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「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案」の調査について(NHK党参議院議員浜田聡議員のお手伝い)


はじめに

 2度目ましてでございます。私、さかサキ減税副業派と申します。今回は、令和5年2月24日に閣議決定されましたフリーランスに関する法律を調査しました。法案名は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案」になります。最初にフリーランスについて説明し、フリーランス事情、今回の法律案の内容、最後に法律案の問題点を含め、私からの意見という流れで進めさせていただきます。
(資料)
フリーランス法案閣議決定 政府、個人保護へ環境整備 - 産経ニュース (sankei.com)

フリーランスとは

 
 まずは、「フリーランス」とは何でしょうか。定義については、厚生労働省が出しているフリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン(令和3年3月26日)の第2章第1項に「フリーランスの定義」とあるので、そこから引用します。以下は、引用になります。

「フリーランス」とは法令上の用語ではなく、定義は様々であるが、本ガイドラインにおける「フリーランス」とは、実店舗がなく、雇人もいない自営業主や一人社長であって、 自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る者を指す1(原文ママ)こととする。

厚生労働省「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン
第2章第1項

 引用元にある「雇人もいない自営業主や一人社長」から推察するに、会社に属するいわゆる「会社員」ではなく、「会社に頼らないで自由な働き方をする人」と言った所でしょうか。具体的には、フリーライターやWebデザイナーなどが皆さんにはピンとくるかと思います。次に、フリーランスを取り巻く現状についてお話していきます。

フリーランス事情について

 
 次に、「フリーランス事情」について説明します。ここからは、内閣官房日本経済再生総合事務局(略称「内閣官房」)が令和2年5月に公表したフリーランス実態調査結果を引用しながら、説明していきます。まず、日本にはどれだけのフリーランスの方がいらっしゃるのでしょうか。定義によって、人数に幅があります。内閣官房の「フリーランス実態調査結果」によると、日本におけるフリーランスの数は「462万人」と発表しています。また、民間会社であるランサーズ株式会社は、自社調査新・フリーランス実態調査 2021-2022年版」において、「2021年10月時点での日本のフリーランス人口は1,577万人」と算出しています。この調査に関しては、フリーランスの定義が広いので、内閣府の調査とは開きがあります。ですが、両方の調査結果から共通して言えるのは、「日本におけるフリーランス人口は増加している」ことです。

出典:内閣官房日本経済再生総合事務局「フリーランス実態調査結果


 出典:ランサーズ株式会社「新・フリーランス実態調査 2021-2022年版

 次に、なぜ日本でフリーランスをする人が増えているのでしょうか。内閣官房の「フリーランス実態調査結果」によると、「自分の仕事のスタイルで働きたいため」(57,8%)「働く時間や場所を自由に決めたいため」(39,7%)がフリーランスをする理由の上位になります。 昨今、働き方改革が叫ばれており、既存の雇用形態や働き方に疑問を感じ、自身のライフスタイルを重視した働き方に注目が集まっているのが要因ではないかと筆者は感じます。
 
 では、そんなフリーランスにおいて、問題点はいったい何でしょうか。
一つ目の問題は、「フリーランスと取引を行う事業者とのトラブル」です。「フリーランスの属性分布」において、「主な取引先が事業者」(43,2%)で「主な取引先は消費者」(13,7%) より高く、日本のフリーランスの依頼先は事業者が中心であることが分かります。必然的にトラブルもフリーランスと事業者間で多く、トラブルの割合は「54,1%」 と高い数値を出しています。

    出典:内閣官房日本経済再生総合事務局「フリーランス実態調査結果
 出典:内閣官房日本経済再生総合事務局「フリーランス実態調査結果


 具体的なトラブルの内容は、「取引先とのトラブルを経験したことがある者」のうち、「そもそも書面・電子メールが交付されていなかったり、交付されていても取引条件が十分に明記されていなかった者が6割」 とあります。契約を交わす書面がなかったり、書面内容に不備があったりしたというのです。また、他のフリーランスと事業者のトラブル内容は、「発注の時点で、報酬や業務の内容などが明示されなかった」が4割」 「報酬の支払が遅れた・期日に支払われなかったと回答した者は3割」 となっています。

