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【楽曲解説】屋上思春期/あめあがり(『「NO VISUAL, NO LIFE〜IDIOSYNCRASY〜」特典音源』収録)

10月1日にリリースとなったオムニバスアルバム、「NO VISUAL, NO LIFE〜IDIOSYNCRASY〜」。
ありがたいことに、この"notV系オムニバス"には連続参加させてもらっていて、特典音源も併せて、1年の間に6曲も自分が携わった楽曲を世に放ったことになる。
これも一重に、第一弾を聴いていただき、SNS等で感想を呟いてくださった皆様のおかげ。
そういう声の積み重ねで、主催者だったり参加者だったりは、苦労を忘れ、次の作品を作るか、という気持ちになったりするものなのだな、と実感している次第である。
特に、セールスやリターンは度外視で、ヴィジュアル系を盛り上げようというモチベーションだけで動いているようなこの企画にとっては尚更で、僕の曲に限らず、気に入った曲があれば感想を「#NOVISUALNOLIFE」のハッシュタグをつけて声高に叫んでもらえれば、第3弾、第4弾にも繋がっていくはずなので、そこは何卒。

と、これを読んでいる人はもう買ってくれた人かな、という前提で書き始めているのだけれど、前作同様、OZ WORKS SHOPで購入いただいた方には、特典として咲花-サカナ。-の2曲入りシングル「屋上思春期/あめあがり」を配布しているので、まだ買ってないよ、という方は、ぜひともOZ WORKS SHOPでの購入をご検討いただければ。
この記事では、特典音源に収録した2曲についてセルフライナーノーツ的な解説をしていこうと思う。


屋上思春期


これは、第一弾の特典音源で、「影になった夜」を収録することになった時点で考えていた再録シリーズとなる。
もともと、エイプリルフール企画で発表したデモ音源に「影になった夜」とともに収録していた楽曲だったのだが、あれこれあって未完成なものをリリースすることになってしまって、リベンジしたいという想いはずっと燻っていた。
オムニバスの第二段に参加することになり、特典音源は、未発表曲1曲+再録曲1曲というパッケージにするのがいいのでは、とほぼ即決で収録を決めたナンバーである。

「屋上思春期」というタイトルは、20歳ぐらいのときに思いついてずっと温めていたフレーズで、実はストーリーは後付け。
屋上でBBQみたいな設定でも別に良かったのだが、なんだか大学生感が出てしまう。
思春期という言葉が似合う中高生を主人公にした場合、屋上で起こり得るイベントは花火大会かな、という具合に、外堀から埋めていった。
「同じ空の下」や「神様が死んだ日」に比べて、時間軸としては極めて短い物語だが、一瞬が無限にも感じるシチュエーションと、その中での感情の推移は上手く落とし込めただろうか。
リアル思春期のときに書いたわけではないとはいえ、今、これを書けるかと言われても書けない気がするな。

後付けについては、もうひとつあって、「神様が死んだ日」とのリンクである。
といっても、こちらのほうは既に出来上がっていたので、「神様が死んだ日」のほうを寄せたというのが正しいのだが、どちらも、ラストシーンは屋上で両手を広げるシーン。
つまり、「神様が死んだ日」の少女と、「屋上思春期」の少女は、同一人物ということを示唆している。
正確には、「神様が死んだ日」の少女が予知で見た来世の景色というのが、この屋上から見える夜景。
普通の女子高生として別の世界線に生まれ変わった少女は、前世の記憶はないけれど、なんとなくあのときと同じように屋上で両手を広げてみた、という設定で、同じ行動でも、受ける印象が真逆になるように書いてみた。
気付かなくても別に影響はないのだが、こういうのがあると高まる、というのは自分の趣味の問題である。


