥生賞1着→皐月2着とSを見せた後でL要求の強いダービーをしっかり6着に崩れる所に見ている。3000mとは言えS系が強い阪神での菊花賞の圧勝は本質のSCの範疇。そして有馬で体力要求を苦にして少し落とすのはダービーの6と同じ構図。春天の圧勝は低レベルな長距離路線の相手に対して馬の造りの違いが如実に出た形。

皐月とか大阪杯がベストな中距離志向のタイプだとしたらレコード決着の宝塚はこなせても有馬は厳しいというパターンはあり得る。ほぼ確実に自身の能力を最大限発揮出来るレースの形は作って来るので、宝塚記念勝ち馬として1着を揃えられても納得はいくが。



⑭ボッケリーニ MC

前走は馬体を減らしながら強気に勝ちに出る競馬となってしまい体力破綻を起こしての凡走。狡くインで脚をためる事が出来て、尚且つ上位が破綻するようなレース質になれば可能性は少し出て来るが外枠+上位が普通に走れそうなので今回は出番無し。あくまでセカンドクラスの馬なので格上相手のG1では様々な要素が噛み合ってやっと土俵に乗れるというイメージは持っておきたい。



⑮ブレークアップ LC

Sの駆動が旺盛なタイプではなく、自身の体力を主体に雪崩れ込むタイプの先行馬。JC時点のヴェラアズールと同じように鮮度と経験を兼ね備えた臨戦過程で自身は充実度を持って走れるタイミング。挙動的に底を見せた訳ではなく、脚質的にもゴールドアクターと似ているが向こうは菊3着という実績を1つ持っていた分、こちらの能力評価としては若干心許ない。自身より強い相手向きというイメージは薄いがタイトルホルダー含む上位の破綻さえあればワンチャンスあるか、というイメージ。



⑯ディープボンド L+(C)

現役トップクラスの体力保有量。それを突き動かす駆動の力が若干物足りないだけで能力や質自体は高次元。レース質がこの馬のフィールドに近付きさえすればいつでもG1を勝てる力は持っている。他馬が体力的にキツくなった所を相対的に体力で差す事は出来るが、普通に走れている馬相手に自力で動いて差すというのは難しいタイプ。

あくまで体力が前面に出たフィジカル系なので、昨年のように凡走後のフラットなタイミングのタフ条件で一気に掻っ攫う形がベター。昨年のようにタイトルホルダーが垂れてしまうようなタフなレースになればチャンスはある。



【評価】

◎ジェラルディーナ

◯ディープボンド


基本的にはタイトルホルダーの単勝を買うかどうかというレース。

軽くSを使っただけで勝ててしまった菊と春天の実績を額面通りには受け取っていないので、有馬記念という本当の意味での底力を問われるレースで苦しむというパターンに賭けます。近年の体力系のトップクラスであるキタサンブラックとは違う馬質と見ました。

タイトルホルダーの懸念点は3つ。

・宝塚がレコード決着(スピード要求)だったので同年のグランプリレースだとしても今回の有馬ではまた別の要素(タフさ)を問われる事。

・春は連勝の勢いも使っていたが凱旋門賞凡走でフラットな動き出しのタイミングになる事。

・上記2つの要因がある上で更にレースを作らないといけない立場で他馬の目標にされる事。

これら全てを乗り越えて同年の春天、宝塚、有馬全てを1着で揃えられたら白旗です。


3着内の可能性は否定しないが軽視しているイクイノックスが前走より少しでも前掛かりになれば尚更ジェラルの差しの確度が上がるので◎ジェラル単勝。

タフな展開でこそ真価を発揮する◯ディープボンドを複勝で。


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