 では、トラブルに対してフリーランス側はどのような対応をしているのでしょうか。「フリーランス実態調査結果」の「トラブルが生じた対処方法」では、「交渉をせず、受け入れた(何もしなかった)」(21,3%)「交渉せず、自分から取引を中止した」(10%)と、全体の3割が、「泣き寝入り状態」であることが分かります。そのトラブルを受け入れた理由は、「フリーランス実態調査結果」の「トラブルを受け入れた理由」において、「受け入れないと、今後、取引が打ち切られたり、減らされたりすることとなり、フリーランスの活動に大きな支障を来すため」(41,2%)「受け入れないと、その取引が成立しなくなり、フリーランスの活動に大きな支障を来す」(27,3%) があげられています。契約におけるトラブルの内容としては、契約書の不在、報酬面や条件面での不備があげられます。また、そのトラブルに対してフリーランス側は満足に交渉できていないのが現状のようです。
 
 二つ目の問題は、「仲介業者とフリーランスとのトラブル」です。仲介事業者とは、手数料や利用料を徴収し、フリーランスと発注する事業者を取り持つためにサービスを提供する事業者のことです。

   「フリーランス実態調査結果」では、「仕事の獲得手段として、フリーランスの仕事を仲介する事業者・サービス(仲介事業者)を利用している者は2割」で「仲介事業者を利用している者のうち、直近1年間で利用している仲介事業者が1社のみの者が5割」となっています。また、仲介業者とトラブルを経験したことがあるフリーランスは、仲介業者を利用しているうち、「20,9%」 という割合です。

    主なトラブル内容としては、「仲介事業者が報酬や業務の内容などの条件を決めているが、一方的に条件の変更をされた」(53%)となっています。事業者間と同様に、報酬や依頼内容の条件面でフリーランスが不利益を被る形になっているようです。
 
 少し遡りますが、平成30年2月に公正取引委員会において人材と競争政策に関する検討会が開催され、「個人として働く者」 も独占禁止法(以下、「独禁法」)の適用範囲に組み込まれました。フリーランスも独禁法の適用内に位置付けられたことで、適正な契約を法的に取り交わせるようになりました。

 しかし、いまだにフリーランスと事業者、仲介業者間で、このようなトラブルが発生するのは何故でしょうか。原因のひとつとして考えられるのが、事業者とフリーランス間の不平等さです。「フリーランスの実態調査結果」では、取引をしている会社が「1社のみ」(40,4%) としているフリーランスが一番多く、依頼先の割合が事業者に偏っているのも相まって、フリーランス側が業務先を事業者側に依存している傾向が見て取れます。

出典:内閣官房日本経済再生総合事務局「フリーランス実態調査結果


 また、法律面の不備もあります。皆さんは、下請代金支払遅延等防止法(以下、「下請法」)というのはご存じでしょうか。「下請法」とは、下請事業者(フリーランスや個人事業主)が親事業者(企業などの発注者側)から、依頼代金の未払いや契約の不当な打ち切り等を防ぎ、下請事業者の保護を目的にした法律です。事業者とフリーランスの取引が、独禁法の適用内になりましたが、下請法には不備があります。フリーランスにも下請法が適用されます。しかし、適用されるのは「親事業者(企業)の資本金が1000万円以上である」場合になります。「下請法」第2条第7項の「親事業者の定義」にこう明記されています。以下、引用です。

二 資本金の額又は出資の総額が1000万円を超え3億円以下の法人たる事業者(政府契約の支払遅延防止等に関する法律第14条に規定する者を除く。)であつて,個人又は資本金の額若しくは出資の総額が1000万円以下の法人たる事業者に対し製造委託等をするもの

出典:公正取引委員会「下請代金支払遅延等防止法

概要に図がありましたので、引用します。

 出典:公正取引委員会「下請法の概要

 「フリーランス実態調査結果」では、フリーランスが取引をしている企業の4割が、下請法が下請事業者として定義する「資本金1000万円以下の企業」になります。つまり、フリーランスの取引先の半数近くが下請法では適用外になるのです。

     出典:内閣官房日本経済再生総合事務局「フリーランス実態調査結果

 「資本金1000万円以上の親事業者」となら、特に問題はありませんが、「資本金1000万円以下の親事業者」の取引だと、下請法の適用外になりますから、不当な契約の打ち切り、依頼代金の未払いなどの違反行為を下請法に従って、悪質な事業者側を罰することができない可能性があります。前述しましたが、フリーランスは依頼先が事業者中心で取引先も「1社のみ」の場合が多く、必然的に依頼先(事業者側)が有利な状況です。これでは、契約上のトラブルが増えるのは自明でしょう。次に、今回の法律案の内容に関して制定過程を振り返りながら、書いていきます。

