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運転が怖いから郊外には住まない

期限ギリギリまで粘って、ようやく運転免許証を更新した。
誕生日から前後1ヵ月という更新期間が短すぎるというのもあるのだが、それ以上に、運転への苦手意識が強くて、どうしても腰が重くなる。
18歳で普通免許を取得してから、かれこれ20年近く。
うち、運転した経験はミツユビナマケモノが片手で数えるほどという体たらくだ、という書き出しでnoteを綴り始めて、ふと気づく。
これ、5年前の前回の免許更新のときも書いた内容だ、と。
まぁ、あれはnoteに書くようになる前の話だし、過去にも当時のブログのサルベージ記事を書いているので、今回もその形式をとらせていただくことにしよう。



一応、僕はゴールドドライバー、ということになるのだろう。
無事故・無違反を続けているという意味では間違っていないし、実際に運転免許の更新手続きも、簡単な講習だけで終わる。
しかし、そこに"無運転"も加わるとなると、少し意味合いが変わる気がするのだ。
僕みたいなペーパードライバーにこそ、更新のタイミングでしっかり実技も含めた講習をすべきでは、と思うのだが、運転スキルを可視化できない以上は仕方ないのだろうか。
今回も、さらっと講習を受けただけで再び免許証を手にすることができてしまった。

そんな僕にも、人生で3回だけ、教習車以外で運転した経験がある。
いや、うち2回は未遂で終わったからカウントすべきではないか。
最初は、大学の先輩とレンタカーでドライブに行ったとき。

サービスエリアから運転を交代するという流れになったが、発車しようとしたところで、何故かガソリンの給油口を開けてしまった。
なんとかしないと、と別のボタンを押したら、今度はトランクが開いた。
次に開くのは地獄の門かパンドラの匣か。
この時点で、僕の運転デビューは断念せざるを得なかった。

次は、社会人になってすぐ、課長を取引先まで連れていくとき。
普段は自転車で移動していた僕だが、さすがに上司を自転車の後ろに乗せるわけにはいかないと、車での移動を試みた。
が、教習所の車と表記が異なっていて、ギアを見ても「L」という文字がどこにも書いていない。
一番近いのはこれか?と「R」のギアを入れた。
RとLは間違えやすいよね、という中学生の感覚が抜けきっていないし、そもそもギアにおける「L」はレフトではなくてローである、ということにも思い至らないほどテンパっていたのだろう。
「R」はリバース。
前進して車庫から出るつもりが、思いっきり後退。
そして、運転も課長に交代。
僕はまたしても運転デビューを逃す。

こうして、まんまとトラウマ化。
僕が運転をしなくなる下地は、着々と出来上がりつつあった。


ところが、思いがけずに運転をすることになる。

親族で集まって会食をした際、車で来ていた親戚が飲酒してしまうという、いかにも正月らしい事件が発生してしまった。
もちろん、親戚を犯罪者にするわけにはいかない。
しかし、免許を持っていて酒が入っていないのは、体質的にお酒が飲めない僕だけ。
いっそのこと、自分もえいやあと酔っ払ってしまえば逃げられたのかもしれないが、腹を括って親戚の車の運転席に乗り込んだ。

こんな日に限って、雪が降っている。
夜、かつ悪天候で、もはや車線すら見えない。
隣で寝ているのは酔っ払い。
不安だらけだが、とにかく出発するしかない。
三度目の正直だ。

教習所ではマニュアル車に乗っていたため、相変わらずオートマ車のお作法がよくわからないのだが、オートマ車では「D」のギアで走る、ということは事前に調べておいた。
給油口を開けないように、余計なボタンにも触らない。
半クラッチの概念だけが体に染みついていたようで、アクセルを半分踏みながらブレーキを離す強引なスタートにはなったのだが、安全確認は過剰にしていたから多めに見てほしい。

しばらくして、なんとなく"車線変更しなきゃ"と思った。
次の交差点で右折をするから、最右の車線に入っていないといけないと直感的に感じ取ったからだ。
お察しのとおり、素人の直感など、あてにはならない。
雪によって車線が曖昧だったのだが、もともといたのが最右の車線だったようで、そこから更に右にズレようとしたものだから、中央分離帯の縁石にタイヤを擦る音がガリガリと車内に響き渡る結果に。
自分の車がほんの少しずつ薄くなっていることに気付いたのか、酔っ払いも起きた。
幸い、事故には至らず、中央分離帯に喧嘩を売っただけで済んだものの、僕はもう二度と、車は運転しないと心に誓ったのだった。

それでも、手元にあるのは新しい運転免許証。
顔写真付きで、身分証明書としての使い勝手は折り紙付き。
結局、身分証を提示する際の煩雑さから逃れるために、免許を更新しているようなものだ。
そして、晴れて廃棄となる以前の免許証と、受け取った新しい免許証を見比べて、僕は大事なことに気付く。

5年前の僕、今日と同じ服着てる。



以上、サルベージ完了。
残念ながら、5年前の服は処分済みであったが、それ以外の部分については、概ね同じようなことを思い返し、同じようなことを書こうとしていたので、成長とは、なんてことを考えずにはいられない。

ひとつ補足をすると、この5年間の中で、サファリパーク内を移動するためのカートを運転している。
実に15年ぶりぐらいの運転で(実際に運転免許保有がレンタルの条件)、家族を乗せるとなると緊張感が半端じゃなかったのだが、これを普通の人は運転経験にカウントしないだろうな、と思ったので、ミツユビナマケモノの左手は使わせないでおいた。



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