見出し画像

ヴィジュアル系の英才教育に失敗したので、我が家では今日もK-POPが流れてくる。

年長組のときにダンスをはじめた娘が、4年生になった。
ピアノや英会話は、それぞれ2年ぐらいで挫折した娘であるが、ダンスについては丸4年続いていて、ムラはあれどそれなりにモチベーションは高いまま。
小さい頃から、180度開脚の状態で本を読んでいたり、ダンス系の音楽を好む傾向があったので、スポーツ系の習い事はダンスでいいかと安易に決めたものの、結果、向いていたのだと思う。

良かったのか、悪かったのか。
いや、良かったということは決してないのだが、今となっては判断がつかないところもあるのが、コロナの影響。
ちょうど、小学校に入学してから1ヵ月程度学校が休校になっていた世代にぶち当たってしまった娘。
休みの日に色々なところに遊びに行く、というのが制限されていて、かといって体力を持て余すのも可哀想だったので、5、6月ぐらいからは、土日の大半はレッスンに通っていた。
好きなレッスンがあればいくらでも受けることができるスクールのシステムも都合が良くて、行けば誰かしら同世代の子供たちがいるし、運動不足も解消できるし、打ち込めるものがあったのは良かったのだろう。
そんなにガチでやらせるつもりはなかったのだけれど、気付けば勝手に上手くなっていて、上級生向けや大人のクラスにも参加できるレベルになっていたから、まぁ、怪我の功名だということにしておく。

ダンスのイベントは、1チーム5分ぐらいで演目を踊って次のチームにバトンタッチ、転換の時間も必要ないため、バンドであれば4マンライブぐらいの尺で、15組ぐらいの出演枠がある。
イベントごとにチームを組成し、練習をして、3ヶ月ぐらいかけて5分程度の演目を仕上げる、というサイクルが一般的。
再演することもなくはないが、1度踊ったらそれでおしまい、ということが多いので、その1曲にかける瞬間的な熱量が物凄い。
1ステージに占める1曲の重さは分散されている一方で、1曲1曲、長く演奏することを想定して大切に育てていくバンドのライブとは、だいぶ異なる文化だな、と興味深く思っているのだが、この辺も、飽きっぽさのある娘には合っていたのかもしれない。

そんな環境に身を置いているので、家で流れる音楽が、めっきりK-POPやHIP-HOPになっている。
積極的にバンギャルにしようとは思っていなかったものの、自分の子供だもの、いずれロックに興味は持つよね、という驕りがあったとは認めざるを得ない。
ピアノからスタートして、バンドに興味を持つようになったらギターに移行して、スマホはまだ与えていないからCDを買ってやるんだ、CDのパッケージを開ける楽しみを共有するんだ、それから、混まないイベントにでも連れて行って……という青写真は、ほぼ崩れ去ってしまった。
敗因は、CDや楽器はあれど、それを聴く場面が少なすぎたのだろう。
実例から察するに、バンギャル2世が育っている家庭との分かれ目は、"車での移動中に親の趣味の音楽を聴く時間"ではないかと推測している。
両親ともにペーパードライバーで、もっぱら電車移動だった我が家において、バンドブームでもない世界で最盛期のK-POPに勝つのは無理だった。
まさか我が家から一番遠いところにある音楽がロックになるとは、人生どう転ぶかわからないものである。

もっとも、広義に捉えれば、バンドもダンスも、同じ音楽の趣味。
特定のチームに所属しているわけではないものの、インストラクターから声をかけてもらう機会が増えた娘は、定期的に外部公演の予定が入っていく。
青写真では10年後ぐらいの出来事だった、"活動拠点となるライブハウスが出来る"が、9歳にして実現してしまい、なんだかテンションが上がってきた。
想像とはまったく違う形であれ、道は繋がっているものだ。

ちなみに、昨年末、後追いでダンスを習い始めた5歳の妹が、はやくも新宿ReNYのステージに立つことになった。
お遊戯レベルではあるのだが、イベントによってはリトルキッズクラスが呼ばれることもあるらしい。
外部イベントである以上、保護者も客という位置づけ。
ノルマチケットを購入する形で入場することになるのだが、やはりReNYはReNY、会場内でのジャンプは禁止、という注意書きを渡される。
ステージ上には、一生懸命飛んだり跳ねたりして踊る子供たち。
バンギャル的にはジャンプ禁止で名を馳せる新宿ReNYがダンスイベントの聖地になっているというのは、なんだかシュールである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?