資料:下請法、フリーランス保護へどう変わる? - 日本経済新聞 (nikkei.com)
【速報】フリーランス新法のポイント・背景を掘り下げ解説! | フリーランス協会ニュース (freelance-jp.org)


今回の法律案について

 さて、日本におけるフリーランス人口の増加に伴い、様々な問題があることを書いてきました。次に、今国会(第211回)で提出される「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案」について、法律制定過程を踏まえながら、お話させていただきます。

 日本政府は、令和2年2月から3月にかけて、内閣官房と関係省庁が連携して、フリーランスの実態を把握するための調査を開始しました。令和2年7月17日に閣議決定された「成長戦略実行計画」では、フリーランスとして安心して働ける環境を整備するため、事業者とフリーランスとの取引について、独占禁止法、下請代金支払遅延等防止法、労働関係法令の適用関係を明らかにするとともに、公正取引委員会が従来の姿勢から変更していることを踏まえ、今までの法律に照らし合わせながら、問題行為の明確化を目指すことになりました。その上で、フリーランスが安心して働ける環境を整備するため、実効性があり、一覧性のあるガイドラインを内閣官房、公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省連名で策定することとなりました。そして、令和3年3月にフリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドラインを策定しました。ですが、先述したような下請法において取引対象に入らないフリーランスの方をどうするかという問題が残っており、令和4年6月閣議決定された新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画において、先の問題が明記されました。その後、令和4年9月にフリーランスに係る取引適正化のための法制度の方向性のパブリックコメントを募集し、法制度の方向性を固め、令和5年2月に「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案」という名称で閣議決定され、今回(第211回)の通常国会に提出する運びとなりました。

出典:内閣官房「成長戦略実行計画
出典:内閣官房「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」

 さて、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案」は一体、どんな内容でしょうか。まず、この法案では、「フリーランス」は「特定受託事業者」となります。「特定受託事業者」の定義については、以下のようになります。

第二 定義
一 この法律において「特定受託事業者」とは、業務委託の相手方である事業者であって、次のいずれかに該当するものをいうものとすること。
1 個人であって、従業員を使用しないもの
2 法人であって、一の代表者以外に他の役員(理事、取締役、執行役、業務を執行する社員、監事若しくは監査役又はこれらに準ずる者をいう。以下同じ。)がなく、かつ、従業員を使用しないもの

出典:「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案」

 法案の定義通りに読めば、「特定受託事業者」とは、「個人であって、従業員を使用しないもの」で、法人であっても、役員などはおらず、「従業員を使用しないもの」になります。フリーランスが当てはまります。次に、「特定業務委託事業者」となります。定義は以下のようになります。

この法律において「特定業務委託事業者」とは、業務委託事業者であって、次のいずれかに該当するものをいうものとすること。
1 個人であって、従業員を使用するもの
2 法人であって、二以上の役員があり、又は従業員を使用するもの
七 この法律において「報酬」とは、業務委託事業者が業務委託をした場合に特定受託事業者の給付(三の2に該当する業務委託をした場合にあっては、当該役務の提供をすること。第五の一の1及び3並びに第八の三及び四を除き、以下同じ。)に対し支払うべき代金をいうものとすること。(第二条関係)

出典:内閣官房「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案

   「特定業務委託事業者」は、「個人であって、従業員を使用するもの」で、「法人であって、二以上の役員があり、又は従業員を使用するもの」とされています。これは、フリーランスに仕事を依頼する事業者側をさします。では、この法案の注目ポイントは何でしょうか。ここからは、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案(フリーランス・事業者間取引適正化等法案)の概要 (新規」を引用しながら、進めていきます。

 
 一つ目が、「特定受託事業者に係る取引の適正化」を明記している点です。上でも述べましたが、事業者側とフリーランス側との間では契約をめぐるトラブルが数多くあり、原因はフリーランス側が事業者側に依存せざるを得ない要素がありました。そこで、本法案では、それを是正する取り組みをするようにしています。以下、引用になります。