あめあがり


こちらは、ギターを弾いて曲を作るようになったばかりの頃、初期衝動で作った楽曲群の中のひとつ。
初心者らしく、コード進行は極めて単純。
ある意味、この単純さに恥ずかしさを感じない時期だったからこそ作れた曲と言えなくもない。
実際、可憐くんにアレンジをお願いして、最初に戻ってきたヴァージョンは、Bメロが凝ったコード展開に書き換えられていて、ヴィジュアル系っぽさも出た格好良いものになっていたのだけれど、この曲についてはもうその単純さで勝負するべきだと思っていたので、もとに戻してもらったという経緯もある。
後半に差し込んだAメロとサビを重ねるコーラスワークにしても、もうちょっと上手くやれるのだろうな、と理解しつつ、あえてそのまま突っ切った。

もっとも、ギターソロなんかは可憐くんのお洒落なフレーズが凄く効いていて、衝動性だけだった原曲に、複雑性のある表情を込めることが出来たのでは、なんて思っている。
完全に他力本願、ではあるのだが、自分の中では凝り固まっている部分に新しい解釈を与えてくれるのがチームで作ることの意義。
上記のとおり押し通したところもあれば、受け入れるとこもあるということで、結局のところ、個人的な主観で美味しいところ取りをしているわけだから、自分としてはお気に入りにならないはずがない。

歌詞については、20年弱の間にほとんど変わっておらず、唯一、Cメロだけ追加している。
このCメロ、オリジナルヴァージョンには含まれていなくて、後にヴィジュアル系バンドとして演奏することを想定して歌詞を書き替えたヴァージョンを制作したときに作ったパートだったのだが、「屋上思春期」との相性を踏まえてオリジナルの歌詞でいこう、となった際、Cメロを外すというオーダーを可憐くんにしていなかったために残ってしまっていた、言ってしまえば怪我の功名。
せっかくだから歌詞を書き足そうと、今後のストーリー運びへの伏線の意図も込めて、象徴的なワードを詰め込むことにした。
この伏線を回収するまでは、もうちょっと音楽も作ってみようかな、とも。


実のところ、オムニバス本編には「あめあがり」を入れるつもりで、別の曲を特典用にアレンジしはじめていたのだけれど、新曲として「神様が死んだ日」を作ることになったので、今回の形になった。
その意味では、どの曲もメインを張れるトリプルA面、というのが個人的な感覚なのだが、いかんせん、特典音源の2曲はヴィジュアル系的要素は薄めなので、落ち着くところに落ち着いたのかな、と。
作りかけていた曲については、また別の機会に。


https://ozworks.theshop.jp/items/66558307

「NO VISUAL, NO LIFE~IDIOSYNCRASY~」
発売日:2022.10.1(土)
¥2,000-

《販売サイト》

https://ozworks.theshop.jp/items/66558307
OZ WORKSでの購入で、咲花-サカナ。-による2曲入りの特典音源が付属します。(数量限定)

《収録内容》

[DISC 1]
1. 夜に/AYAMIR.-あやみる-
2. 女の夜は…/ヴィジュアル系演歌歌手TAKASHI
3. DAYBREAK/CHRONOLYZE LAB
4. ザ・グレートフリークショー/こんとどぅふぇ with Shizuki
5. 残心/HUMA+暁人
6. 離島†Rittoh†/明後日-ASATTE-
7. 白紙の命/中村椋
8. 黙/DTMするぬいぐるみ
9. L’Oiseau bleu/夏姫
10. 二丁目哀歌/FULL EFFECT’
11. недоверие/Призрак
12. 幻蓮-GenRen-/人外商店 from 巡神蓮
13. 春風/THE HUGE
14. Сeргeйへ/Herpet

[DISC 2]
1. 静寂な夜/岡崎
2. PHOENIX 2022/MSGEX
3. 終わらない夢/Eramthgin Retfa Llod-Gnab
4. Promised tonight/GARAGELAND
5. Glory/ANOTHER CHRONICLE
6. センチメンタルナイフ/ガートルード
7. Nausea/KAUXS
8. silent[a]prayer/Călătorie-カラトリア-
9. Elizabeth Icon/Happy Days
10. RESISTANCE/Rysrh
11. 無名碑/panta rhei
12. Cruel Fate/天上院リュウ
13. 神様が死んだ日/咲花-サカナ。-

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