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ギャ男の髪の毛を干し草にするレシピ

#髪を染めた日 というテーマでエピソードを募集とのことで、随分前に書いた記事を加筆修正してリバイバル上映。

最近では、インナーカラーに派手目の色を加えてもOKな世の中だが、ゼロ年代に差し掛かったばかりの頃は、まだ派手目なカラーリングはヴィジュアル系・バンギャル界隈の独占市場だったように思う。
もちろん、ファッション業界などに目を向ければその限りではないのだろうが、学生の茶髪・金髪がようやく定着してきたぐらいの時代において、そこから先に踏み込む同級生やバイト仲間は、だいたいバンドマンかバンギャルだった。

今でこそ、職業柄、髪を染めるわけにもいかず、かれこれ20年近く黒髪でいる僕だが、当時は、やはりギャ男であった。
高校に校則らしい校則がなく、髪型や髪色が自由だったこともあり、高校~大学の7年間は、色々なカラーリングを貪欲に試した。
途中で、大学入試やゼミ選考など、面接対応で黒染めはするものの、既に脱色した髪の上から、カラーリングで黒を重ねるわけなので、傷む傷む。
20歳を過ぎる頃には、既にお人形のような髪質になっていた。
パーマをかけようとしたら、この髪の状態ではやめておいたほうがいいと言われて、自重しているうちに就活になってしまったが、幸い、まだ毛髪が十分に残っていることを考えると、あそこで思いとどまったのは正解だったのだろう。

その中で、もっとも印象に残っているのが、ブルーグレイにカラーリングしたとき。
一旦、髪の毛を全部脱色して、人工的な白髪にした後、改めて色を入れていく。
入れる色も1色ではないので、気が遠くなるような、薬を塗ったり剥がしたりという工程を経て、5時間以上かけて、ようやく完成。
おかげで、午後に入れていたスタジオの予定をすっ飛ばすことになり、すっかり、的外れなV系叩きでお馴染み、"練習しないで見た目にばかり気を使っている奴ら"というフレーズの中の人になってしまったが、なかなか綺麗に染まって満足したのは事実なので、甘んじて受け入れるしかあるまい。

ところが、落とし穴は、この後に口を開いていた。

例えば、ピンクに髪を染めた場合は、カラーリングが落ちていくにしても、濃いピンクから、薄いピンクに、ゆるやかなグラデーションとして推移していく。
しかし、ブルーグレイは、抜けやすい色と、そうでない色があるようで、どうもグレイの要素から落ちていくらしい。
それならそれで、限りなく透明に近いブルーになってくれるのなら良かったのだけれど、グレイが完全に抜け落ちるわけでもない。
やはり、「pure soul」を聴きすぎたせいか。
5月に開催されるらしいEXTASYのイベントからは、完全にGLAYの要素は抜け落ちてしまっているというのに……!

その上に、この傷んだ髪である。
青に濁った色が混じって緑色になり、水分を失ってパサパサになった髪が、枝毛になってひょこひょこと立っている。
黒染めに失敗した赤毛のアンよろしく、干し草を頭に乗せている状態に。
髪は死んだ。精神離脱した今死んだ。

髪の修復を優先してカラーリングは控えざるを得ず、かといって坊主にする勇気はなかったので、結局、その後数ヵ月は干し草とともに過ごした。
アルバイトでジャズのイベントの司会に向かったところ、軽く怒られたりもした。
黒歴史という言葉とは裏腹、髪の毛が黒じゃなかった歴史なのだが、あれから20年弱。
次にカラーリングする機会があるとすれば、おそらく白髪染めになるのだろう。
そう考えると、あまりときめかないのだが、ブルーグレイっていう懐古主義系バンドが出てきたら、きっと応援すると思う。

#髪を染めた日


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