今週の台所・美酒鍋をアレンジしたお鍋
今週はしばらく、鶏塩鍋と、写真のような豚肉と白菜のミルフィーユ鍋にはまっていた。
いずれのお鍋も、味つけは昆布だしと塩・こしょう。シンプルだけどおいしくて、ここ数日は毎日食べていた。ただ毎日作っていると、だんだん違う味にも興味が出てくる。
そんなとき何年も前に一度作ったことがあって、また作りたいなあとずっと思っていた「美酒鍋(びしゅなべ)」を思い出す。
美酒鍋は、日本酒造りで有名な広島県東広島市西条(さいじょう)の名物料理なのだそう。東広島市役所の特産品を紹介するページを見ると、美酒鍋はこんな風に説明されている。
酒都西条の名物料理「美酒鍋(びしゅなべ)」。豚肉、鶏肉、野菜類を日本酒と塩・こしょうだけで調理するのが特徴。元は蔵人たちの賄い料理で、利き酒に影響のないようにとシンプルな味付け。素材本来の旨味が引き出されています。アルコール分は抜けるので子どもやお酒が苦手な方でも食べられます。
何年も前にテレビで紹介されているのを見て、はじめて知った料理だ。昔作ったときにおいしくて感動したのだけど、日本酒をけっこう注ぐ料理で、たくさんの日本酒を使う勇気が出ずなんとなく先延ばしにしていた。けれど今回、食べたいなあと久々に作ってみることに。
実は、タイトルは「美酒鍋をアレンジしたお鍋」ではなく「美酒鍋」のはずだった。けれど、今回書くにあたって細かい作り方を調べてみると、私が作ったものは本来のレシピとは違っていることに気づく。
美酒鍋の作り方は、サイトによって多少異なりはある。けれど基本の形としては、鍋に油を入れニンニクを炒め、お肉、次いで他の具材を炒め、肉や野菜を加えるときに塩・こしょうで味付けもし、日本酒を加えていく…というレシピが多いようだ。そして上の引用の通り、具材は野菜と豚肉や鶏肉。
けれど私は、昔テレビで見たとき「日本酒、塩、こしょう」の部分だけが頭に残っていたようで「日本酒、塩、こしょうで味付けしたお鍋」=「美酒鍋」と勝手に勘違いしていた。鍋に具材を入れたあと日本酒を注いで、塩を加えて、お鍋に合いそうだなと塩麴漬けにしてあったタラを投入。そのため、お鍋を作るときニンニクも使っていなければ、お肉も使っていない…。
でも、おいしかったです! ということで、今回は「美酒鍋のアレンジ」という形の投稿にしたいと思います。
まずビフォーの写真。ミルフィーユのスタイルが好きなので、ミルフィーユ状に。一番最初の豚肉と白菜のミルフィーユ鍋は、白菜が足りずミルフィーユが崩壊してしまったので、今回はもりだくさんにしてみる。
はじめはフタもしまらなかった…。
でもグツグツと煮ていくと、たっぷりではあるけれどいい感じに。
汁には単純に「あまい」というのとはちょっと違う、不思議なあまさがある。そして、このあまさが癖になる。今は食べてちょっと経つけれど、思い出すと「ああ、あの味おいしかったなあ」と思う。ときどき、たまに「ああ、また食べたいなあ」と思う気がする、癖になるおいしさだ。
はじめは、日本酒と塩だけの味付けで食べてみた。日本酒と塩だけで食べると、温野菜のおいしいサラダを食べているような感じだ。柔らかくて、野菜はほんのり甘い。ミルフィーユの手前から順番にもりもり食べてしまった。今回ミルフィーユ部分には試しに白菜とキャベツを交互に並べてみたのだけど、このキャベツがあまくておいしい! カリフラワーもはじめて入れてみたけれど、柔らかく煮えてお鍋の味とも合っていい感じだ。
お鍋ばかり作って思うのは、お鍋はシンプルな料理だけど、鍋料理特有の楽しみがあるなあということ。
今回は、水分量は少なめにして具材をグツグツと煮ていった。そうすると野菜の水分が少しずつ抜けて、スープの水分量が増えていく。少しずつ野菜が柔らかくなっていくのを見るのが楽しくて、ときどき鍋を開ける瞬間が好きだ。
そしてその時間を楽しみにするからだろうけれど、お鍋がコポコポといっているのを聞いている時間もなんだかいい。
それから、ミルフィーユのスタイルでお鍋を作るときは、お鍋を準備する楽しさもある。先にキャベツや白菜を若干すきまを残しつつ並べて、一通り並べ終わったら、野菜やら肉・魚を順番にすきまにつめていく。無心にせっせと並べつつ、いろどりや色のコントラストを考えながらミルフィーユ状にしていく時間が楽しい。
最近はシンプルな味付けにはまっていて、だしと塩の組み合わせばかり試していました。だけど今回は、酒というアプローチもあるのかと大きな発見でした。だしいらずで、味が日本酒と塩やこしょうだけで決まるとは…。今度は、お肉とニンニクで作ってみようと思います!
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