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育ち④

お通夜、お葬式、火葬、納骨。
妹との別れの儀式の記憶は断片的にしかない。

「妹さんと本当にそっくり」
初めて会う親戚や父の職場関係者が遺影と私を交互に見て必ず口にする。
一卵性双生児だから当たり前なのだが、寝たきりで何もできない妹と似ていると言われることが恥ずかしいような、悔しいような気持ちだったことは今も忘れていない。

一段落したあと、母がしばらく寝込んでいた。ちょうど年度替わりの頃で私は幼稚園入園だったが、入園準備は祖母と近所の人がすすめてくれていた。
私と妹はいつもおそろいのファミリアの服を着ていた。色違いのときは私は青系、妹は赤系と決まっていた。
幼稚園に持って行く赤ずきんちゃん柄の手提げ、きんちゃく…誰が作ってくれたのか分からないけど、普段身につけることのなかった赤とピンクのバッグがすごく嬉しかった。

迎えた、入園式。
体調の戻った母と2人で参加した。
きょうだい児としての生活は終わった。大人になるまでそう思っていた。

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