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カンガルー

きのうからずっと、踊りだしたいような、泣きたいような気分だ。

それで、すこしでも気をまぎらわすためにブックオフで本を買った。
好きな作家の、まだ読んでいない短編をえらんだ。
最近、本を読む集中力がなくて、長編にうまく入りこめない。
ベッドの中で、二冊の本を交互によむ。
それぞれ、ものがたりの粘土がちがうので、ちょうどいいバランスになるよう読み進めていく。

本を読むことにもあきてしまった。
でも、あさってのスノーボードの用意はめんどうだし、映画をみるのも乗り気になれない。
結局、おもしろいのかよくわからないラジオをきく。
しばらく、ぼうっとする。

ふと、赤いワインがのみたくなった。
こんな気分のときには、つめたくないワインがちょうどいいだろう。
考えはじめたら、いてもたってもいられなくなり、
ワインを買いに、家をでた。
前に読んだ随筆に、オーストラリアのワインが安くておいしいと書いてあったことを思いだし、カンガルーが書かれた、さらに少し安くなっていたものをえらんだ。
行きにはからっぽだったトートバッグにワインとレーズンを詰め、家へむかった。

家にはひとりしかいないのに、グラスはふたつ。
ワインをそそぐのと、水をのむための。
気分じゃないといいながら、てきとうに映画をみる。
ちょうどいいおもしろさの映画と、想像よりおいしくなった料理たち。
いい気分になってきた。

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