2.特定受託事業者に係る取引の適正化
(1)特定受託事業者に対し業務委託をした場合は、特定受託事業者の給付の内容、報酬の額等を書面又は電磁的方法により明示しなければならないものとする。
※ 従業員を使用していない事業者が特定受託事業者に対し業務委託を行うときについても同様とする。
(2)特定受託事業者の給付を受領した日から60日以内の報酬支払期日を指定し、支払わなければならないものとする。(再委託の場合には、発注元から支払いを受ける期日から30日以内)
(3)特定受託事業者との業務委託(政令で定める期間以上のもの)に関し、①〜⑤の行為をしてはならないものとし、⑥・⑦の行為によって特定受託事業者の利益を不当に害してはならないものとする。
① 特定受託事業者の責めに帰すべき事由なく受領を拒否すること
② 特定受託事業者の責めに帰すべき事由なく報酬を減額すること
③ 特定受託事業者の責めに帰すべき事由なく返品を行うこと
④ 通常相場に比べ著しく低い報酬の額を不当に定めること
⑤ 正当な理由なく自己の指定する物の購入・役務の利用を強制すること
⑥ 自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること
⑦ 特定受託事業者の責めに帰すべき事由なく内容を変更させ、又はやり直させること

出典:内閣官房「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案
(フリーランス・事業者間取引適正化等法案)の概要 (新規
)」

  ここでのポイントは、三つ。「業務委託する際は、給料や報酬の額等の契約内容を書面やメール等で明示し、それを義務付けること(口約束などをなくす)」「報酬を期日を指定し、報酬は必ず支払うこと(未払いをなくす)」「業務委託する際に、委託側は不当な報酬減額や途中で一方的な契約打ち切りなどをしないこと等々(7項目)」になります。事業者側に契約の書面化を義務付けたり、業務委託する際の、フリーランス側に不利になる行為を禁止することで、以前からあったトラブルの原因である事業者とフリーランスの関係の不均衡さを是正することで、フリーランスの立場を守る形になっています。

 次は、「特定受託業務従事者の就業環境の整備」を明記したことです。「特定受託業務従事者」とは、「特定受託事業者」である個人または法人の代表者」を指しますので、フリーランスもここに入ります。就業環境を整備するために以下の項目を設けました。

3.特定受託業務従事者の就業環境の整備
(1)広告等により募集情報を提供するときは、虚偽の表示等をしてはならず、正確かつ最新の内容に保たなければならないものとする。
(2)特定受託事業者が育児介護等と両立して業務委託(政令で定める期間以上のもの。以下「継続的業務委託」)に係る業務を行えるよう、申出に応じて必要な配慮をしなければならないものとする。
(3)特定受託業務従事者に対するハラスメント行為に係る相談対応等必要な体制整備等の措置を講じなければならないものとする。
(4)継続的業務委託を中途解除する場合等には、原則として、中途解除日等の30日前までに特定受託事業者に対し予告しなければならないものとする。

出典:内閣官房「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案(フリーランス・事業者間取引適正化等法案)の概要 (新規)

  「就業環境の整備」という部分では、今も課題とされている面の是正が多くあります。募集内容、育児介護等の配慮、ハラスメント行為、中途の契約解除の事前予告など、フリーランスが実際に起きているトラブルの改善に努め、働きやすい環境にしようとする意図がくみ取れます。

 次は、もし、事業者側が違反行為をしてしまったら、どうなるか。法案では、以下のようになっています。

4.違反した場合等の対応

公正取引委員会、中小企業庁長官又は厚生労働大臣は、特定業務委託事業者等に対し、違反行為について助言、指導、報告徴収・立入検査、勧告、公表、命令をすることができるものとする
※ 命令違反及び検査拒否等に対し、50万円以下の罰金に処する。法人両罰規定あり。

出典:内閣官房「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案(フリーランス・事業者間取引適正化等法案)の概要 (新規)

  違反行為をした事業者側に対して、様々な注意や対応を行い、場合によっては、罰金を科すことができます。依頼者側に対して、契約の確実な履行を求める内容となります。これにより、「特定受託事業者」であるフリーランス側も安心できる内容です。

 四つ目が、今回の法案において、事業者側とフリーランス側の取引の適正化やフリーランスの就業環境を整備するために、フリーランス側の相談窓口を設けるなど、体制の整備を明記しています。以下、引用です。

