感染性心内膜炎 (IE:infectious endocarditis)

症例

・2w遷延するfever
・多発性脳塞栓
・血培からブドウ球菌, 口腔内レンサ球菌 (+)

診断

・心エコーにて疣贅が10mm以上であるかどうかがpoint
・基本的にはTEE (total energy expenditure:経食道心エコー) を施行
・TTE (transthoracic echocardiography:経胸壁心エコー) はTEEに劣る
 → しかし・・・IEガイドラインでは

「TTE は感度・特異度の点では TEE に劣るが、非侵襲的で繰り返し施行することができ、また心機能評価やドプラ法を用いた血行動態評価の点でTEEより優れるため、IEが疑われた症例全例に、可及的速やかに行うべきである」とされている

感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン p15
https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/02/JCS2017_nakatani_h.pdf

治療

・抗菌薬投与前に必ず血培2セット (10mL×2, ×2なので2回採血)
・可能な限りMICを確認することがpoint
・viridans属であればペニシリンのMIC cut off値 0.12で治療方針が異なる


・highly sensitive    ペニシリンG or セフトリアキソン
・relatively, Resistant   ペニシリンGのdose up or ゲンタマイシン併用
 (※ゲンタマイシン併用はシナジー効果を期待)


・最低2wは必要、長ければ4~6wの治療になることもあり
・ペニシリンGは最も古い抗菌薬、使用できる症例には積極的に使いたい
 → ただし、K上昇や静脈炎などAEは多い
  ・2400万単位 (full dose)で投与するとK+は約30~40mEq (ほぼ1日量)
  ・K制限食やフロセミドで対応することも
・感染性動脈瘤を起こすことあり
 → 血栓が飛びやすいため、全身管理が必要

シナジー効果
シナジー効果 (synergy effect) とは相乗効果のことで、2つの抗菌薬を併用した場合に、それぞれ単独投与された場合の効果を足し合わせた以上の効果が得られることです。 最も代表的な例としては、スルファメトキサゾールとトリメトプリムのシナジー効果で、これらは合剤として世に出ています(ST合剤)。

日本大学医学部 救急医学系 救急集中治療分野HP
https://nihon-eccm.com/icu_round2017/2%E5%89%A4%E4%BD%B5%E7%94%A8/#:~:text=%E3%82%B7%E3%83%8A%E3%82%B8%E3%83%BC%E5%8A%B9%E6%9E%9C(synergy%20effect)%E3%81%A8,%E3%81%BE%E3%81%99%EF%BC%88ST%E5%90%88%E5%89%A4%EF%BC%89%E3%80%82

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?