5.国が行う相談対応等の取組
国は、特定受託事業者に係る取引の適正化及び特定受託業務従事者の就業環境の整備に資するよう、相談対応などの必要な体制の整備等の措置を講ずるものとする。

出典:内閣官房「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案(フリーランス・事業者間取引適正化等法案)の概要 (新規)

 本法案は、名前の通り、事業者側から不当な扱いを受けないために、現在フリーランス側が抱えている契約上のトラブルを解消し、フリーランスが働きやすい環境にするための法案です。次は、そんな法案が抱えている問題点や私が感じた疑問点を交えながら、私(筆者)の意見を述べさせて頂きます。

筆者の意見

 最後に私の意見を、述べたいと思います。前提として、私自身は、フリーランスの方々が働きやすい環境を整備すること自体には賛成です。事業者とフリーランス間のトラブルが、お互いの関係の不均衡さにある以上、是正するのは当然です。本法案における契約書面の義務化や募集での虚偽禁止など、フリーランスが働きやすくする環境を整備するのは大切です。
 それを踏まえて、疑問点をあげるとすれば、「国による相談対応の取組」の部分です。率直な感想として、「それって、効果はあるの?」です。
相談対応に関しては、フリーランスに係る民間団体や個々人の裁量でやってみてから判断して良いのではと思ってしまいます。フリーランスの問題に限らず、日本には様々な相談窓口なるものが全国津々浦々に設置されています。それらは果たして問題解決に寄与しているのでしょうか。本法案の第25条の附則では、「二 政府は、この法律の施行後三年を目途として、この法律の規定の施行の状況を勘案し、この法律の規 定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。(附則第二項関係)」と記載されているので、定量的な分析を行い、その必要性について国民が判断できるよう、しっかりと公表していただきたいと思います。
 私としては、規制を設けることによって、フリーランスの働き方に制限がかかってしまうことを懸念しています。もちろん、本法案は、フリーランスの待遇改善を目指していますし、現在抱えている問題を放置していいわけではありません。しかし、部分的な規制を作ると、今度は「この問題があった。じゃあ、規制しよう→次は、こういう問題が起こった。じゃあ、規制しよう→もう、業界全体が立ちいかない。国全体で支援しよう(補助金の割合が高くなる)」という流れになるのではないかと思います。フリーランスというのは、自由な働き方を志向する人たちであり、規制は極力少なくすべきではないでしょうか。何度も言いますが、私は現在起きている問題を放置しろとは言っていません。今回の法案に関しては、概ね賛成です。(疑問点はありますが)
 ですが、国による介入の度合いが高くなり、結果的に自由な働き方ができなくなってしまうことを危惧しています。今回の法案が発端となり、フリーランスになることのメリットが失われないことを祈るばかりです。

 私の考えとして、日本政府は規制を最小限にして、民間経済主体の経済成長を実現するため、経済のパイを広くすることに留めるべきだと考えています。経済成長をしていかない限り、長期的に見て、フリーランス側の諸問題は完全に解決されないのではないでしょうか。実際に、日本におけるフリーランスの依頼先は、事業者側に依存しています。経済停滞により、事業者が潰れてしまっては元も子もありません。不況が続けば、フリーランスに依頼する数も減少し、問題となっている違法行為も横行してしまうでしょう。それを完全になくしていくには、日本経済全体が成長していくしかありません。まずは、日本銀行による金融緩和策を継続し、減税と規制改革を実行すべきです。減税と規制改革による民間の活性化で、フリーランスの方々が自由に働け、人生を豊かにできる環境にすべきです。経済が活性化すれば、フリーランスに依頼する事業者や消費者の数も増え、数が増えると健全な競争が生まれます。数が増えると、その分フリーランスの選択肢も増えるかもしれません。自然と、悪質な事業者は淘汰され、健全な事業者や消費者による、好循環が形成される可能性があります。それが、フリーランスが働きやすい環境にする近道なのではと私は思います。

 問題を解決することは大切です。しかし、問題解決のみに終始し、設けた規制のコストや経済的な影響を分析しないのは、果たして日本経済にとって望ましいことなのでしょうか。規制によってどのような効果・成果があったのか、明らかにしていく必要があるでしょう。ただ、法律制定をしました、はい終了にならないことを祈ります。

 以上で私の調査を終わります。ご拝読ありがとうございます。

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